インド選考会で11名の自動車整備士を採用。「新しい風」に期待が高まる京王バスのグローバル採用
更新日:2月17日

東京都を中心に運行し、多くの人々の暮らしを支える京王電鉄バス株式会社/京王バス株式会社(以下、京王バス)。京王グループは1910年に設立。2023年には電車・バス開業110周年を迎え、今も多くの人々を安全・快適に目的地まで運んでいます。
そんな京王バスの安全運行を土台から支えているのが整備士です。同社が保有する約900台のバスは社内の整備士によって整備されています。
新卒採用を軸に整備士の採用を行う中、コロナ禍を契機に国内の採用市場が活況を呈し、人材獲得競争の激化に直面。人手不足解消を目指し、外国人採用を開始しました。
今回、Connect Jobとともにインド人材を対象に自動車整備士選考会を実施。初めての試みながら、候補者の人柄や熱意から11人の採用が決定しました。外国人採用を実施する理由は単に人手不足解消にとどまらないと語ります。
本インタビューでは、外国人材採用にかける思いや、内定者への期待、そしてグローバル採用の未来像について詳しくお聞きしました。
ゲスト:
京王電鉄バス株式会社/京王バス株式会社
管理部
渡邉 絢一朗氏(以下、渡邉)
営業担当・インタビュー:
フォースバレー・コンシェルジュ株式会社 萩原望(以下、萩原)
執筆:Connect Job編集部 中川莉沙、矢野雅斗
目次
1. 国内で厳しい自動車整備士採用。インド採用という新たな選択肢
── 今回、インドから自動車整備士を採用しようと思ったきっかけや背景について教えてください。
渡邉:これまで弊社では、自動車整備士は新卒採用のみで募集していました。しかし、コロナ禍を境に採用市場が活発化し、転職を希望する社員も増加しました。
キャリア採用を始めたものの、整備士という職種は人材獲得競争が非常に激しく、思うように採用が進みませんでした。
そこで、外国人採用に目を向けました。
外国人採用についてWEBでリサーチを行う中で、Connect Jobを運営するフォースバレー・コンシェルジュ(以下、フォースバレー)のプレスリリースでバス業界の外国人採用をされていると知り、連絡しました。
萩原:これまで、日本国内で外国籍の社員の方は採用されていましたか?
渡邉:国内での募集の中で、日本在住の外国籍の方に入社いただいたことはあります。現在も2名の外国籍の方が活躍しています。
萩原:初めての海外採用に不安はありませんでしたか?
渡邉:海外在住の方を現地で選考し、来日いただくという手法は、弊社にとって初めての取り組みでした。
最初は不安もありましたが、お話を聞く中で、インド出身の人材を採用し、高度人材ビザで雇用することが弊社の人材不足を解消するうえで最適だと判断し、インド選考会実施に至りました。

2. インド選考会で11名採用。短期間で質の高い選考会を実現
── 実際にインド現地で選考会を実施してみて、いかがでしたか?
渡邉:12月に実施した選考会で、11名の方に内定承諾いただきました。この短期間で11名という人数を採用できるとは想定しておらず、質の高い選考会だったと感じています。
萩原:今回は100名以上の応募があり、弊社で事前選考を行い通過した数十名の方と面接いただきました。面接の場で簡単な実技試験もされていましたね。
渡邉:そうですね。それでも想定以上の数の内定を出すことができ、Connect Jobさんには弊社にフィットする方を紹介いただき感謝しています。
ただ、内定者が活躍して初めて採用の成功なので、ここから受入体制の整備や定着にも力を入れていきたいです。
── 選考会を通じて会われたインドの方々の印象について教えてください。
渡邉:まず感じたのは、非常に志が高いということです。
ただ日本で働きたいというだけではなく、弊社の企業研究をしっかり行い、日本で働く姿を具体的に描いて選考に臨んでいた印象です。
現役大学生がほとんどでしたが、インターンシップや課外活動を通じて多くの社会経験を積んでいる方が多く、人間的に自立されていると感じました。入社後も知識や経験を活かしてくれるだろうと期待しています。
萩原:日系企業でインターンされていた方もいましたね。
渡邉:外資大手企業、日系企業など、インターン先は様々でしたね、優秀な方も多く、ポテンシャルの高い方をご紹介いただいた印象でした。
3. 「新たな発想で職場に新しい風を」内定者に寄せる期待
── インド出身の内定者の方々にはどのようなことを期待していますか?
渡邉: まずは、業務をしっかり覚えてスムーズに整備士現場で活躍していただきたいと考えています。ただ、それ以上に弊社の職場に「新しい風」を吹かせていただきたいという期待があります。
整備士の職場環境は安定した環境・キャリア体系がある一方で、変化が少なくなりがちです。
インドから来られる皆さんには、新たな発想や視点をもたらしていただき、業務改善や革新に貢献していただければと考えています。
4.社員の定着が第一。慎重に、丁寧に受け入れ体制を構築していく
── 受け入れに関して、どのようにお考えですか?
渡邉:まず、仕事を始める前に日常生活のケアが必要だと考えています。特に、住居やインド出身者同士・社員同士のコミュニティの形成など、孤独感を緩和するサポートが必要です。
業務においては、インド出身の方は英語が堪能なため英語のマニュアルを用意するなど、できる限りの対応をしてきたいと考えています。
また、職場側にも、これまでとは異なる文化や習慣を持つ方を受け入れる体制を整えることが課題です。受け入れ側の理解を深めるような事前の取り組みを行い、社員が快く受け入れられる職場環境を作っていきたいです。

── 内定者のキャリアパスはどのようにお考えですか?
渡邉:基本的には日本人の方と同じステップを踏んでもらいたいと考えています。
また、今回の面接で、自動車整備の現場の業務だけでなく、車両の管理や経営などにも興味があると話されている方もいました。そうした興味をお持ちの方には、枠組みにとらわれずできるだけ意向を叶えたいと考えています。
5. グローバル採用は、次世代に繋がる第一歩
── 御社にとっての「グローバル採用」とは?
渡邉:まだ始めたばかりですが、次世代の成長と発展に繋がる第一歩だと考えています。
グローバル採用においては、海外から来日する方々、受け入れる側の双方がきちんと噛み合うことが重要と捉えています。
そのため、海外から働きに来る方々が快適に日本で過ごし、仕事に集中できる環境を提供していきたいです。受け入れる側としても、文化の違いを受け入れて気持ちよく迎えたいですね。
また、海外から来た方々が将来的に母国に帰る場合、その経験が日本での良い思い出として残り、さらにその経験が次の世代にも波及すればなと思います。こうしたポジティブなサイクルが生まれ、グローバル採用がより発展し、採用活動全体にも良い影響を与えると考えています。
── これから来日する内定者の方にメッセージをお願いします。
渡邉:仕事として業務を覚えてもらって、バスの運行を支えてくれる以上に、皆さんの思いを活かして社内に新しい風を吹かせることに期待しています。

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