外国人ドライバー(トラック・タクシー・バスドライバー)採用のカギ|特定技能「自動車運送業」の受け入れ要件や試験をわかりやすく解説|外国人・グローバル人材採用|Connect Job
- Hayato Kuroda
- 2 日前
- 読了時間: 23分
更新日:1 日前

運送業界における人手不足は年々深刻化しており、特にトラック・バス・タクシーなどのドライバー業については、高齢化と労働環境の課題から国内人材の確保が困難な状況が続いています。
そのような状況下、解決策の1つとして「特定技能」による外国人ドライバーの採用が注目を集めています。
本記事では、特定技能「自動車運送業」制度の基本から、採用要件、試験情報、そして実際の採用フローまで、人事担当者が知っておくべき情報を徹底解説します。外国人ドライバー採用を成功させるためのポイントをご確認下さい。
目次
特定技能「自動車運送業」について

自動車運送業界では、業務特性に起因する長時間労働や、ドライバーの高齢化が進行し、人材確保が大きな課題となっています。この問題に対処するため、働き方改革関連法により時間外労働の上限規制が設けられました。
その一方で、以下に見られるEコマース市場の急成長に伴い物流需要は拡大し続け、運送業界の人手不足はさらに悪化する見通しです。
BtoC-EC市場規模の経年推移(単位:億円)
このような背景から、在留資格「特定技能」制度において「自動車運送業分野」が対象に加えられ、トラック・タクシー・バスの3業種で外国人ドライバーの受入れが可能となりました。ただし、雇用形態は直接雇用のフルタイムに限られており、派遣での就労は認められていないことに注意が必要です。
自動車運送業(ドライバー)の主な業務
トラックドライバーの主な業務
運行管理者等の指導・監督の下、貨物自動車運送事業において重要な役割を担います。主な業務は大きく分けて「運行業務」と「荷役業務」の2つです。
運行業務では、出発前後の車両点検を入念に行い、安全な貨物輸送を実施します。また、乗務記録の作成など運行に関わる書類管理も欠かせません。荷役業務では、荷崩れを防止するための適切な積付け技術が求められます。
関連業務として、以下の作業にも付随的に従事することができます。
車内清掃作業
洗車作業
営業所内清掃作業
その他、主たる業務に関連する付随作業
ただし、これらの関連業務だけを専門的に行うことは認められていません。あくまで主業務は「運転と荷役」であり、日本人ドライバーが通常行う業務範囲内での就労となります。
トラックドライバーの業務範囲
トラック運送業では、一般的な貨物輸送だけでなく、さまざまな種類の運送業務に特定技能外国人を従事させることが可能です。例えば、廃棄物を運搬するトラックの運転についても、受入れ企業が道路運送法に規定する自動車運送事業を経営しており、必要な認証を取得していれば、外国人ドライバーを配置できます。
また、貨物軽自動車運送事業(軽トラックなどによる運送業務)についても、受入れ要件を満たした事業者であれば、特定技能外国人を従事させることが可能です。ただし、貨物軽自動車運送事業のみを行っている事業者は、「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)」や「Gマーク制度」の対象外となるため、特定技能外国人を受け入れることはできません。
なお、海外で第一種大型免許に相当する免許を取得している場合、日本での外免切替は段階的に行う必要があります。まず、普通自動車運転免許への切替を行い、その後第一種大型免許への切替という流れになります。「特定活動」期間中に行えるのは普通自動車運転免許への外免切替までで、大型免許への切替は特定技能1号取得後に行うことになります。
タクシードライバーの主な業務
運行管理者等の指導・監督のもと、一般乗用旅客自動車運送事業における多様な業務を担当します。主な業務は「運行業務」と「接遇業務」に分類されます。
運行業務では、運行前後の車両点検を徹底し、お客様を安全に目的地まで輸送することが最も重要です。同時に、乗務記録の正確な作成も求められます。接遇業務では、乗客への丁寧な対応やサービス提供が必要となります。
付随する関連業務としては、以下の作業が想定されています。
車内清掃作業
営業所内清掃作業
運賃精算、管理
その他、主たる業務に付随して行う作業
これらの関連業務は、主業務の合間に行うものであり、特定技能外国人を接遇や運転以外の業務だけに専従させることはできません。
バスドライバーの主な業務
運行管理者等の指導・監督の下、一般乗合旅客自動車運送事業、一般貸切旅客自動車運送事業または特定旅客自動車運送事業に従事します。主要業務は「運行業務」と「接遇業務」です。
運行業務には、出発前後の車両状態確認、多くの乗客を安全に輸送すること、そして詳細な乗務記録の作成が含まれます。接遇業務では、さまざまな乗客に対する適切な対応やサービス提供が重要となります。
日常的に行う関連業務の例は以下の通りです。
車内清掃作業
営業所内清掃作業
運賃精算、管理
その他、主たる業務に関連する作業
ただし関連業務は、バス運転の主業務を補完するものであり、これらの業務だけを専門的に行わせることはできません。日本人バスドライバーが、通常行う業務の範囲内で就労することが求められます。
技能実習生から自動車運送業の特定技能に移行できる?
自動車運送業分野では。現時点で技能実習制度自体が設けられてないため、この分野での直接移行することはできません。
ただし他分野(例:建設、製造業など)で技能実習2号を良好に修了した外国人であれば、自動車運送業の特定技能評価試験と日本語能力要件を満たすことで、自動車運送業の特定技能1号への移行が可能です。
自動車運送業界の人手不足について

自動車運送業界における人手不足は年々深刻さを増しています。コロナ禍での離職増加や、自動車運送事業における時間外労働規制の見直し(いわゆる「2024年問題」)も重なり、物流・人流を支えるエッセンシャルワーカーであるドライバーの確保が喫緊の課題となっています。
今後5年間の輸送需要推移を考慮した5年後の必要就業者数は、合計約159万人と想定されています。内訳を見ると、トラック運送業で約118万人、タクシー運送業で約29万人、バス運送業で約12万人となっています。
これに対し現状のままでは、5年後に合計約29万人もの人手不足が発生すると推計されています。業種別ではトラック運送業で約20万人、タクシー運送業で約7万人、バス運送業で約2万人が不足する見込みです。
この深刻な状況は、求人倍率からも明らかです。令和4年度の自動車運送業分野における有効求人倍率は2.61倍でしたが、2025年2月時点では自動車運転従事者の有効求人倍率が2.71倍にまで上昇しています。これに対応するため、令和6年度からの向こう5年間における特定技能「自動車運送業」分野での外国人受入れ見込数は最大で2万4,500人と設定され、令和10年度末までの受入れ上限として運用されることになりました。この数字は深刻な人手不足の一部を補うための重要な施策として位置づけられています。
このような状況を背景に、特定技能「自動車運送業」の在留資格を活用した外国人ドライバーの採用は、業界の人手不足解消に向けた有効な手段として期待されています。
自動車運送業の申請要件について

特定技能「自動車運送業」分野での外国人ドライバー採用には、申請人(外国人本人)と受入れ企業の双方が満たすべき要件があります。これらの要件は安全な運転と適切な労働環境を確保するために設けられたものです。
外国人ドライバー(申請人)に必要な要件
特定技能「自動車運送業」分野の在留資格を取得するためには、まず外国人ドライバー本人が従事する業務に必要な知識または技能を持ち、また日本での生活および業務に必要な日本語能力を有していることが求められます。
さらにドライバーごとに、以下の具体的な要件が必要です。
トラックドライバーに必要な特定技能要件
自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)に合格すること
第一種運転免許を有していること
日本語能力は国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験(N4以上)で証明
タクシードライバーに必要な特定技能要件
自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー)に合格すること
第二種運転免許を有していること
日本語能力試験(N3以上)で日本語能力を証明
バスドライバーに必要な特定技能要件
自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス)に合格すること
第二種運転免許を有していること
日本語能力試験(N3以上)で日本語能力を証明
バス・タクシードライバーに必要な新任運転者研修とは
バス・タクシードライバーとして特定技能の在留資格で就労する場合、就労開始後に受入れ企業が実施する「新任運転者研修」の受講と修了が義務付けられています。この研修は、国土交通省の「旅客自動車運送事業運輸規則(第38条の2)」に基づくもので、以下の内容が含まれます:
座学研修(法令、接遇、地理、安全に関する研修)
路上走行研修
適性診断
研修の修了は、業界団体が定めた効果測定の基準に基づいて判定されます。乗客の安全確保やサービス品質の維持を目的とした重要な制度であり、外国人ドライバーに対しても適用されます。
受入れ事業者に必要な要件
自動車運送業分野で外国人材を受け入れるためには、企業側も一定の要件を満たす必要があります。運行管理の不備は事故につながり、不適切な労務管理は過重労働を引き起こす恐れがあるため、以下の業界特有の要件が設けられています。
道路運送法第2条第2項に規定する「自動車運送事業を経営する事業者」であること
「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)」の認証を受けていること、または全日本トラック協会による「Gマーク制度」に基づく認定を受けた安全性優良事業所を有していること
日本標準産業分類「43道路旅客運送業」または「44道路貨物運送業」のいずれかに該当すること
自動車運送業分野特定技能協議会に加入すること
タクシー・バスの場合は「新任運転者研修」を実施すること(トラックについては、国土交通省告示により「初任運転者研修」の実施が求められます)
運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)の認証を取得しているか
受入れ企業は、一般財団法人日本海事協会が実施する「働きやすい職場認証制度」の認証を取得する必要があります。
この制度は、職場環境改善に向けたトラック、バス、タクシー事業者の取り組みを「見える化」することで、求職者の運転者への就職を促進し、各事業者の人材確保の取組みを後押しすることを目的としています。
なお、下記6分野について、基本的な取組要件を満たせば認証を取得できます
法令遵守等
労働時間・休日
心身の健
安心・安定
多様な人材の確保・育成
自主性・先進性等
また、運送事業許可取得後3年以上経過していることも条件となります。
申請受付期間は年に数回と限られており、事前に申請スケジュールを確認することが重要です。参考として、2024年度の申請スケジュールは4月16日~5月31日と、7月1日~9月15日でした。認証には有効期限があるため、定期的な更新も必要です。
安全性優良事業所(Gマーク)を保有しているか
トラック事業者は「働きやすい職場認証制度」の代わりに「Gマーク制度」の認証取得でも要件を満たせます。「Gマーク制度」は輸送の安全確保に取り組む事業所を認定する制度で、法令遵守状況、事故・違反の発生状況、安全への取組姿勢などが評価されます。
以下の3つの認定要件をクリアすれば、安全性優良事業所として認定されます。
安全性に対する法令の遵守状況
事故や違反の状況
安全性に対する取組の積極性
こちらも運送事業許可取得後3年以上が経過していることに加え、配置する事業用自動車が5台以上などの条件があります。
「Gマーク制度」の認証は事業所単位で取得します。ただし特定技能外国人の受け入れに関しては、同一法人内の別事業所でGマークを取得していれば要件を満たすとされています(国土交通省の運用方針による)。申請は年に1回(7月)しかできないため、申請のタイミングを逃さないよう注意が必要です。また有効期限があり、定期的な更新が必要です。
協議会への加入
自動車運送業分野で外国人材を受け入れるためには、「自動車運送業分野特定技能協議会」への加入も必要です。在留資格申請前までに加入手続きを完了しておかなければなりません。
なお、自動車運送業分野特定技能協議会は2025年1月17日から加入受付を開始しており、国土交通省のホームページから加入届出書を提出することができます。
自動車運送業のための準備活動について

特定技能「自動車運送業」の在留資格でドライバーとして働くためには、日本の運転免許取得や研修修了などの準備が必要です。
「特定技能1号」の申請時点で、これらの要件を満たしていない外国人も中には存在するのですが、そのような人のために用意された特別な在留資格が「特定活動(特定自動車運送業準備)」制度です。
「特定活動(特定自動車運送業準備)」制度とは
外国人が特定技能1号として自動車運送業分野で働くには、日本の運転免許の取得が必須条件です。さらにタクシーとバスの場合は、新任運転者研修も修了しなければいけません。
これらの準備活動を行うための特別な在留資格として、特定活動(特定自動車運送業準備)が設けられています。しかし、この制度を利用することで外国人は特定技能1号の本申請前に、運転免許の取得や必要な研修を受けるための活動を合法的に行うことができます。
認められる活動内容
「特定活動(特定自動車運送業準備)」で認められる活動は次の通りです。
外国免許切替等による運転免許取得に関する手続き(自動車教習所への通学を含む)
新任運転者研修の受講(タクシー運送業およびバス運送業の場合)
車両の清掃など関連業務の補助
この在留資格では原則として運転業務自体は認められていません。あくまで特定技能1号取得のための準備活動が主目的です。
在留期間について
「特定活動(特定自動車運送業準備)」の在留期間は、志望する業種によって異なります。
トラック運転者の場合:6ヶ月
タクシー運転者およびバス運転者の場合:1年
重要なポイントとして、在留資格の期間は更新できません。また、運転免許の取得および新任運転者研修(タクシー・バスの場合)を修了した時点で、在留期間が残っていたとしても、速やかに「特定技能1号」への在留資格変更許可申請を行う必要があります。
なお、この特定活動で在留した期間は、特定技能1号の通算在留期間(最長5年)には含まれないため、特定技能1号としての活動期間が短くなることはありません。
申請要件
「特定活動(特定自動車運送業準備)」を申請する外国人本人(特定自動車運送業準備外国人)および受入れ機関(特定自動車運送業準備所属機関)は、運転免許取得と研修修了の要件を除き、その他の要件については特定技能1号と同様の基準を満たす必要があります。
具体的には、外国人本人は特定技能評価試験と日本語能力試験に合格していること、受入れ企業は「働きやすい職場認証制度」の認証または「Gマーク制度」の認定を受けていることなどが求められます。
雇用契約について
自動車運送業分野で特定技能を目指す外国人は、将来特定技能1号として活動を行う予定の企業と雇用契約を結びます。つまり、準備活動から特定技能1号への移行までを同じ企業で行うことが前提となっています。
この雇用契約に基づき、外国人は運転免許取得のための教習所通学や研修受講などの活動を行います。雇用契約では、準備期間中の待遇や就労条件についても明確に定められている必要があります。
活用のメリット
この制度の最大のメリットは、外国人材が日本に滞在しながら運転免許の取得や研修受講を進められることです。これにより、特定技能1号への円滑な移行が可能となり、外国人ドライバーをスムーズに雇用したい企業にとっても大きなメリットとなります。
また、この間に日本の交通ルールや職場環境になじむための時間も確保できるため、特定技能1号として本格的に業務を開始した際の適応もスムーズになると期待されます。
自動車運送業分野特定技能1号評価の試験情報

自動車運送業分野特定技能1号評価試験は、トラック、タクシー、バスの運転業務において外国人が即戦力として働くために必要な知識や経験を有しているかを確認するための試験です。日本で特定技能の在留資格を取得し、自動車運送業分野で就労を希望する外国人を対象としています。
試験方法
試験には以下2つの実施方法があります。
CBT試験:テストセンターでコンピュータを使用して実施します。
出張試験:試験実施機関の担当者が申請者の希望する場所に出向き、ペーパーテスト方式で実施します。
試験内容と形式
試験は学科試験と実技試験で構成されています。学科試験は正誤問題、実技試験は三肢択一問題(3つの選択肢から正解を選ぶ形式)です。
トラック運送業の試験は日本語のみで実施されますが、バス・タクシー運送業では一部多言語が併記されている点が特徴です。
受験料
受験料は受験する場所によって異なります。
国内での試験:5,000円(税抜)
海外での試験:37米ドル
合否結果と合格証明書
合否結果は試験後1週間程度でシステム上で確認できます。ただし、海外での出張試験の場合はさらに時間がかかる場合があります。
合格証明書は、特定技能の在留資格を取得するために必要な書類の1つです。この証明書は当該外国人を雇用する企業(または雇用を予定している企業)の申請に基づいて発行されます。申請の際は以下の点に注意が必要です。
合格証明書には申請アカウントに登録されている企業名が「所属機関名」として記載され、発行後の変更はできません。
合格証明書の請求書は申請アカウントに登録されている企業宛てに発行され、宛先の変更はできません。
合格証明書の有効期間は受験日から10年間となっています。有効期間内であれば、特定技能の在留資格申請に使用することができます。
自動車運送業分野の評価試験に必要な運転免許の取り方

特定技能1号(自動車運送業分野)の在留資格を取得するためには、日本の運転免許証が必須です。日本の運転免許を持っていない外国人は、以下の2つの方法で取得することができます。
1. 日本の自動車教習所で教習を受けて運転免許を取得する
トラック運転者の場合
教習所に通い、業務内容に応じて第一種普通免許、準中型免許、中型免許、または大型免許の取得が必要です。大型免許の場合は、原則として21歳以上で運転経験が3年以上必要ですが、特例教習を受講することで「19歳以上・普通免許等保有1年以上」の条件に緩和されます。
タクシー・バス運転者の場合
タクシーとバスドライバーの場合は第二種運転免許が必要となります。通常は第一種免許取得後、3年以上の運転経験を経て第二種免許試験の受験資格が得られますが、こちらも特例教習を受講することで「19歳以上・普通免許等保有1年以上」に要件が緩和されます。
近年、外国人採用の促進を目的として、2024年6月から運転免許の学科試験が20言語で受験可能になりました。対応言語には英語、中国語、ベトナム語、ネパール語、タガログ語、インドネシア語など、特定技能での来日が多い国の言語が含まれています。これはタクシー・バスに必要な第二種運転免許の学科試験や、外国免許切替時の知識確認試験にも適用されます。
なお、中型・大型免許の取得に必要な「普通免許取得後の運転経験」については、日本国内の運転経験だけでなく、海外での運転経験も含めることができます。ただし、その場合は運転経験の証明が必要となるため、詳細は警察庁への確認をおすすめします。
免許取得にかかる費用
教習所での免許取得費用は、地域や教習所、免許の種類によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
普通自動車免許(AT車)通学コース:25万円〜35万円程度
合宿免許の場合:20万円〜30万円程度
受験料・免許証交付手数料:3,800円程度
2. 外国免許から日本の運転免許への切替(外免切替)
既に母国で運転免許を取得している場合は、日本の運転免許センターで外免切替手続きを行うことができます。外免切替には以下の条件を満たさなければいけません。
有効な外国の運転免許証を所持していること
外国免許証取得後、取得国での滞在が通算して3ヶ月以上あること
通常、外免切替では「知識確認」と「技能確認」を受ける必要があります。
知識確認は日本の交通ルールを問う筆記試験で、技能確認では実際の運転が審査される流れです。ただし、アイスランドやアメリカ合衆国(一部州)、イギリス、韓国、台湾など計29の国・地域は、これらの確認が免除される特例が設けられています。
特定技能での受入れが多いベトナム、インドネシア、フィリピン、ミャンマーなどは免除対象外ですので注意が必要です。
また知識確認試験は、日本語のほか、英語、中国語、ベトナム語、タガログ語など多言語で受験可能です。しかし、対応言語は各都道府県の運転免許センターによって異なるため、事前に確認することをおすすめします。
運転免許の取得タイミング
運転免許の取得タイミングは、外国人の居住状況によって異なります。
海外居住の外国人の場合
特定技能評価試験と日本語試験に合格した後、日本に入国し、「特定活動(特定自動車運送業準備)」の在留資格期間中に運転免許を取得します。在留期間はバス・タクシードライバー志望者は最長1年間、トラックドライバー志望者は最長6ヶ月間です。
日本居住の外国人の場合
特定技能評価試験と日本語試験に合格後、現在の在留資格から特定技能への変更申請を行う前に、日本の運転免許を取得しておかなければなりません。
なお、特定技能評価試験を受験するためには、日本または外国の有効な運転免許を保持していることが前提条件となります。
運転免許取得時の注意点と制限事項
外国人は、在留期間内に「外免切替」または教習所での教習を通じて、日本の運転免許を取得しなければなりません。特定活動期間中に日本の運転免許を取得できなかった場合、特定技能の在留資格を取得することはできず、特定活動の在留期間延長も認められません。
バス業務に従事するためには、特定活動期間中に大型二種免許を取得することが求められます。これは、運転技能だけでなく、乗客の安全確保に必要な高度な知識と判断力を持つことが前提とされるためです。
なお、国際運転免許証のみを所持している外国人は、特定技能外国人として運転業務に従事することはできません。必ず日本の運転免許証(大型二種を含む)を取得する必要があります。
外国人ドライバーの採用フロー

人手不足に悩む自動車運送業界では、外国人ドライバーの採用が現実的な解決策として注目されています。採用フローは国内在住の外国人と海外在住の外国人で異なりますので、それぞれの流れを解説します。
国内在住の外国人の採用フロー
募集活動 まずは求人広告の掲載や人材紹介会社の活用などで候補者を募集します。特定技能ドライバーに特化した求人サイトや、すでに日本語能力を持つ在留外国人向けの求人媒体の活用が効果的です。
雇用契約締結 採用面接を経て適性が確認できた候補者と雇用契約を結びます。特定技能の雇用契約では、日本人と同等以上の報酬条件を提示することが求められます。契約書は候補者が理解できる言語で作成するか、通訳を介して内容を正確に伝えることが重要です。
在留資格変更申請 すでに日本に在留している外国人の場合、現在の在留資格から「特定技能1号(自動車運送業)」への変更申請を行います。運転免許未取得者の場合は、まず「特定活動(特定自動車運送業準備)」への変更申請を行い、免許取得後に特定技能1号へ移行します。
就業開始 在留資格変更が許可され、必要な免許や研修を修了すれば、正式に外国人ドライバーとして就業が可能になります。
海外在住の外国人の採用フロー
募集活動 現地の送り出し機関や人材紹介会社と連携し、候補者を募集します。オンライン面接などを活用して、直接コミュニケーションを取りながら選考を進めることが一般的です。
雇用契約締結 適切な候補者が見つかれば、雇用契約を締結します。契約内容は母国語または理解できる言語で説明し、労働条件や生活サポート内容を明確にすることが重要です。
在留資格認定証明書交付申請 企業側が出入国在留管理局に「在留資格認定証明書交付申請」を行います。この証明書は外国人がビザ申請する際に必要となる書類です。
ビザ取得 在留資格認定証明書が交付されたら、外国人は自国の日本大使館または領事館でビザを申請・取得します。
特定技能1号取得のための準備「特定活動」(必要に応じて)運転免許未取得者の場合、まず「特定活動(特定自動車運送業準備)」の在留資格で入国し、日本の運転免許取得や研修受講などの準備活動を行います。トラック運転者の場合は最長6ヶ月間、タクシー・バス運転者の場合は最長1年間の在留が認められます。
就業開始 全ての要件を満たし、特定技能1号への在留資格変更が許可されれば、正式に外国人ドライバーとして就業開始となります。
注意点として外国人ドライバー採用では、言語や文化の違いに配慮した職場環境の整備が重要です。「やさしい日本語」の活用や視覚的な業務マニュアルの作成、生活面のサポート体制の構築など、外国人が働きやすい環境づくりを心がけましょう。
特定技能外国人に対する支援義務について

特定技能制度では、受入れ企業に対して外国人材への包括的な支援提供が義務付けられています。この支援は来日前の事前ガイダンスから始まり、入国時の出迎えや住居確保のサポート、生活に必要な契約手続き(銀行口座開設、携帯電話契約など)の支援が含まれます。
また、生活オリエンテーションの実施や各種行政手続きへの同行、日本語学習機会の提供、日常生活での悩みに対する相談対応、地域住民との交流促進なども重要な支援項目です。さらに企業側の事情で雇用契約を解除する場合には転職支援も求められ、その一環である外国人との面談は定期的な実施が望ましいとされています。また、不正行為や問題が発生した場合には、必要に応じて行政機関への報告が求められます。
これらの支援は、全て外国人が理解できる言語(通常は母国語)で行う必要があるため、多言語対応可能なスタッフの配置や通訳者の手配など、企業側の体制整備が求められます。しかし、社内での支援体制構築が難しい場合には、外国人支援を専門とする「登録支援機関」に委託することも可能です。特に外国人受入れ経験がない企業や社内リソースが限られている場合は、専門機関への委託を検討するとよいでしょう。これらの支援は単なる法的義務ではなく、外国人ドライバーの早期戦力化と定着率向上に直結する重要な要素といえます。
まとめ
人手不足が深刻な運送業界における特定技能「自動車運送業」は大きな恩恵をもたらす一方、申請には複雑な要件と手続きが多く、企業が単独で取り組むには大きな負担となります。
このような課題解決のため外国人採用を検討されている企業は、ぜひ専門家への相談から始めてみてください。
Connect Jobでは在留資格申請から採用活動、受入れ体制構築まで一貫したサポートを提供し、京王バスの事例のような成功実績があります。外国人ドライバー採用に関するご質問やご相談についてはお気軽にお問い合わせください。
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