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送り出し機関とは?役割や利用する際の費用、選び方について徹底解説

  • 執筆者の写真: Hayato Kuroda
    Hayato Kuroda
  • 5月16日
  • 読了時間: 16分

更新日:9月29日


送り出し機関とは?役割や利用する際の費用、選び方について徹底解説

送り出し機関とは、外国人材を現地から日本へ送り出す役割を担う組織です。


近年、日本の深刻な労働力不足を背景に、外国人材の採用を検討する企業が増加していますが、送り出し機関の選び方や付き合い方は採用成功の鍵となります。


そこで本記事では、送り出し機関の役割や在留資格ごとの必要性、選び方のポイントまで解説します。


初めての外国人採用ガイド (内定~入社編)

目次



  1. 送り出し機関とはどのような機関?


握手する男性の手元

外国人材を日本で雇用する際、在留資格ごとに異なる手続きや要件が存在します。技能実習や特定技能においては、送り出し機関は人材の募集や教育、手続き支援や就労後のフォローを担う組織として機能しています。



送り出し機関の役割


送り出し機関の役割は、外国人材の在留資格によって大きく異なります。それぞれの違いをまとめた表が以下の通りです。

在留資格

送り出し機関の主な役割

利用の必須性

技能実習

募集・選抜、研修、手続き、フォロー

団体監理型は必須

特定技能

募集・選抜、試験合格確認、紹介、手続きサポート

国によっては必須

技能実習制度においては、団体管理型の場合送り出し機関の利用は必須です。


在留資格における送り出し機関の役割を詳しく見ていきましょう。


技能実習における送り出し機関の役割


技能実習制度における送り出し機関は、以下のような役割を担っています。


  1. 募集・選抜: 技能実習希望者の募集と企業要件に合う人材の選定

  2. 事前教育: 日本語や生活習慣、法律知識、技術研修の実施

  3. 手続き支援: ビザ申請や在留資格認定証明書取得のサポート

  4. 渡航手配: 航空券予約やスケジュール調整

  5. フォローアップ: 実習中の状況確認や問題対応

  6. 帰国後支援: 帰国後の就職支援や技術活用のフォロー


技能実習生を受け入れる方法には、団体監理型と企業単独型の2つあります。団体監理型の場合は送り出し機関の関与が必須です。


特定技能における送り出し機関の役割


特定技能制度における送り出し機関の役割は以下の通りです。


  1. 募集・選抜: 特定技能就労希望者の募集と基本的な選考

  2. 試験合格確認: 日本語能力試験と技能試験の合格確認

  3. 人材紹介: 適切な人材と日本企業のマッチング

  4. 手続きサポート: 必要書類の準備・翻訳や企業による申請をサポート

  5. フォロー: 就労後の定期的な状況確認と相談対応


特定技能制度では技能実習よりも役割がやや限定的ですが、国によっては政府認定機関の利用が必須となっています。


送り出し機関になるための認定要件


送り出し機関が認定を受けるためには、各国の政府機関による厳格な審査を通過する必要があります。技能実習制度における送り出し機関の認定要件は、日本の「外国人技能実習機構(OTIT)」が定める規則第25条に明記されています。


規則 第25条における外国の送出機関の要件(概略)の一部抜粋

  • 所在する国又は地域の公的機関から推薦を受けている

  • 制度の趣旨を理解して候補者を適切に選定し、送り出す

  • 技能実習生等から徴収する手数料等の算出基準を明確に定めて公表し、技能実習生に明示して十分理解させる

  • 技能実習修了者(帰国生)に就職の斡旋等必要な支援を行う

  • 法務大臣、厚労大臣又は外国人技能実習機構からのフォローアップ調査、技能実習生の保護に関する要請などに応じる


送り出し機関を利用する際は、これらの要件を満たしているか必ず確認しましょう。




  1. 送り出し機関の利用が必須・不要のケース


外国人採用において送り出し機関の利用が必須かどうかは、在留資格や採用方法によって異なります。

必須のケース

団体監理型を採用している

(技能実習制度)

不要のケース

企業単独型を採用している

(技能実習制度)

必要・不要がわかれる

国によって異なる

(特定技能制度)

それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。


必須のケース


技能実習制度においては、団体監理型を採用している場合、必須となります。団体監理型では、非営利の監理団体(事業協同組合や商工会議所など)が技能実習生を受け入れ、その監理の下で企業が技能実習を実施する必要があるためです。


一方、特定技能制度では、国によって送り出し機関の利用が必須かどうかが異なります。


不要のケース


企業単独型では、日本企業が海外の現地法人や合弁企業から直接技能実習生を受け入れるため、送り出し機関を介さずに受け入れることができます。



  1. 送り出し機関の選び方のポイント5つ


送り出し機関の選び方のポイント5つ

送り出し機関によってサービス内容や費用は大きく異なるため、選定には慎重に選びましょう。選ぶ際のポイントは5つ挙げられます。


  • 政府の認定機関であること

  • 豊富な紹介数や実績があること

  • 担当者に十分な日本語能力があること

  • 適正な支払い費用であること

  • 国内に駐在事務所があること


それぞれのポイントを詳しく解説します。


政府の認定機関であること


二国間協定を結んでいる国の中には、認定機関の利用が義務付けられている国もありますが、そうでない場合でも政府認定の機関を選ぶことが望ましいでしょう。


認定機関は現地政府による審査を通過しており、適正な業務を行っていることが保証されているため、トラブルのリスクを軽減できます。


豊富な紹介数や実績があること


事業を継続している期間や外国人材を送り出している人数、紹介可能な候補者の有無などを確認しましょう。また、特定の職種や業界に強みを持つ送り出し機関もあるため、自社の需要に合った実績があるかどうかも基準のひとつです。


担当者に十分な日本語能力があること


言語の壁によるすれ違いや誤解は、採用プロセスの遅延や人材のミスマッチにつながりかねません。担当者とのやり取りがスムーズに行えるか、質問に対して的確な回答が得られるかなどを確認しておくことで、後々のトラブルを防止できます。


適正な支払い費用であること


国によって、送り出し機関へ支払う費用に上限が定められていることもあります。外国人材自身が、送り出し機関に支払う費用が適正かどうかを確認することも重要です。


不当に高額な費用を請求している送り出し機関は、外国人材に過度な経済的負担を強いることになり、それが失踪などの問題につながる可能性もあります。


国内に駐在事務所があること


日本国内に拠点があれば、トラブルが発生した際に監理団体と連携して即時に対応できるだけます。外国人材も、母国語で相談できる相手が身近にいることで安心感を得られるでしょう。また、現地の家族との連絡や災害時の情報共有なども円滑に行えるメリットがあります。


初めての外国人採用ガイド (内定~入社編)
  1. 送り出し機関の費用


送り出し機関を利用するにあたって、受け入れ企業・外国人材がそれぞれ費用の負担が生じます。費用の内訳や相場を詳しく見ていきましょう。


受け入れ企業が支払う費用

受入企業が負担する費用の目安をご紹介します。

費用の内訳

相場

監理団体への入会

入会費:1万〜10万円

年会費:2万円〜15万円/年

JITCO賛助会費

5万円~15万円/年

現地への訪問

10万〜20万円

在留資格の申請

5万〜15万円

健康診断

5,000円〜2万円

渡航の手配

5万〜20万円

人材紹介会社を利用する場合は、追加で手数料がかかります。相場は外国人材の給与1〜3ヶ月ほどです。その他、受入人材の給与や社会保険料、住居の準備にかかる費用も受入企業が負担します。


外国人材が支払う費用(技能実習生の場合)



法務省の調査によると、技能実習生が送り出し機関に支払った費用の平均総額は約52万円となっています。国籍別に見るとベトナムが約66万円、中国が約58万円、カンボジアが約57万円、ミャンマーが約29万円、インドネシアが約23万円、フィリピンが約9万円です。


また、支払い費用の主な内訳は以下の通りです。


  1. 募集選考費: 送り出し機関が行う募集活動や選考にかかる費用

  2. 教育訓練費: 日本語教育や技術研修などの事前教育費用

  3. 渡航費用: 航空券や出国手続きにかかる費用

  4. 各種証明書取得費: パスポートや健康診断などの証明書取得費用


費用は原則、実習生本人が負担するケースが多いですが、受け入れ先企業から送出管理費として送り出し機関に支払われる場合もあります。




  1. 外国人採用時に送り出し機関を使わなければならない国

外国人採用時に送り出し機関を使わなければならない国

特定技能制度において、二国間協定を締結している国の中には、政府認定の送り出し機関の利用が義務付けられている国があります。ここでは、送り出し機関の利用が必須となっている主な国について解説します。


  • フィリピン

  • ベトナム

  • カンボジア

  • ミャンマー

  • ラオス

  • モンゴル


それぞれ詳しく見ていきましょう。


フィリピン人の採用


フィリピンでは、特定技能などの就労ビザも技能実習も、MWO(旧POEA:駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所)認定の現地エージェントを介さないと雇用できません。これは日本国内在住のフィリピン人に対しても同様の規則が適用されます。


採用プロセスとしては、駐日フィリピン大使館海外労働事務所(DMW)公認のフィリピン現地人材会社を選定し、契約を結んで受け入れる流れとなります。また、受け入れ前にDMWまたは在大阪フィリピン総領事館労働部門に必要書類を提出し、受け入れ企業が英語で面接を受ける必要があります。




ベトナム人の採用


ベトナムにいる人を新たに特定技能外国人として受け入れる場合、推薦者表の承認については、送出機関がベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局(DOLAB)において手続きを行う必要があります。


海外現地での求職者の募集や在留資格取得手続きなどは専門的なノウハウがないと難しいため、紹介会社などの専門機関を利用することが推奨されています。




カンボジア人の採用


カンボジア政府は送り出し機関をリスト化しており、そこに掲載された機関を通じてのみ採用が可能です。


採用手続きには、カンボジア労働職業訓練省への申請や承認が必要となり、送り出し機関がこれらの手続きをサポートします。




ミャンマー人の採用


ミャンマーの制度上、政府から認定を受けた現地の送り出し機関を通じて人材の紹介を受け、雇用契約を締結しなければなりません。


送り出し機関が企業に紹介する人材の求人を行う際は、受け入れ機関から提出された求人票をミャンマー労働・入国管理・人口省(MOLIP)に提出し、求人票の許可・承認を得る必要があります。


ただし、日本国内に在住するミャンマー人は、現地の認定送り出し機関を通さずに採用可能です。




ラオス人の採用


ラオス政府労働社会福祉省は、特定技能外国人の送り出しに関する業務を行うことができる機関を公表しています。


送り出し機関を通じた手続きに加え、ラオス政府への各種申請や承認が必要となるため、専門的な知識を持つ機関のサポートを受けることが望ましいでしょう。




モンゴル人の採用


特定技能人材を採用する場合、モンゴル労働・社会保障省が認定した送り出し機関を通じて手続きを行わなければいけません。


また特徴的なのは、モンゴル政府機関と受け入れ企業との間で契約締結が必要となる点です。そのため、モンゴルからの人材採用においても、専門的な知識とノウハウを持つ機関のサポートを受けることが推奨されています。




  1. 外国人採用時に送り出し機関を使わなくてもよい国


外国人採用時に送り出し機関を使わなくてもよい国

二国間協定を結んでいる国の中には、送り出し機関の利用が必須でない国も存在します。具体的には、インド、ネパール、スリランカ、インドネシア、パキスタン、ウズベキスタンなどが該当します。


なお、マレーシアとタジキスタンについては、2025年5月時点では送り出し機関の利用が必須かどうかの明確な情報が公開されていません。特にタジキスタンは特定技能に関する二国間協定の締結が比較的新しいこともあり、詳細な運用ルールが確立されていない可能性があるので、都度最新の情報を確認しましょう。



  1. 送り出し機関を利用するうえで覚えておきたい「二国間協定」の概要と役割


二国間協定(特定技能に関する二国間の協力覚書)とは、日本と特定技能外国人を送り出す国々との間で交わされる公式な取り決めです。この協定は主に2つの重要な目的を持っています。1つは特定技能外国人の円滑かつ適正な送り出しと受け入れの確保、もう1つは特定技能外国人の保護です。


二国間協定によって、特定技能外国人のスムーズかつ適切な送り出しと受け入れが保証されます。外国人が日本で働く際にはさまざまな手続きが必要ですが、これらは日本と送り出し国で異なる場合が少なくありません。そのため双方の国が互いの必要条件を満たしつつ、効率的な出入国を可能にするために協定を結んでいるのです。


特定技能外国人の保護に関して、特定技能制度が導入される以前の技能実習制度では、不正な仲介業者による搾取や未払い賃金などの問題が頻発していました。これらの問題を防止するため、日本と送り出し国は規制を強化し、特定技能外国人が安定して働けるように二国間協定を設けています。


日本が二国間協定を結んでいる国一覧


2025年5月現在、日本が二国間協定を結んでいる国は以下の通りです。


  • フィリピン

  • カンボジア

  • ネパール

  • ミャンマー

  • モンゴル

  • スリランカ

  • インドネシア

  • ベトナム

  • バングラデシュ

  • ウズベキスタン

  • パキスタン

  • タイ

  • インド

  • マレーシア(特定技能のみ)

  • ラオス

  • ブータン(技能実習のみ)

  • キルギス(特定技能のみ)


これらの二国間協定により、送り出し国における送り出し機関の適正な認定や運営が確保され、外国人労働者の権利保護と適切な労働環境の提供が促進されています。




  1. 送り出し機関における問題


技能実習制度をめぐる深刻な問題の1つとして、技能実習生の失踪が頻繁に報道されています。その背景には制度の欠陥と、一部の送り出し機関による不適切な慣行が存在するのです。


技能実習制度の最大の問題点は、実習生が原則として転籍できないことにあります。この制度は就労ではなく「技能習得」を目的としているため、転職という概念がありません。そのため、受け入れ企業が法律に反した雇用条件や過度な労働を課している場合でも、実習生は別の企業で実習を続けることが困難です。


ただし、企業の倒産や廃業といった企業都合の場合だけでなく、労働法令違反や人権侵害など、実習継続が困難と判断される事情がある場合には、例外的に他の企業で実習を継続することが認められています。


また多くの技能実習生は、来日前に巨額の費用を支払っています。これを工面するために借金をするケースも多く、返済のために劣悪な労働環境でも耐え忍ばなければいけません。


技能実習制度における問題点についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。




  1. 送り出し機関についてよくある質問


送り出し機関について、よくある質問と回答をまとめました。


送り出し機関と監理団体の違いは何ですか?


大きな違いは、活動する国と役割です。送り出し機関は、海外(主にアジア諸国)において、日本で働きたい自国民の募集、教育、そして日本への送出手続きを行う現地の機関です。


一方、監理団体は、日本国内において、技能実習生を受け入れた企業が適正な実習を実施しているかを監理・指導する日本の非営利団体です。両者は技能実習制度において連携する関係にありますが、拠点と役割が明確に異なります。


外国の送り出し機関とは何ですか?


外国の送り出し機関とは、技能実習や特定技能などの制度に基づき、自国の政府から認定を受け、日本へ人材を送り出す役割を担う現地の民間機関です。


主な業務は、日本で働くことを希望する人材の募集、日本語や日本の生活習慣に関する事前教育、健康診断の実施、そして日本側(監理団体や受入れ企業)との連絡調整です。国によっては政府機関がその役割を担う場合もあり、日本と相手国との二国間協定によってルールが定められています。


特定技能ビザ取得に送り出し機関は必要?


原則、現地認定送出機関を利用します。主な国の例として、フィリピン、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、ラオス、モンゴルからの受入の際、現地の認定送り出し機関を通じた手続きが必要です。


一方、これらの国以外からの受け入れや、日本に既に在留する方を採用するケース(在留資格変更)は、扱いが異なることがあります。最新の国別フローは入管庁の各国ページをご確認ください。



  1. まとめ


送り出し機関は外国人材採用において重要な役割を担っており、国や在留資格によって利用の必須性や役割が異なります。外国人材の採用を成功させるためには、適切な送り出し機関を選ばなければいけません。政府認定の機関を選び、実績や費用の透明性、サポート体制などを総合的に判断することが重要です。


送り出し機関の選び方について不明な点があれば、外国人採用のプロフェッショナルであるConnect Jobまでお気軽にお問い合わせください。



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Connect Job編集部


世界中のトップクラス人材と企業を繋ぐ外国人採用のトータルサポート「Connect Job」。Connect Job編集部は外国人採用と長年向き合ってきた経験をもとに、採用に役立つ実践的なノウハウや最新動向をお届けします。

企業の採用現場でよくある課題や、採用担当者・外国人社員の声など、現場をよく知る社員が編集を担当しています。リアルな現状を知る私たちから、「プロフェッショナル」かつ「現場目線」で役立つコンテンツを発信しています。


運営会社:フォースバレー・コンシェルジュ株式会社(https://www.4th-valley.com



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