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【2025年最新】建設業における外国人労働者の採用・雇用ガイド

  • 執筆者の写真: Hayato Kuroda
    Hayato Kuroda
  • 5月8日
  • 読了時間: 17分

更新日:10月27日

【2025年最新】建設業における外国人労働者の採用・雇用ガイド

日本の建設業界では深刻な労働力不足が続いており、多くの企業が事業継続や成長のために外国人労働者の採用を積極的に検討しています。2025年2月時点の厚生労働省の調査では、建設業の有効求人倍率は5.22倍と高い水準にあり、人材採用は企業の重要な課題です。


外国人労働者は労働力不足を解消する有力な選択肢ですが、採用や雇用には在留資格の確認や労務管理など特有の課題があります。


本記事では、建設業における外国人労働者の採用・雇用について、法的手続きから受け入れ体制の整備まで、実務担当者が知っておくべき最新情報をわかりやすく解説します。


なお、外国人採用の流れや具体的な方法については、こちらの記事も参考にしてください。


初めての外国人採用ガイド(選考~内定)

目次


建設業界における外国人労働者の現状


建設業界の労働力不足は年々深刻化しています。2025年3月時点での建設業の労働者数は474万人ですが、高齢化による離職と若年層の入職減少により、慢性的な人手不足に陥っています。


国土交通省の調査によると、建設・採掘従事者の有効求人倍率は5.22倍と全産業平均の1.19倍の約4倍以上の水準に達しており、日本国内でも特に人手不足が深刻な業界となっています。



建設業で働く外国人労働者の推移と予測

厚生労働省の調査によると、2020年時点で建設業に従事する外国人労働者数は約11.1万人で、全産業に占める割合は6.4%でした。その後も増加を続け、2023年末時点では約17.8万人、全体の7.7%を占めるまでに拡大しています(※2024年4月発表時点の速報値)。

建設業の外国人労働者数推移のグラフ
厚生労働省『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』(2020年~2024年)をもとに作成

このような傾向は今後も継続すると見られており、外国人材は単なる労働力の補完にとどまらず、建設現場の多様化や技能継承、さらにはグローバル対応といった観点からも、業界の持続的成長を支える重要な存在となりつつあります。


国土交通省をはじめとした関係機関も、外国人材の活用を戦略的な柱として位置づけており、今後の建設業界における役割は一層大きくなると予測されます。


外国人労働者数の推移については以下の記事で解説しています。


初めての外国人採用ガイド(選考~内定)

建設業で外国人労働者を雇用するメリット

建設業で外国人労働者を雇用するメリット

建設業で外国人労働者を雇用することには、多くのメリットがあります。以下では主なメリットについて解説します。


  • 人手不足解消による成長

  • 多様な視点による組織の活性化

  • 外国人労働者の活用による働き方改革


それぞれ詳しく見ていきましょう。


人手不足解消による成長

建設業界の最大の課題である人手不足を解消することで、企業は大きなメリットを得ることができます。十分な労働力を確保すれば、これまで人手不足のために断念していた案件の受注も可能になるでしょう。


適切な人員配置により、工期通りの施工が可能になり、急ぎの工事にも対応できるようになります。一人あたりの業務負担が軽減されることで作業品質の向上が期待でき、顧客満足度の改善やリピート案件の獲得にもつながるでしょう。

長期的な事業計画も立てやすくなり、新規事業や技術投資など、企業の成長戦略を推進しやすくなります。外国人材の継続的な採用によって、安定した事業運営が可能になり、会社の持続的な発展を実現できます。


多様な視点による組織の活性化

異なる文化的背景を持つ外国人労働者の雇用は、組織に新たな視点をもたらします。多様な価値観や考え方が職場に入ることで、日本人従業員にとっても良い刺激となり、職場のコミュニケーションが活性化します。


例えば、母国での建設手法やアプローチの知識が日本の現場における効率化のヒントになることもあるでしょう。また、従来とは異なる発想による問題解決や業務改善のアイデアが生まれやすくなり、イノベーションの創出にもつながります。

さらに、外国人材との協働を通じて社内のグローバル対応力が向上し、将来的な海外展開の基盤構築にも寄与します。


外国人労働者の活用による働き方改革

外国人労働者の採用は、建設業界の働き方改革推進にも貢献します。適切な人員配置により、慢性的な長時間労働や休日出勤を削減でき、従業員の健康維持やワークライフバランス改善につながります。

また、言語や文化の違いがある中で効率的に作業を進めるために、業務プロセスの見直しや作業手順の文書化が進み、結果的に全体の生産性向上に寄与します。


多様な人材と共に働くことで、組織全体の柔軟性が高まり、時間や場所に縛られない新しい働き方への理解も深まるでしょう。これは若い世代の従業員にとって魅力的な職場環境となり、日本人若手人材の確保にもプラスの影響を与えます。


建設業で外国人労働者を雇用する際の課題

建設業で外国人労働者を雇用する際の課題

建設業で外国人労働者を雇用する際、主に3つの課題が生じます。


  • 言語や価値観の違いから生じるトラブル

  • 安全意識の違いから生じる事故のリスク

  • キャリアパスが不透明で長期雇用に繋がらない


それぞれ解説します。なお、これらの解決策や働きやすい環境づくりのコツを詳しくまとめた記事もあるので、参考にしてください。


言語や価値観の違いから生じるトラブル

建設現場では、朝礼やKY(危険予知)活動、作業間の連携など、口頭でのコミュニケーションが安全管理の生命線です。しかし、日本語の細かいニュアンスが伝わらないことで、作業指示の誤解や、危険情報の共有漏れといった事態を招きかねません。


また、日本の建設現場特有の「段取り」や「チームワーク」を重んじる文化と、個人の役割分担を明確にする海外の文化との違いから、作業の進め方をめぐって軋轢が生じる可能性もあります。



安全意識の違いから生じる事故のリスク

日本の建設現場は、世界的に見ても極めて高い安全基準で管理されています。しかし、その背景にある「危険を未然に防ぐ」という安全文化は、外国人労働者にとって必ずしも当たり前ではありません。


例えば、ヘルメットのあご紐を締めない、安全帯のフックをかけないといった「これくらい大丈夫だろう」という油断が、墜落・転落などの労働災害に直結する危険性を孕んでいます。


キャリアパスが不透明で長期雇用に繋がらない

建設業界の仕事は、多様な専門職種で成り立っていますが、外国人材に対して、将来のキャリアステップが明確に示されていないケースがあります。


特定技能1号の在留期限である5年が経過した後、どのような道筋で職長や現場のリーダーを目指せるのか。あるいは「特定技能2号」へステップアップするための資格取得支援はどうなっているのかといった将来像が見えないと、より良い条件を求めて他社や他業種へ流出してしまいます。


外国人労働者が建設業で就労できる在留資格一覧

外国人労働者が建設業で就労できる在留資格一覧

建設業に就労できる在留資格には、以下のようなものがあります。


在留資格の種類

概要や従事できる業務

技術・人文知識・国際業務

専門的な業務を担当できる

(設計、CADオペレーターなど)

特定技能

即戦力の現場作業者に最適

(型枠施工や左官など)

技能実習・育成就労

開発途上国への技能移転が目的

(型枠施工や左官など)

技能

特殊技能を持つ外国人向け

(外国建築技術など)

資格外活動許可

短期間の就労に最適

(アルバイト、インターンシップなど)

身分または地位に基づく在留資格

職種制限がなくあらゆる職種で雇用可能

なかでも建設業で主に活用されている在留資格は「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「技能実習」です。それぞれの詳細はこちらの記事で解説しています。




初めての外国人採用ガイド(内定~入社編)


専門的な業務を担当する「技術・人文知識・国際業務」

「技術・人文知識・国際業務」は、大学や専門学校で専門教育を受けた外国人材がその専門知識を活かして働くための在留資格です。


建設業では建築設計やCADオペレーター、施工管理、BIMマネージャーなどの専門職で利用されることが多いです。


ただし、申請には学歴や職歴と業務内容の関連性が重視されます。在留期間は1〜5年で更新回数の制限がなく、家族の帯同も可能です。




即戦力の現場作業者に適した「特定技能(建設)」

特定技能「建設」は、2019年に創設され、2022年8月に業務区分が19から3区分に統合されました。


  • 土木区分

  • 建築区分

  • ライフライン・設備区分


例えば、建築区分では型枠施工、左官、コンクリート圧送、内装仕上げ、吹付断熱などの業務が含まれます。これにより、特定技能外国人が従事できる業務範囲が柔軟になりました。


また、特定技能2号は在留期間更新に上限がなく、要件を満たせば家族帯同も可能です。ただし、2号取得には「複数の技能者を指導しながら工程管理を行う」等の実務経験要件や評価試験合格が必要となります。



開発途上国への技能移転を目的とした「技能実習」と「育成就労」

技能実習は開発途上国への技能移転が目的の制度で、建設関係においては型枠施工、鉄筋施工、左官など22職種33作業に従事可能です。実習期間は最長5年間で、1年目は基礎習得、2〜3年目は習熟、4〜5年目は熟達を目指します。


2024年に新設された育成就労制度は技能実習の課題を改善し、より柔軟な就労を可能にしています。どちらも基礎から日本の建設技術を学ぶ人材を育成しながら確保できる制度で、技能継承にも貢献します。



特殊技能を持つ外国人のための在留資格「技能」

産業上の特殊な分野に熟練した技能を持つ外国人向けの在留資格です。建設業では、日本にはない外国特有の建築または土木の技能を持ち、5〜10年の実務経験を有する人材が対象となります。


ゴシック建築やバロック様式、中国式建築などの外国建築技術や、輸入石材による直接貼り付け工法などの特殊技能が該当します。


在留期間は3ヶ月〜5年で、出入国在留管理庁によって決定されます。取得のハードルは高いですが、特殊技術を要する建設プロジェクトに有効です。


そのため、建設業で外国人材を受け入れる場合は、通常「技能」よりも「特定技能」または「技術・人文知識・国際業務」を活用するのが一般的です。



短時間就労が可能な「資格外活動許可」

本来は就労が認められていない留学生や家族滞在の外国人が、一定時間内の就労を可能にする許可制度です。週28時間以内(長期休暇中は1日8時間以内)の就労が可能で、単純作業を含むさまざまな業務に従事できます。


建設業でも短時間のアルバイトとして働くことができますが、安全面から作業内容に制約があることが一般的です。短期的・補助的な人材が必要な場合や、将来の採用を見据えたインターンシップのような活用方法に適しています。



職種制限のない「身分または地位に基づく在留資格」

永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者などの在留資格保持者は、職種や勤務時間の制限なく就労できます。在留期間や就労内容に制約がないため、建設業のあらゆる職種に従事可能です。


採用手続きは日本人とほぼ同様で、在留資格の変更申請等も不要です。すでに日本社会に定着しており、日本語能力も比較的高い人材が多いため、コミュニケーションの面でも採用しやすい傾向があります。



初めての外国人採用ガイド(選考~内定)

建設業における外国人労働者の採用手順

面接をする社員

外国人労働者のおおまかな採用手順は以下の通りです。


  1. 外国人労働者を募集

  2. 在留資格を確認

  3. 雇用状況の届出を提出


国内外どちらの外国人労働者を採用するかによって、手順が異なります。海外在住者の場合は「在留資格認定証明書」の取得、国内在住者については現有資格を確認し、必要に応じて「在留資格変更許可申請」を行います。


採用後は、雇用形態を問わずハローワークへの「外国人雇用状況届出書」の提出が義務付けられています。


なお外国人採用の詳しい手順や注意点は、こちらの記事で解説しているので参考にしてください。


初めての外国人採用ガイド(内定~入社編)

建設業で外国人労働者を採用する際の注意点5つ

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外国人労働者を採用する際には、特有の注意点があります。スムーズな受入れと長期的な定着を実現するために、以下のポイントに留意しましょう。


  1. 言語に配慮した労災・安全面の対策

  2. 同一労働・同一賃金の遵守

  3. 異文化・仕事観への相互理解

  4. 外国人労働者雇用時の必要書類の確認

  5. 社会・労働保険の加入義務は日本人と同様


それぞれ解説します。


言語に配慮した労災・安全面の対策

建設現場では、言語の壁による事故を防ぐため、母国語対応の安全教育が重要です。マニュアルは直感的に理解できるよう、イラストや多言語で作成しましょう。


安全標識はピクトグラムや色分けを活用し、全員が理解できる表示を徹底します。また、日本語と母国語を組み合わせた共通フレーズを用いた安全確認も効果的です。


同一労働・同一賃金の遵守

外国人労働者に対しても、日本人と同等の労働条件を提供することが法律で求められています。同一労働同一賃金は、国籍を問わず適用される重要な原則です。同じ仕事内容・責任・スキルレベルであれば、国籍による賃金差別は禁止されており、公正な評価と処遇が必要です。外国人労働者にもこれらの権利があることを明確に伝え、適正な労働時間管理を行いましょう。



異文化・仕事観への相互理解

宗教的習慣への配慮は特に重要で、例えばイスラム教徒の場合は1日に数回の礼拝時間が必要な場合があり、ラマダン期間中は日中の断食を行うこともあります。また、豚や酒類の摂取が禁じられているため、食事への配慮も必要でしょう。


コミュニケーションスタイルの違いについて認識しておくことも大切です。直接的な表現を好む文化もあれば、間接的な表現を好む文化もあります。多文化理解のための研修や外国人労働者の出身国の文化や習慣についての基本知識を共有するなど、相互理解を深めるための取り組みとして、定期的な交流イベントの開催なども効果的です。


④外国人労働者雇用時の必要書類の確認

外国人労働者を雇用する際には、必要書類を適切に準備しましょう。企業側は雇用契約書や決算報告書、雇用理由書などを準備する必要があります。一方外国人はパスポートや履歴書、日本語能力証明などが必要です。


さらに、在留資格ごとに別の書類が必要です。技能実習の場合は計画書や実習実施者・監理団体の概要書、特定技能では特定技能雇用契約書などが求められるため、事前に確認しておきましょう。



社会・労働保険の加入義務は日本人と同様

外国人労働者も日本人と同様に各種保険への加入が義務付けられています。健康保険・厚生年金は国籍に関係なく、原則として適用事業所で働く70歳未満の常時労働者に加入義務があります。パートやアルバイトの方でも通常の労働者の4分の3以上の労働時間・日数で働く場合と、以下3つの条件を全て満たす場合は加入対象となります。


  1. 週の所定労働時間が20時間以上あること

  2. 所定内賃金が月額8.8万円以上であること

  3. 学生でないこと


雇用保険は雇用期間が31日以上、また週20時間以上働く労働者に加入義務があり、管轄のハローワークで手続きします。労災保険は全ての労働者が対象で、労働基準監督署で手続きを行います。

技能実習生や特定技能外国人も加入対象で、短期雇用でも労災保険は必須です。保険料は健康保険・厚生年金が労使折半、雇用保険は労使で割合が異なり、労災保険は全額事業主負担となります。




初めての外国人採用ガイド(入社~定着編)

建設業で働く外国人労働者についてよくある質問

建設業で働く外国人労働者について、よくある質問と回答をまとめました。


建設業の外国人労働者の賃金はいくらですか?

法律上、国籍を理由に賃金を不当に低く設定することは固く禁じられており、同一の技能や経験を持つ日本人従業員と同等以上の報酬を支払う義務があります。これは「同一労働同一賃金」の原則に基づくものです。そのため、日本人と同じ考え方や基準で給与を設定するのが基本です。


参考として、国税庁の調査によると建設業界の平均年収は約509万円とのこと。ただし、地域や職種、本人の経験年数、保有する資格(玉掛け、足場の組立て等作業主任者など)によって変動します。



外国人労働者を雇用するにあたっての要件はありますか?

現場で働く「特定技能」の外国人材を受け入れる場合、雇用する企業は建設業法に基づく建設業許可を受けていることが必須要件となります。これは、国土交通省が定める受け入れ基準のひとつです。したがって、現場技能者を特定技能で雇用したいのであれば、建設業許可は不可欠と言えます。


一方、施工管理などを担う「技術・人文知識・国際業務」の人材を雇用する場合、会社の事業が許可不要の軽微な工事の範囲内であれば、建設業許可は必須ではありません。


建設現場に外国人が入場する際はどのような書類が必要ですか?

元請事業者は、現場の安全管理と法令遵守のため、入場する全ての作業員の情報を確認します。外国人材の場合、主に以下の書類の提出が求められます。


  • 在留カード(両面の写し)

  • 雇用契約書

  • 社会保険の加入がわかるもの(健康保険証など)

  • 建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録カード

  • 安全衛生教育実施の証明書


これらは通常、所属する会社(下請事業者)を通じて、作業員名簿と共に元請事業者へ提出されます。


まとめ

深刻な人手不足が続く日本の建設業において、外国人労働者の存在は今や欠かせないものとなっています。特定技能・技能実習・技術・人文知識・国際業務など、在留資格の枠組みを正しく理解し、適切に受け入れることで、企業は即戦力の確保と競争力強化を推進できるでしょう。


一方で、言語・文化・安全意識などの違いを踏まえた丁寧なマネジメントや、法令遵守も不可欠です。グローバルな視点で人材戦略を構築できる企業こそが、これからの建設業界で持続的な成長を遂げていくでしょう。


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Connect Job編集部


世界中のトップクラス人材と企業を繋ぐ外国人採用のトータルサポート「Connect Job」。Connect Job編集部は外国人採用と長年向き合ってきた経験をもとに、採用に役立つ実践的なノウハウや最新動向をお届けします。

企業の採用現場でよくある課題や、採用担当者・外国人社員の声など、現場をよく知る社員が編集を担当しています。リアルな現状を知る私たちから、「プロフェッショナル」かつ「現場目線」で役立つコンテンツを発信しています。


運営会社:フォースバレー・コンシェルジュ株式会社(https://www.4th-valley.com



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