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【2025年最新】入管法改正案の変更内容についてわかりやすく解説|外国人・グローバル人材採用|Connect Job

  • 執筆者の写真: Hayato Kuroda
    Hayato Kuroda
  • 2 日前
  • 読了時間: 15分

入管法の見出し

入管法(出入国管理及び難民認定法)は日本における外国人の入国・在留管理や難民認定に関する基本的な法律です。近年、日本の深刻な人手不足を背景に、外国人材の受け入れ拡大を目的とした入管法改正が続いています。


2019年には特定技能制度が創設されました。また、2024年に可決・成立した入管法改正により、技能実習制度は段階的に廃止され、2027年度から新たな「育成就労制度」が導入される予定です。


本記事では、各改正の内容と影響をわかりやすく解説します。


目次


  1. そもそも入管法(出入国管理及び難民認定法)とは

パスポートにスタンプを押す手元


出入国管理及び難民認定法(いわゆる入管法)は、外国人の出入国および在留の適正な管理と、難民認定手続きの整備を目的とする日本の法律です。1951年に制定され、その後も制度改正を経て現在のかたちとなっています。


つまり入管法とは、日本への入国や出国の管理、外国人の在留資格や不法滞在、難民の認定手続きなどについて定めた法律です。基本的には外国人を対象とした法律ですが、出入国の手続きにおいては日本人にも一部関係する側面があります。


入管法に基づき、外国人の在留資格や在留期間、就労制限などが定められており、企業が外国人材を採用する際には、この法律の理解が不可欠です。



  1. 入管法の主な改正の歴史

日本のビザ申請フォーム


入管法は日本の社会経済状況や国際情勢の変化に応じて、数多くの改正が行われてきました。ここでは主要な改正とその内容を時系列に沿って解説します。


1990年の入管法改正:在留資格の整備と日系人受け入れの拡大

1990年(平成2年)の改正では、在留資格が27種類に整理され、現在の在留資格制度の基礎が確立されています。特筆すべきは「定住者」という在留資格の創設で、これにより日系人(日本人の子孫)とその家族が日本で就労できるようになりました。


この改正は、当時の深刻な人手不足を背景に行われ、南米からの日系人労働者の流入が増加するきっかけとなっています。


1998年の入管法改正:退去強制事由の追加と上陸拒否期間の拡大

1998年(平成10年)の改正では、暴力団員であることが外国人の上陸拒否事由に追加されました。また、不法入国や資格外活動で退去強制を受けた外国人の上陸拒否期間が1年から5年に延長されるなど、不法滞在者対策の強化が図られています。


2004年の入管法改正:研修制度の見直しと不法滞在者対策

2004年(平成16年)の改正以降それまでの「研修」制度が見直され、在留資格「技能実習」への段階的な移行が始まります。また、「出国命令制度」が創設され、不法滞在者が自ら出頭した場合に収容せずに出国させる制度が導入されました。


これにより、在留期間を超過した外国人に自発的な出国を促す仕組みが整備されました。


2009年の入管法改正:技能実習制度の確立と在留カード導入の準備

2009年(平成21年)の改正により、「研修」から発展した「技能実習」が独立した在留資格として正式に確立されました。技能実習期間も従来の最長3年から、一部の職種では最長5年に延長されるという変更が加えられています。


また、この改正では新たな在留管理制度の導入が決定され、外国人登録証明書に代わる「在留カード」の導入に向けた準備が進められました。


2012年の入管法改正:新在留管理制度の施行

2012年(平成24年)7月に施行された改正によって、外国人登録制度が廃止され、新しい在留管理制度が導入されることになりました。これにより、中長期在留者には「在留カード」が交付されるようになり、外国人の管理がより効率化されています。


また最長在留期間が3年から5年に延長され、再入国許可制度も見直されて「みなし再入国許可」制度が整備されました。


2014年の入管法改正:高度人材ポイント制の制度化と拡充

2014年(平成26年)の入管法改正では、2012年から運用されていた「高度人材ポイント制」が法制化され、新たに「高度専門職1号・2号」という在留資格が創設されました。


特に2号では、在留期間の無期限化や永住要件の緩和、配偶者の就労許可など、さらなる優遇措置が導入されました。


2016年の入管法改正:介護分野への外国人受け入れ拡大

2016年(平成28年)の改正では、在留資格「介護」が新設され、外国人が介護福祉士として日本で働くことが可能となりました。


また「技能実習」の対象職種に介護が追加され、技能実習生が介護分野で働けるようになるという変更点があります。この改正は高齢化社会における介護人材の確保を目的としたものといえるでしょう。


2018年の入管法改正:特定技能制度の導入

2018年(平成30年)12月に成立し、2019年4月から施行された改正は、外国人労働者の受入れ拡大を目的とした大きな転換点となっています。


新たな在留資格「特定技能」が創設され、特定産業分野における人手不足を解消するため、一定の専門性と日本語能力を持つ外国人材の受け入れが本格的にスタートしました。


2021年以降の動き:さらなる制度整備へ

2021年には、難民申請者の強制送還を可能とする改正案が提出されましたが、国会での批判を受けて取り下げられるという結果になりました。その後、2023年には難民認定制度の見直しと「補完的保護対象者制度」が創設されています。


さらに2024年には技能実習制度の廃止と、より実践的なスキル習得を前提とした新在留資格「育成就労」が法制化されました(2027年度施行予定)。



  1. 2019年の入管法改正:特定技能1号・2号の創設と外国人労働者受け入れ拡大


特定技能で働く外国人


2019年4月に行われた入管法改正では、日本の深刻な人手不足問題に対応するため、新しい在留資格「特定技能」が創設されました。


これにより、日本国内において人手不足が深刻とされている特定産業分野では、一定の専門性・技能がある外国人を即戦力として受け入れることが可能となっています。


変更点:新しい在留資格「特定技能」の創設

特定技能では、従来の就労ビザでは対象外だった現場作業を含む業務への就労が可能となり、現場即戦力人材の受け入れが拡大しました。これまで、身分系の在留資格以外では単純労働に従事することができませんでした。しかし、この改正により幅広い業務に従事できるようになりました。


なお、特定技能には「1号」と「2号」の2種類があります。特定技能1号は、特定産業分野での就労が可能で、在留期間は通算で5年が上限となります。一方、特定技能2号は、より高度な技能を持つ人材を対象としており、在留期間の更新に制限がなく、家族の帯同も認められています。


また、技能実習から特定技能への移行も可能になった点もポイントです。これまで、技能実習生の在留期間は最長5年でした。しかし特定技能へ移行することで、母国に帰らず引き続き日本で働くことが可能になります。


特定技能については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にして下さい。



  1. 2021年入管法改正案:難民申請者の強制送還規定と取り下げの経緯

2017年から2021年までの日本の難民認定率推移
2017年から2021年までの日本の難民認定率推移

2021年に「出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案」が提出されたものの、最終的に取り下げとなりました。この改正案は難民申請制度の厳格化や強制送還の拡大を目的としていましたが、人権上の問題があるとして国内外から批判を受けました。


改正案のには以下のような点が含まれていました:


  • 不法滞在者の帰国を徹底させる措置

  • 難民認定手続き中の外国人であっても申請回数が3回以上になった場合に強制送還を可能にする

  • 強制送還を拒む人に対する刑事罰の導入


これまで難民申請中の外国人は、帰国すると身に危険が及ぶ可能性があるとして強制送還が保留され、日本での滞在が認められていました。しかしこの改正案ではその例外をつくり、特に3回目以降の申請者については送還を可能にしようとするものでした。


2021年入管法改正の問題点

この改正案が取り下げられた最大の理由は、日本の難民認定率の低さと難民保護の観点から批判が集中したことです。日本の難民認定率の推移を見ると、2017年はわずか0.1%、2018年と2019年は0.4%、2020年に1.2%、そして2021年に3.1%と徐々に改善傾向にあるものの、国際的な水準と比較するとなお極めて低い状況でした。


このような状況で、難民申請の回数制限を設け、3回目以降の申請者を強制送還できるようにするという改正案は、真の難民が保護されないリスクが高いという懸念がありました。特に1回目や2回目の申請で適切な審査が行われなかった場合、本来保護されるべき難民が強制送還される危険性が指摘されています。


加えて、改正案の審議中に名古屋入管施設でスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが死亡する事件が発生しました。適切な医療を受けられなかったことが死因に関わったとされる本件は、入管行政の透明性や収容施設の処遇問題に対する厳しい批判を招きました。この事件をきっかけに、入管法改正案への反対運動が国内外で拡大し、最終的に改正案は取り下げられることとなったのです。


また収容の代替策として新たに提案された「監理措置」についても、実効性に疑問があるとの批判が上がりました。監理を引き受ける人がいない難民申請者は引き続き収容される可能性が高く、収容の長期化という根本的な問題解決にはならないという指摘がなされています。



  1. 2023年の入管法改正:難民認定制度の見直しと補完的保護対象者制度の創設

日本の国旗と外国人の足元

2021年の改正案を一部緩和した新たな改正案が国会に提出され、2023年6月16日に公布されました。

正式名称は「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者などの出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律」です。


2023年の主な改正点とは

2023年の入管法改正では、9つの主要な改正点が含まれていました:


  1. 16歳未満の外国人の在留カード等の有効期間の更新申請に関する見直し

  2. 補完的保護対象者の認定制度の創設

  3. 在留特別許可制度の適正化

  4. 送還停止効の例外規定の創設

  5. 罰則付き退去等命令制度の創設

  6. 自発的な帰国を促すための措置の拡大

  7. 監理措置制度の創設

  8. 仮放免の在り方の見直し

  9. 適切な処遇を実施するための規定の整備


中でも特に注目されたのが、難民認定制度の見直しと送還停止効の例外規定の創設です。


難民認定3回目以降の申請者は強制送還を可能にする

2023年の改正では、難民認定手続中の送還停止効に例外が設けられています。これまでは難民認定手続中は一律に送還が停止される規定(送還停止効)がありました。しかし改正後、以下の対象者については、難民認定手続中であっても退去させることが可能になりました。


  • 3回目以降の難民認定申請者

  • 3年以上の実刑に処された者

  • テロリスト等


重要な点として、3回目以降の難民認定申請者であっても、難民や補完的保護対象者と認定すべき「相当の理由がある資料」を提出した場合には、送還は停止されることになりました。


退去すべき外国人に自発的な帰国を促すための措置

もう1つの重要な改正点は、自発的な帰国を促すための措置の拡大です。退去しなければならない外国人が自ら出頭して出国命令制度により帰国する場合、上陸拒否期間は1年に短縮されることになりました。


改正前は、出頭前に警察や入管などに摘発された場合、この出国命令制度は利用できず、帰国しても5年間の上陸拒否期間が設けられていました。しかし改正後は、摘発された場合でも自発的な帰国が認められれば、上陸拒否期間は1年に短縮されるようになりました。これにより、不法滞在者の自発的な帰国を促進することが期待されています。



2023年の入管法改正の問題点

2023年の入管法改正にも、いくつかの問題点が指摘されています。最も大きな懸念は、難民認定3回目以降の申請者に対する強制送還の可能性です。日本の難民認定率が極めて低い現状において、保護が必要な人たちを命の危険にさらす可能性があるという批判があります。


この懸念に対応するため、3回目以降の難民認定申請者でも「相当の理由がある資料」を提出すれば送還を停止できるという例外規定が設けられました。しかし「相当の理由がある資料」の具体的な基準や判断プロセスが法律上明示されておらず、現場の裁量に依存するため、透明性への懸念があります。


また、収容の長期化や仮放免による逃亡の問題に対応するため、「監理措置」制度が導入されました。これは親族や知人など本人の監督を承諾している者を「監理人」として選び、その監理の下で逃亡等を防止しつつ、収容せずに退去強制手続を進める制度です。しかし、監理人となる人がいない場合の対応や、監理人への負担の問題なども指摘されています。


  1. 2024年の入管法改正:育成就労制度の創設と技能実習制度の廃止

ドリルを眺める技能実習生

2024年6月14日に「出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律(令和6年法律第59号)」及び「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律(令和6年法律第60号)」が成立し、21日に公布されました。


この改正では、問題の多かった技能実習制度の廃止と新たな育成就労制度の創設、さらに特定技能制度の適正化が主な内容となっています。


新たな在留資格「育成就労」創設

この改正で在留資格「技能実習」が廃止されたことで、新たに創設されることになったのが「育成就労」です。


技能実習制度はそれまで人権侵害や失踪問題など、多くの課題が指摘されてきました。それに対し育成就労は人材育成と人手不足解消の両方を目的とした仕組みです。


特に注目すべき点は、育成就労制度では「転籍」が条件付きで認められることです。これにより、技能実習で問題となっていた「失踪」の改善が期待されています。外国人材が問題のある職場環境から合法的に転籍できるようになれば、不法滞在や失踪を減らす効果があると考えられています。


詳しくは以下の記事で解説しています。


特定技能の適正化

受け入れ企業(特定技能所属機関)が特定技能1号で在留する外国人の支援を外部委託する場合、委託先を登録支援機関に限定する改正が行われました。これまでは一部委託の場合は登録支援機関以外への委託も可能でしたが(全支援委託の場合は登録支援機関に限定)、今後は全ての委託において登録支援機関に限定されることになります。


これにより、外国人材への支援の質が確保され、不適切な支援を提供する業者を排除する効果が期待されています。


不法就労助長罪の厳罰化

送り出し機関などへの不法就労助長罪の罰則が強化されました。従来は拘禁刑3年以下または罰金300万円以下(併科可)でしたが、改正後は拘禁刑5年以下または罰金500万円以下(併科可)と厳罰化されています。


育成就労制度で転籍が条件付きで認められるようになることで、悪質なブローカーが転籍を不当に助長する恐れがあります。罰則を厳しくすることで、こうした転籍ブローカーの排除を目指す狙いがあります。


永住許可制度の適正化

永住許可制度を適正化するために、取消事由が追加されました。具体的には「入管法上の義務違反」「公租公課の支払いをしない」「特定の刑罰法令違反」の3つが対象です。調査の結果、これらに該当する場合は在留資格が取り消される可能性がありますが、特段の事情がない限り、在留資格を変更して引き続き在留が許可されるとされています。


この改正は特に、税金や社会保険が未納である永住者への対策として注目されています。永住権を持つ外国人は、永住許可後に在留審査(在留期間の更新など)がないため、永住許可時には満たしていた納税などの義務を果たさなくなるケースがありました。今回の改正は、こうした問題に対応するための措置です。



  1. まとめ

入管法改正は、日本の人手不足対策と外国人材の適切な受け入れ体制の構築を目指して段階的に進められてきました。2019年の特定技能制度創設、2023年の難民認定制度の見直し、そして2024年の育成就労制度創設と技能実習制度廃止まで、大きな変化が続いています。


企業の人材採用担当者は最新の制度を理解し、適切に対応することが求められます。外国人材採用についてさらに詳しく知りたい人は、専門的なサポートを提供するConnect Jobにお問い合わせ下さい。



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Connect Job編集部


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企業の採用現場でよくある課題や、採用担当者・外国人社員の声など、現場をよく知る社員が編集を担当しています。リアルな現状を知る私たちから、「プロフェッショナル」かつ「現場目線」で役立つコンテンツを発信しています。


運営会社:フォースバレー・コンシェルジュ株式会社(https://www.4th-valley.com




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