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特定技能「自動車整備」とは?業務内容や1号・2号の取得方法を解説

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  • 4月10日
  • 読了時間: 15分

更新日:10月30日

自動車整備分野で外国人材を採用する要件は?受入れメリットや特定技能2号の試験内容|外国人・グローバル人材採用|Connect Job

日本の自動車整備業界では、整備士の高齢化と若手人材の減少により、深刻な人手不足が続いています。自動車の保有台数は横ばいで推移している一方、整備士の担い手は年々減少し、現場では慢性的な人材不足が課題となっています。


そこで注目されているのが、2019年にスタートした「特定技能」という新たな在留資格制度です。


この記事では、特定技能の「自動車整備」分野について、制度の概要や受け入れ対象者、業務内容、資格取得の流れを詳しく解説します。自動車整備業界で外国人材の採用検討している企業の方は、ぜひ参考にしてください。


初めての外国人採用ガイド (選考~内定編)


目次



1.特定技能の「自動車整備」とは?

特定技能の「自動車整備」とは?

「特定技能の自動車整備」は、自動車の点検、整備や修理に関する十分な知識・技能を有し、なおかつ日常会話レベルの日本語能力を持った外国人材を受け入れるための在留資格です。


2019年4月に施行された特定技能制度では、人手不足が深刻な12分野(14業種)の中の1つとして、自動車整備分野も新たに受け入れ対象となりました。(現在の特定技能制度は16分野)


自動車整備士を目指す外国人材にとっては、日本で専門技術を学びながら働ける魅力的な選択肢です。企業側にとっては優秀な人材を中長期的に確保する手段として注目を集めています。


なお、特定技能で就労可能な16分野の詳細は、以下の記事をご覧ください。


特定技能「自動車整備」が設立された背景

車の新技術が高度化している一方で、自動車整備士を目指す若者は減少傾向にあり、従来の採用手法では十分な人材の確保が困難な状況です。


そこで政府は、即戦力となる、専門技術を身につけた外国人材を受け入れる在留資格を設けました。


受け入れ人数の推移と対象となる人材


特定技能「自動車整備」分野の受け入れ見込み人数は、制度開始から5年間で最大6,500人(2024年3月迄)とされていましたが、令和6年4月からさらに5年間で1万人程度の受け入れが見込まれています。


なお、特定技能「自動車整備」を取得して日本で働く外国人材は、一定レベルの自動車整備技術と日常会話レベルの日本語能力を兼ね備えていることが前提です。


具体的には、所定の技能試験と日本語試験に合格した外国人、あるいは自動車整備に関する技能実習2号を良好に修了した外国人が該当します。また、自動車整備士資格を母国で取得している方も多く、比較的短期間で日本の現場になじみやすい点も特徴です。




2.特定技能「自動車整備」の外国人材が従事できる職種・業種

特定技能「自動車整備」の外国人材が従事できる職種・業種

特定技能「自動車整備」の在留資格を取得した外国人材は、整備工場だけでなく、ガソリンスタンドやカー用品店、バス会社、タクシー会社など、地方運輸局長から認証を受けた事業場での就労が認められます。


認証工場とは、適切な設備と人員を備え、自動車の分解整備や定期点検などを実施できる施設として国から認められた事業場です。もし認証を受けていない場合は、まず道路運送車両法に基づく認証手続きを完了させましょう。

就労できる職種・業種

概要

自動車整備工場

日常整備だけでなく、故障修理や車検作業など多彩な業務が発生するため、スキルアップにもつながりやすい環境

ガソリンスタンド

(整備ピットを有する場合に限る)


整備業務以外ばかりに従事させると制度違反となるため、整備士としての業務が主体となる環境づくりが必要

カー用品店・カーグッズショップ

(整備ピットを有する場合に限る)

アクセサリー用品の取り付けや軽微な点検が主だが、より高度な分解整備を行う場合もある

バス会社

大型バスの整備は高度な知識が求められる場面が多いため、外国人材のスキルアップにとっては有益な職場

タクシー会社(地方運輸局長の認証を受けている場合)

タクシー車両は台数が多く、かつ短いスパンで整備や部品交換が必要になるため、外国人材が活躍しやすい環境といえる

中古車販売店

(認証工場を有する場合)

納車前点検や修理、部品交換などを担うことで、即戦力として重宝される




従事できる業務内容


特定技能「自動車整備」従事できる業務内容

特定技能「自動車整備」では、以下の業務が可能です。

業務の種類

内容

日常点検

日常的に行うタイヤやブレーキ液、冷却水の点検、エンジンのかかり具合などをチェックし、必要に応じて補充や交換を行う

定期点検

道路運送車両法で定められた一定期間ごとの点検(12カ月点検、24カ月点検など)を行い、ステアリング装置やブレーキ装置、排気ガス抑制装置、ランプ類など、多岐にわたる項目を評価・整備する

分解整備

エンジンやギアボックスなどの重要保安部品を取り外して整備や修理を行う

付随する関連業務

整備内容の説明や部品の販売、電装品の取り付け、車内清掃、洗車などに付随的に従事することが可能


特定技能「自動車整備」では、自動車の日常点検整備や定期点検整備のほか、エンジンやブレーキなどの重要保安部品を含む分解整備が許可されています。ただし、日本の道路運送車両法に基づく厳格な基準を満たさなければいけません。


また、関連業務のみに従事することは認められず、あくまでも整備業務が中心となる点には注意しましょう。



3.外国人材が特定技能1号「自動車整備」を取得する方法

外国人材が特定技能1号「自動車整備」を取得する方法

特定技能「自動車整備」を取得するためには、下記の条件を満たさなければいけません。


自動車整備分野特定技能1号評価試験 または 自動車整備士技能検定試験3級 に合格

日本語能力試験(N4以上)または国際交流基金日本語基礎テストに合格


技能試験および日本語能力試験について、詳しく解説していきます。


1.1「自動車整備分野特定技能1号評価試験」に合格する


「自動車整備分野特定技能1号評価試験」とは、外国人材が特定技能1号「自動車整備」を取得するために必要な試験の1つで、自動車整備の技能を測るために学科試験と実技試験の両方が行われます。


自動車の構造や整備手順などを網羅的に問われるため、合格のためには事前の学習が欠かせません。合格後には一定期間の有効期限がある合格証が発行され、企業との雇用契約が決まった際に正式な在留資格の申請手続きに使用します。


■ 学科試験の内容

  • 自動車の構造・機能および取扱方法に関する基礎知識

  • 点検・修理・調整に関する初歩的知識

  • 整備用試験機器・計量器・工具の構造と取り扱い

  • 材料および燃料・油脂の性質と用途


■ 実技試験の内容

  • 簡単な基本工作

  • 分解・組立て・点検および調整

  • 簡単な修理

  • 整備用計測器および工具の取扱い


区分



形式・内容

問題数

試験時間

合格基準

学科試験


○×式(真偽法)



30問



60分

正解率65%以上

実技試験

判断等試験(図解・動画による状況判断)

3課題

20分

得点合計60%以上




■ 試験概要(2025年度)合格者には合格証明書が発行され、有効期間は発行日から1年間です。


■ 受験から就労までの流れ(2025年度版)

  1. 試験予約サイトにアクセスし、会場と日程を選択

  2. 受験料を決済(クレジットカードまたはオンライン決済)

  3. 学科・実技試験を受験

  4. 日整連Webサイトで合否確認(試験日から30日以内)

  5. 合格後、受入れ企業と雇用契約を締結

  6. 企業が日整連に合格証明書の交付を申請

  7. 合格証明書の交付を受け、在留資格申請手続きへ進む(出国前または在留資格変更)


試験期間:2025年4月11日〜2026年3月10日

予約受付:2025年4月4日〜2026年3月5日

開催国:インドネシア、日本、フィリピン、ベトナム



出典:自動車整備分野特定技能評価試験(2025)


出典:国土交通省『特定技能制度の運用方針(自動車整備分野)』(令和6年4月)


出典:出入国在留管理庁『特定技能在留資格制度の概要』(令和6年改定)


1.2「自動車整備士技能検定試験3級」に合格する


「自動車整備士技能検定試験3級」は、外国人材が特定技能1号「自動車整備」を取得するために必要なもう1つの試験で、国土交通省が実施する国家資格です。内容やレベルは「自動車整備分野特定技能評価試験」とほぼ同等で、学科と実技の両面から一定水準の整備技術を評価されます。



2.要件に合った日本語試験に合格する


特定技能1号を取得するには、日本語での日常コミュニケーションが可能な語学力も必須です。


日本語能力試験(JLPT)


最も一般的なのが、日本語能力試験(JLPT)のN4以上に合格するパターンです。N4のレベルは「基本的な日本語をある程度理解できる」水準とされ、日常的な場面であれば短い会話を問題なくこなせる程度の能力を示しています。



国際交流基金日本語基礎テスト


国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)に合格する方法もあります。国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)も、日常生活において必要な基礎的コミュニケーション力を問うもので、コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)形式で実施されます。



初めての外国人採用ガイド (選考~内定編)


4.外国人材が特定技能2号「自動車整備」を取得する方法


外国人材が特定技能2号「自動車整備」を取得する要件は、以下の通りです。


  1. 自動車整備分野特定技能2号評価試験 または 自動車整備士技能検定試験2級 に合格

  2. 地方運輸局長の認証を受けた自動車整備工場で3年以上の実務経験を積む


以下では、詳しい試験内容や条件について見ていきましょう。


1.1「自動車整備分野特定技能2号評価試験」に合格する


「自動車整備分野特定技能2号評価試験」は、分解整備・故障診断などより高度な整備技術を確認するためのものです。特定技能2号を取得するために実施される分解整備や故障診断など、より熟練した技術が問われます。


試験レベルは自動車整備士技能検定2級相当で、JASPA(一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会)が実施しています。


■ 学科試験の科目

  • 構造、機能及び取扱法に関する一般知識

  • 点検、修理、調整及び完成検査の方法

  • 整備用試験機・計量器及び工具の取扱知識

  • 材料・燃料・油脂の性質及び用途

  • 保安基準その他の関連法規


■ 実技試験の科目

  • 基本工作

  • 点検、分解、組立て、調整及び完成検査

  • 一般的な修理


引用:一般社団法人日本自動車整備振興会連合会『自動車整備分野特定技能評価試験』(2025)


1.2「自動車整備士技能検定試験2級」に合格する


「自動車整備士技能検定試験2級」も国土交通省が実施する国家資格で、外国人材が特定技能2号「自動車整備」を取得するための要件の1つです。「自動車整備士技能検定試験3級」との違いは、整備を統括する能力や車検に関わる知識がより深く問われる点が挙げられます。



試験内容と範囲

試験範囲はエンジンやシャシ、電装系などの高度な構造理解、車検業務やトラブルシューティングなど多岐にわたります。合格基準も高く設定されており、十分な学習と整備経験が求められます。


2. 地方運輸局長の認証を受けた自動車整備工場で3年以上の実務経験を積む


特定技能2号の認定を受けるためには、上記で挙げた試験のいずれかに合格するだけでなく、認証工場で3年以上の整備実務経験を積むことが要件となります。また、単なる期間の長さだけではなく、日常点検や分解整備、故障診断など、実践的な能力を身につけているかが審査でも重視されます。 



5.特定技能「自動車整備」の外国人材を雇用する際の3つの要件

特定技能「自動車整備」の外国人材を雇用する際の3つの要件

特定技能「自動車整備」の外国人材を雇用する際の3つの要件は以下の通りです。


  1. 地方運輸局長の認証を受ける

  2. 登録支援機関への委託する、もしくは支援体制を構築する

  3. 特定技能協議会へ加入する


それぞれ詳しく見ていきましょう。


地方運輸局長の認証を受ける


特定技能「自動車整備」の外国人材に自動車の整備業務を行ってもらうには、事業場が認証工場として認められている必要があります。認証工場とは、国の基準を満たし、整備士や必要な設備を備えた工場のことです。


地方運輸局長の認証を受けるためには、所定の要件(作業スペース、整備士の有資格者数、必要な設備など)をクリアし、地方運輸局へ申請して許可を得る必要があります。



登録支援機関への委託する、もしくは支援体制を構築する


特定技能「自動車整備」の外国人材を受け入れる企業は、住居の確保や行政手続きのサポートなど、外国人整備士の生活支援体制を整えなければなりません。


こうした外国人材への支援は自社で行うことも可能ですが、ノウハウが不足している場合は、登録支援機関へ委託するのが一般的です。登録支援機関を選ぶ際は、自動車整備分野に精通した担当者(例:自動車整備士の支援経験者)が在籍しているかを確認しましょう。


特定技能協議会へ加入する


特定技能「自動車整備」の外国人材を受け入れる際、企業は必ず自動車整備分野特定技能協議会に加入し、活動に協力しなければなりません。


特定技能協議会は、国土交通省や受け入れ企業、業界団体などで構成され、外国人材の適正保護や雇用管理に関する情報共有、問題発生時の連携などを目的としています。加入には所定の手続きが必要なので、雇用契約の締結とあわせて早めに申請しておくとスムーズです。



6.特定技能「自動車整備」の外国人材を受け入れる際の注意点

特定技能「自動車整備」の外国人材を受け入れる際の注意点

特定技能「自動車整備」の外国人材を受け入れる際は、以下の点に注意しなければいけません。


  1. 社内に外国人材の受け入れ体制を作る必要がある

  2. 専門的な知識や書類作成などが必要になる

  3. 特定技能制度は転職可能な制度


それぞれ詳しく見ていきましょう。


社内に外国人材の受け入れ体制を作る必要がある


外国人自動車整備士が日本の職場に馴染みやすいよう、マニュアルの多言語化や生活面でのサポート、文化的背景の違いを踏まえたコミュニケーション訓練などが必要となります。

 

また、社内の日本人スタッフにも事前に外国人材受け入れの意義や方法を説明し、外国人自動車整備士が嫌な思いをしたり、トラブルになったりすることを未然に防ぐ姿勢が大切です。


専門的な知識や書類作成などが必要になる


在留資格申請手続きや、国土交通省の特定技能協議会への加入など、外国人材特有の書類作成・申請業務が発生します。これらをスムーズに行うために、登録支援機関のサポートや、社内での担当者配置が求められます。


特定技能制度は転職可能な制度


特定技能1号の場合、同じ業種内での転職が認められています。つまり、働きやすい職場環境が十分に整っていないと、せっかく採用した外国人自動車整備士が他社へ移ってしまうケースもあり得ます。





7.特定技能「自動車整備」についてよくある質問


特定技能「自動車整備」について、よくある質問と回答をまとめました。


外国人自動車整備士を受け入れるメリットはありますか?

最大のメリットは、即戦力となる人材を確保できることです。また、若く意欲的な人材が加わることで、職場の活性化にも繋がります。


将来的に特定技能2号へ移行すれば、在留期間の制限なく長期的に活躍してもらうことも可能になり、安定した労働力の確保と技術の承継が期待できます。


外国人自動車整備士はどのように採用を進めればよいですか?

採用したい外国人と特定技能雇用契約を締結します。その後、地方運輸局長の認証を受けた事業者であることを前提に「自動車整備分野特定技能協議会」へ加入し、外国人の支援計画を策定。国内在住者を採用する場合は「在留資格変更許可申請」、海外から呼び寄せる場合は「在留資格認定証明書交付申請」の手続きを行い、許可が下りれば就労開始となります。


なお、特定技能外国人を採用する方法はこちらの記事をご確認ください。


外国人整備士の人数はどの程度ですか?

外国人整備士の人数は2024年時点で5,845人でした。2020年が3,083人だったので、今後も増加傾向が続くでしょう。




初めての外国人採用ガイド (内定~入社編)



8.まとめ:外国人材の活用は自動車整備分野の人手不足を解消する有効手段

国内外の変化や少子高齢化が進む中、自動車整備業界の人手不足はますます深刻化しています。そんな状況を打破するための解決策として、特定技能制度を活用した外国人整備士の受け入れが注目されています。


質の高い外国人材を確保し、中長期的に企業とともに成長してもらうには、早めの準備と受け入れ環境の整備が重要です。




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