特定技能で外国人採用するには?具体的な方法や流れ・費用を解説
- info102449
- 6月20日
- 読了時間: 29分

目次
少子高齢化が進む日本では、多くの産業で人手不足が深刻な課題となっています。その解決策の1つとして注目されているのが、2019年に創設された在留資格「特定技能」です。
この制度は、即戦力となる外国人材を企業が直接雇用することを可能にし、日本の労働市場に新たな活気をもたらしています。しかし、「特定技能外国人を採用したいが、何から始めればいいかわからない」「手続きが複雑そう」といった不安を抱える企業の採用担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、特定技能制度の基本から企業が満たすべき基準、採用の具体的な流れ、必要な費用、そして採用後の手続きまで網羅的に解説します。
記事を読むことで、特定技能での外国人採用に関する全体像を掴み、具体的な第一歩を踏み出すことができるでしょう。
特定技能の概要

「特定技能」は、日本国内の深刻な人手不足に対応するため、2019年4月に導入された在留資格です。生産性向上や国内人材の確保に努めてもなお、人材確保が困難な特定の産業分野において、専門性・技能を持つ即戦力となる外国人材を受け入れることが目的です。
この制度は、外国人労働者が即戦力として活躍できる環境を整えることで、日本経済・社会基盤の持続可能性を支える重要な役割を担っており、受け入れ分野は介護、建設、農業、外食業など16分野にわたります。
特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの区分があり、それぞれ従事できる業務や在留期間、求められる技能水準が異なるのが特徴です。
特定技能1号について
特定技能1号は、特定の産業分野において、相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。即戦力として現場で活躍することが期待されています。
在留期間
1年、6ヶ月または4ヶ月ごとの更新で、通算で上限5年まで在留可能です。
技能水準
各分野で定められた技能測定試験に合格するか、技能実習2号を良好に修了することで証明されます。業務を遂行するために必要な、基本的な技能水準が求められます。
日本語能力水準
基本的な日本語でのコミュニケーションが可能であることを証明するため、「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)のN4以上」に合格する必要があります。
ただし、介護分野では「介護日本語評価試験」の合格要件の他、従事する業務のうち下記についてはN3以上に合格しなければいけません。
タクシー運転者
バス運転者
運輸係員(駅係員、車掌、運転士)
家族の帯同
原則として認められていません。
対象分野
2025年6月現在、以下の16分野が特定技能1号の対象となっています。
介護
ビルクリーニング
工業製品製造業
建設
造船・舶用工業
自動車整備
航空
宿泊
自動車運送業
鉄道
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業
林業
木材産業
出典:出入国在留管理庁『外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組(p6)』(2025年5月更新版)
出典:出入国在留管理庁『特定技能1号の各分野の仕事内容(JobDescription)』(2025年6月時点)
出典:出入国在留管理庁『特定技能2号の各分野の仕事内容(JobDescription)』(2025年6月時点)
特定技能2号について
特定技能2号は、1号の対象分野のうち、熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。特定技能1号を修了した外国人が、より高いレベルの技能を証明することで移行できます。現場のリーダーや監督者としての活躍が期待されます。
在留期間
3年、1年または6ヶ月ごとの更新が可能で、在留期間の上限はありません。要件を満たし続ける限り、永続的に日本で就労できます。
技能水準
各分野で定められた、より高度な技能測定試験に合格する必要があります。
日本語能力水準
試験による証明は不要です。ただし、業務上必要なコミュニケーション能力は求められます。(漁業及び外食業分野(N3)を除く)
家族の帯同
配偶者と子に限り、要件を満たせば帯同が認められます。これにより、長期的な定着が一層期待できるようになります。
対象分野
2025年6月現在、以下の11分野が特定技能2号の対象となっています。「介護」「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の5分野は対象外です。
ビルクリーニング
工業製品製造業
建設
造船・舶用工業
自動車整備
航空
宿泊
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業
なお、特定技能1号および2号の職種一覧と受け入れ状況について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
出典:出入国在留管理庁『外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組(p6)』(2025年5月更新版)
出典:出入国在留管理庁『特定技能1号の各分野の仕事内容(JobDescription)』(2025年6月時点)
出典:出入国在留管理庁『特定技能2号の各分野の仕事内容(JobDescription)』(2025年6月時点)
特定技能で外国人を受け入れるための企業の基準

特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、外国人が安心して日本で働き、生活できるよう、出入国管理法や労働関連法規等で定められた様々な基準を満たす必要があります。
これらの基準は、大きく「受け入れ企業自身に関する基準」「雇用契約に関する基準」「支援体制に関する基準」の3つに分けられます。
受け入れ企業に関する基準
「受け入れ企業に関する基準」では、企業自身が外国人材を適正に受け入れるための、健全な体制を持っているかどうかが問われます。
法令遵守
労働法、社会保険法、税法など、関連する日本の法律を遵守していることが大前提です。労働保険や社会保険への加入、税金の適正な納付などが含まれます。
非自発的離職者がいないこと
特定技能外国人を雇用する前の1年以内、またはその締結の日以後に、同じ業務に従事していた日本人等の従業員を会社の都合で解雇(非自発的離職)していないことが求められます。これは、国内の雇用を守るための規定です。
行方不明者が発生していないこと
過去1年以内に、企業の責任によって技能実習生や特定技能外国人などの行方不明者を発生させていないことが必要です。劣悪な労働環境などが原因で失踪者が出ている場合、受け入れ体制に問題があると判断されます。
欠格事由への非該当
企業の役員等が、禁錮以上の刑に処せられてから5年以内である、暴力団関係者である、出入国・労働関連法規で罰金刑に処せられてから5年以内であるといった「欠格事由」に該当しないことが求められます。
継続的な契約履行能力
特定技能外国人と締結した雇用契約を最後まで履行できる、安定した経営基盤・財務状況であることが必要です。債務超過の状態にある場合は、改善の見通しについて第三者が評価した書面などが求められることがあります。
支援費用の負担
後述する「1号特定技能外国人支援」にかかる費用を、直接的・間接的に外国人に負担させてはなりません。これは登録支援機関への委託費用も含みます。
各種届出の履行
特定技能外国人を受け入れた後、地方出入国在留管理局に対して、定期的な届出や変更があった際の随時的な届出を誠実に行う義務があります。
雇用契約に関する基準
外国人材と締結する雇用契約(特定技能雇用契約)にも、満たすべき基準が細かく定められています。これは、不当な条件での雇用を防ぎ、外国人の権利を守るためのものです。
業務内容の適合性
従事させる業務は、特定技能の在留資格で許可された分野の業務範囲内でなければなりません。
所定労働時間
正社員など、通常の労働者(フルタイム)と同等の所定労働時間であることが必要です。パートタイムやアルバイトとしての雇用は認められません。
日本人従業員と同等以上の報酬
報酬額は、同じ業務に従事する日本人従業員と同等額以上でなければなりません。外国人であることを理由に不当に低い賃金を設定することは固く禁じられています。
一時帰国のための休暇取得
外国人が一時帰国を希望した場合には、必要な有給休暇を取得させることが求められます。
帰国担保措置
雇用契約が終了し、外国人が帰国に要する旅費を負担することができないときは、受け入れ企業がその旅費を負担し、円滑な出国がなされるよう必要な措置を講じることが契約に盛り込まれている必要があります。
派遣形態の制限
農業分野及び漁業分野を除き、特定技能外国人を労働者派遣の形態で雇用することはできません。
支援体制に関する基準
特定技能制度の最も特徴的な点の1つが、受け入れ企業に課される「支援義務」です。企業は、特定技能1号の外国人が日本で安定的かつ円滑に活動できるよう、職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援を行うための計画(1号特定技能外国人支援計画)を策定し、実行しなければなりません。
この支援は、自社で行うか、あるいは出入国在留管理庁長官の登録を受けた「登録支援機関」に全て委託することができます。自社で支援を行う場合、以下の基準を満たす必要があります。
支援責任者・支援担当者の選任
支援計画の実施について管理する「支援責任者」と、実際に支援を担当する「支援担当者」を事業所ごとに選任すること。
支援担当者の要件
支援対象の外国人と定期的に面談できる体制であることや、中立的な立場で支援を行えること、過去に不正行為に関与していないことなどが求められます。
多言語対応
外国人が十分に理解できる言語(母国語など)で支援を提供できる体制があること。通訳を手配するなどの対応が必要です。
自社でこれらの体制を整えるのが難しい場合は、専門の登録支援機関に支援業務を委託するのが一般的です。
登録支援機関について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
出典:出入国在留管理庁『特定技能外国人受入れに関する運用要領(p11~)』(2025年6月更新版)
特定技能外国人が満たすべき要件

次に、外国人材自身が「特定技能」の在留資格を得るために満たすべき要件を見ていきましょう。主な要件は、一定レベルの「技能」と「日本語能力」を証明することです。
試験による技能・日本語能力の証明
特定技能1号の在留資格を得るための最も一般的な方法は、各分野ごとに用意された技能評価試験と、日本語能力試験に合格することです。
技能評価試験
各産業分野が定める「技能評価試験」に合格し、その分野で「相当程度の知識または経験を必要とする技能」があることを証明する必要があります。試験内容は、それぞれの分野で求められる実践的な技能を測るものとなっています。
日本語能力試験
国際交流基金が実施する「日本語能力試験(JLPT)」でN4以上に合格するか、同じく国際交流基金が実施する「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」で一定以上の成績を収める必要があります。
この日本語能力試験に合格することで、生活に支障のないレベルの日本語能力を証明可能です。ただし、介護分野では、上記の日本語試験に加えて「介護日本語評価試験」への合格も必要となります。
また、自動車運送業や鉄道分野の一部業務(タクシー運転者、バス運転者、運輸係員)では、乗客の安全確保・緊急対応などのため、より高いN3レベルの日本語能力が求められるため注意しましょう。
原則として、上記の「技能評価試験」と「日本語能力試験」の両方に合格する必要があります。
技能実習からの移行
もう1つのルートとして、技能実習制度からの移行があります。日本での就労経験があるため、企業の受け入れもスムーズに進むことが多いです。
技能実習2号を良好に修了
特定技能の対象分野と関連する職種・作業の技能実習2号を「良好に」修了した外国人は、前述の「技能試験」と「日本語能力試験」が免除されます。
なお、「良好に修了」とは、技能実習を計画通りに満了(原則2年10カ月以上)行い、技能検定3級またはこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格していることなどを指します。
関連する業務区分
移行できる特定技能の分野は、経験した技能実習の職種・作業と関連性が認められる分野に限られます。例えば、技能実習で「耕種農業」を経験した人は、特定技能の「農業」分野に移行できます。
このルートは、既に日本の文化や職場環境に慣れている人材を採用できるため、企業にとって大きなメリットがあります。
出典:出入国在留管理庁『特定技能外国人受入れに関する運用要領(p21~)』(2025年6月更新版)
出典:出入国在留管理庁『特定技能制度に関するQ&A』(2025年6月現在)
特定技能で外国人採用する際の進め方

特定技能外国人の採用は、日本人を採用する場合とは異なる手順を踏む必要があります。ここでは、国内に在住している外国人(留学生や技能実習修了者など)を採用する場合の一般的な流れを解説していきます。
採用活動と面接の実施
まずは、自社の求める人材を探すところから始まります。人材紹介会社や求人メディアなどを活用して候補者を探し、書類選考や面接を実施します。
面接では、技能や経験だけでなく、日本語でのコミュニケーション能力や日本での就労意欲、人柄などを総合的に判断することが重要です。特に、特定技能制度の趣旨や、自社での業務内容、待遇について正確に伝え、双方の認識にズレがないように丁寧なすり合わせを行いましょう。必要に応じて、通訳を交えて面接を実施することも有効です。
特定技能雇用契約の締結
採用したい外国人材が決まったら、特定技能外国人向けの「特定技能雇用契約」を締結します。この契約書には、業務内容、労働時間、報酬、その他の待遇などを、前述した「雇用契約に関する基準」に沿って明記しなければいけません。
また、特定技能雇用契約を締結した後、在留資格変更または認定証明書の申請前までに、外国人本人に対して「事前ガイダンス」を実施する義務があります。
このガイダンスでは、雇用契約の内容や業務内容、日本での生活や支援内容などを、本人が理解できる言語で丁寧に説明する必要があります。
支援計画の策定
次に、採用する外国人をどのように支援していくかを具体的に定めた「1号特定技能外国人支援計画」を作成します。
この「1号特定技能外国人支援計画」に盛り込むべき10項目の支援内容は、以下の通りです。
支援内容 | 具体的な支援内容 |
① 事前ガイダンス | 雇用契約内容や日本での活動内容に関する情報提供 |
② 出入国する際の送迎 | 空港等への送迎 |
③ 住居確保・生活に必要な契約支援 | 連帯保証人になる、社宅を提供する、銀行口座開設や携帯電話契約などの支援を実施 |
④ 生活オリエンテーション | 日本のルールやマナー、公共機関の利用方法、災害時の対応などの説明 |
⑤ 公的手続き等への同行 | 役所での住民登録や社会保障・税に関する手続きへの同行 |
⑥ 日本語学習の機会の提供 | 日本語教室に関する情報の提供や、日本語学習教材の提供など |
⑦ 相談・苦情への対応 | 職業生活や日常生活に関する相談・苦情について、多言語で対応し、適切な助言や指導を実施 |
⑧ 日本人との交流促進 | 地域のイベントや自治会への参加を促し、日本人との交流機会を確保 |
⑨ 転職支援 | 企業の都合で雇用契約を解除する場合の転職先探しの手伝い |
⑩ 定期的な面談 | 支援責任者等が、外国人本人およびその上司と3ヶ月に1回以上の定期的な面談を実施 |
これらの支援を全て自社で行うか、登録支援機関に委託するかを決定し、計画書を作成します。
在留資格の申請手続き
必要な書類が揃ったら、管轄の地方出入国在留管理局へ「在留資格変更許可申請」を行います。海外から新たに外国人を呼び寄せる場合は「在留資格認定証明書交付申請」となります。
申請には、申請書本体の他、特定技能雇用契約書の写し、雇用条件書の写し、事前ガイダンスの確認書、そして最も重要な支援計画書の写しなど、非常に多くの書類が必要です。不備があると審査が長引いたり、不許可になったりする可能性があります。そのため、専門家である行政書士や、実績の豊富な人材紹介会社・登録支援機関に相談しながら進めるのが確実です。
なお、特定技能1号・2号を取得するための申請方法や必要書類について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
就労の開始
在留資格変更が許可され、新しい在留カードが交付されたら、いよいよ就労開始となります。外国人が安心して業務をスタートできるよう、職場での受け入れ体制を整え、必要なオリエンテーションを実施しましょう。
出典:出入国在留管理庁『特定技能外国人受入れに関する運用要領(p12~)』(2025年6月更新版)
こうした一連の採用活動や支援業務は、自社で行うことも可能ですが、プロのエージェントに依頼することも可能です。Connect Jobでは採用から入国・入社までをトータルサポートしていますので、ご不明点やお困りごとはお気軽にご相談ください。
無料・30秒のフォーム入力で詳細資料を送付します
ご準備不要!「こんな人材を募集している」と伝えるだけでOKです!
特定技能の外国人採用後の手続き

特定技能外国人材の採用は、入社がゴールではありません。受け入れ企業には、入社後も様々な届出や報告の義務が課せられています。
これらの手続きを怠ると、罰則の対象となったり、今後の外国人材の受け入れが認められなくなったりする可能性があるため、必ず実施しましょう。
具体的に、受け入れ企業が特定技能外国人を採用後に行うべき手続きは以下の通りです。
外国人雇用状況届出
外国人雇用状況届出は、特定技能に限らず、全ての外国人を雇用する事業主に義務付けられている手続きです。
項目 | 内容 |
届出内容 | ・氏名 ・在留資格 ・在留期間 など |
提出先 | 事業所の所在地を管轄するハローワーク |
提出期限 | ・雇用保険の被保険者である場合は資格取得届と同時 ・被保険者でない場合は雇入れの翌月の10日まで |
提出方法 | ・ハローワーク窓口 ・郵送 ・オンライン(外国人雇用状況届出システム) |
外国人雇用状況届出で提出が必要となる「外国人雇用状況届出書」の提出方法、様式、記入例、出し忘れた場合の対処法などについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
定期的な報告義務のある書類
特定技能所属機関(受け入れ企業)は、受け入れている特定技能外国人の状況について、出入国在留管理庁へ定期的に報告する義務があります。この届出は、支援計画が適切に実施されているか、雇用契約が遵守されているかなどを国が確認するために行われます。
【重要】2025年4月1日からのルール変更:四半期ごとから、年1回の届出に簡素化
これまで四半期ごとに行われていた定期報告は、2025年4月1日より、年1回の届出に簡素化されました。
報告対象期間:毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間
提出期間:上記報告対象期間の翌年度、4月1日から5月31日までの間
この年次報告では、受け入れている全特定技能外国人に関する以下の情報を、まとめて届け出る必要があります。
【年次報告で必要な事項】
報告項目 | 内容 |
受入れ状況 | ・氏名 ・在留カード番号 ・報酬の支払状況 など |
活動状況 | ・業務内容 ・稼働時間 など |
支援の実施状況 | ・相談・苦情への対応内容 ・定期面談の実施記録 など |
離職者・行方不明者の発生状況 | ・特定技能雇用契約の終了又は締結に係る届出書 ・受入れ困難に係る届出書(行方不明時など)など ※年次報告とは別に事由が発生した日から14日以内に随時報告 |
この変更により、企業の事務負担は軽減されますが、日々の支援記録や雇用管理を正確に行い、年に一度の報告に備えて適切に情報を保管しておくことの重要性は変わりません。届出を怠ると、新たな外国人材の受け入れが認められなくなる可能性があるため、必ず期限内に提出しましょう。
出典:出入国在留管理庁『特定技能制度における運用改善について』(2025年6月現在)
変更時に提出が必要な書類
定期的な報告のほかに、特定の事項に変更があった場合に、その都度提出が必要な書類もあります。
特定技能雇用契約の変更に係る届出:報酬額や業務内容など、雇用契約の重要な内容に変更があった場合に提出
支援計画の変更に係る届出:軽微な変更を除き、支援計画の内容に変更があった場合に提出
受入れ機関に関する変更の届出:企業の名称や所在地が変更になった場合などに提出
支援の全部の委託に関する契約の変更・終了・新たな締結に係る届出:委託している登録支援機関を変更したり、新たに契約したりした場合に提出
これらの届出は、各変更が発生してから14日以内に提出する必要があるため、迅速な対応が求められます。
出典:出入国在留管理庁『特定技能外国人受入れに関する運用要領(p15~)』(2025年6月更新版)
特定技能の外国人採用時の留意点
特定技能制度を円滑に活用するためには、手続き以外にも注意すべき点がいくつかあります。ここでは特に重要な2つのポイントを解説します。
試験合格の確認
特定技能外国人として採用するためには、前述の通り「技能評価試験」と「日本語能力試験」の両方に合格していることが原則です。採用面接や選考の段階で、合格証明書の原本または写しを提示してもらい、必ず確認しましょう。
特に、海外在住者を採用する場合、偽造された合格証明書が出回っているケースも報告されています。少しでも不審な点があれば、試験実施団体のWebサイトで合格者番号を照会するなど、慎重な確認が必要です。技能実習からの移行者の場合は、技能実習2号を「良好に」修了したことを証明する書類(JITCOの評価調書など)を確認すると良いでしょう。
協議会への参加
特定技能外国人を受け入れる企業は、分野ごとに設置されている「協議会」の構成員になる義務があります。
協議会とは?
協議会は、各特定産業分野を所管する省庁、受け入れ企業、業界団体などで構成される組織です。その目的は、制度の適切な運用を図り、構成員間で必要な情報を共有し、連携を強化することにあります。
加入のタイミング
受け入れ企業は協議会に特定技能外国人の受け入れ前に加入し、在留資格申請の際に協議会加入証明書を提出する必要があります(2024年6月15日以降)。加入申請は、各分野の協議会のWebサイトなどから行えます。
企業の義務
協議会の構成員となった企業は、協議会が行う調査や指導、情報提供などに対して、必要な協力を行う義務があります。この義務を怠ると、特定技能外国人の受け入れができなくなる可能性があるため、注意が必要です。
出典:出入国在留管理庁『特定技能外国人受入れに関する運用要領(p21~)』(2025年6月更新版)
特定技能の外国人採用での具体的な5つの方法

では、実際に特定技能外国人材を採用したい場合、どのような方法があるのでしょうか。
ここからは、外国人を採用するための代表的な5つの方法をご紹介します。それぞれの特徴を理解し、自社に合った方法を選びましょう。
人材紹介会社の活用
最も一般的で、特に初めて外国人採用を行う企業におすすめの方法が、人材紹介会社の活用です。
【人材紹介会社を活用するメリット】
専門的なサポート
複雑な在留資格の手続きや支援計画の作成、最新の法令に関する情報提供など、専門的な知識を持つプロのサポートを受けられます。
効率的なマッチング
国内外に広がるネットワークを活かし、自社の求めるスキルや経験を持つ人材を効率的に探して紹介してくれます。特に特定技能の採用においては、登録支援機関と連携し、手続きや支援の一部をワンストップで依頼できる人材紹介会社も多くあります。
採用工数の削減
募集から面接設定、条件交渉、入社手続きまでを一貫して代行してくれるため、自社の採用担当者の負担を大幅に軽減できます。
リスクの軽減
書類の不備や手続きの遅延といったリスクを最小限に抑え、確実な採用を実現できます。
【人材紹介会社を活用するデメリット】
コストがかかる
採用が成功した場合、成功報酬として紹介手数料が発生します。
外国人採用・グローバル採用、スタートするなら今
外国人材の採用をはじめたいけれど、ビザの手続きや受け入れ体制の整備などの不安があるという方へ。
Connect Job は、世界中から46万人の登録者が利用しており、日本での就職を希望する優秀な外国人材と企業をつなぐプラットフォームとして、多くの企業に選ばれています。
採用支援実績は1000社以上。
戦略から採用、ビザ申請のサポート、入社後のフォローまでワンストップで行っているため、初めての外国人採用でも安心してご相談ください。
無料・30秒のフォーム入力で詳細資料を送付します
ご準備不要!「こんな人材を募集している」と伝えるだけでOKです!
求人メディアの利用
求人メディアの利用は、国内外の外国人が利用する求人サイトや求人情報誌に広告を掲載し、特定技能の資格を持つ外国人からの応募者を募る方法です。
【求人メディアを利用するメリット】
幅広い層へのアプローチ
多くの求職者に一度にアプローチできるため、多様な人材と出会える可能性があります。
コストの柔軟性
掲載期間や広告のサイズによって料金が異なるため、予算に合わせて利用しやすいのが特徴です。比較的低コストで始められるプランもあります。
【求人メディアを利用するデメリット】
採用工数がかかる
応募者への対応、面接日程の調整、選考、手続きなどを全て自社で行う必要があります。
ミスマッチの可能性がある
多数の応募が来た場合、自社の要件に合わない応募者のスクリーニングに手間がかかることがあります。また、在留資格の要件を理解していない応募者もいるため、注意が必要です。
スカウトサイトの活用
スカウトサイトの活用とは、企業側からデータベースに登録されている外国人材へ直接アプローチできる「ダイレクトリクルーティング」の一種です。
【スカウトサイトを活用するメリット】
攻めの採用が可能
企業が求める経験やスキルを持つ人材をピンポイントで探し、直接アプローチできます。潜在的な転職希望者にも働きかけることが可能です。
マッチング精度の向上
候補者のプロフィールを詳細に確認した上でアプローチするため、ミスマッチが起こりにくい傾向があります。
【スカウトサイトを活用するデメリット】
運用ノウハウが必要
魅力的なスカウトメールの作成や、候補者との継続的なコミュニケーションなど、運用には一定のスキルと工数が求められます。
返信率
必ずしもアプローチした候補者から返信があるとは限りません。
SNSを活用した募集
FacebookやLinkedIn、X(旧Twitter)などのSNSを活用して、企業の魅力や求人情報を発信し、応募者を募る方法です。
【SNSを活用するメリット】
低コストでの運用
基本的に無料で利用できるプラットフォームが多く、採用コストを抑えることができます。
企業の魅力発信
日常の職場の雰囲気や企業文化を発信することで、候補者との共感を醸成し、エンゲージメントを高めることができます。
コミュニティ形成
特定の国籍や職種のコミュニティに直接アプローチすることも可能です。
【SNSを活用するデメリット】
即効性が低い
成果が出るまでに時間がかかり、継続的な情報発信とアカウント運用が必要です。
炎上リスク
発信する情報の内容によっては、意図せず企業の評判を損なうリスクも伴います。
在留資格「留学」から「特定技能」に変更して採用
日本の大学や専門学校、日本語学校で学ぶ留学生を採用し、卒業後に在留資格を「特定技能」に変更する方法です。
【在留資格「留学」から「特定技能」に変更して採用するメリット】
若手人材の確保
若く、ポテンシャルの高い人材を確保できます。
日本語能力の高さ
日本の教育機関で学んでいるため、一定以上の日本語能力や日本文化への理解が期待できます。
アルバイトを通じた事前評価
在留資格の範囲内(週28時間以内)でアルバイトとして雇用し、働きぶりや人柄を事前に確認した上で、正社員として採用することも可能です。
【在留資格「留学」から「特定技能」に変更して採用するデメリット】
試験合格が必要
留学生は、特定技能の在留資格を得るために、技能試験と日本語能力試験(免除要件を満たさない場合)に合格する必要があります。
卒業時期に左右される
採用のタイミングが、主に卒業シーズンである3月や9月に限定されがちです。
特定技能の外国人採用でかかる費用
特定技能外国人を1名採用する場合、様々な費用が発生します。事前に全体像を把握し、予算を確保しておくことが重要です。費用は大きく「採用までにかかる費用」と「採用後にかかる費用」に分類されます。
【採用までにかかる費用の内訳】
費目 | 内容 | 費用の目安 | 備考 |
人材紹介手数料 | 人材紹介会社を利用した場合の成功報酬 | 30万円~100万円/人 | 採用する人材の年収や国籍、紹介会社によって変動 |
求人広告費 | 求人メディアに広告を掲載する場合の費用 | 5万円~50万円 | 媒体や掲載プランによる |
在留資格申請費用 | 行政書士などに申請を代行してもらう場合の報酬 | 10万円~20万円/人 | 自社で申請すれば印紙代(4,000円)のみ |
登録支援機関への委託費 | 支援計画の作成や申請を委託する場合の初期費用 | 10万円~30万円/人 | 月々の支援委託費とは別に発生する場合がある |
海外からの渡航費 | 海外在住者を採用する場合の航空券代など | 5万円~15万円/人 | 渡航時期や国による。企業負担が一般的 |
事前ガイダンス費用 | 雇用条件などを説明する際にかかる費用(通訳費など) | 2万円~6万円 | 登録支援機関の費用に含まれることが多い |
【採用後にかかる費用の内訳】
費目 | 内容 | 費用の目安 | 備考 |
登録支援機関への月額支援委託費 | 支援業務を委託する場合の月々の費用 | 2.5万円~5万円/人 | 最も継続的に発生する費用 |
住居確保の初期費用 | 社宅の敷金・礼金、仲介手数料、家賃保証料など | 10万円~30万円 | 企業が負担または一部補助することが多い |
生活用品の準備費用 | 家具・家電など、生活に必要な物品の購入費 | 5万円~10万円 | |
給与・社会保険料 | 日本人従業員と同等以上の給与と、法定の社会保険料 | - | 最も大きなコスト |
【採用全体でかかる合計費用の目安】
国内在住者を採用する場合:50万円~150万円程度
海外在住者を採用する場合:60万円~200万円程度
これはあくまで目安であり、採用ルートや利用するサービスによって大きく変動します。特に、支援を自社で行うか、登録支援機関に委託するかでランニングコストが大きく変わる点を理解しておく必要があるでしょう。
出典:出入国在留管理庁『特定技能外国人受入れに関する運用要領(p14~)』(2025年6月更新版)
特定技能の外国人採用におけるメリット

コストや手間がかかる一方で、特定技能外国人を採用することには、デメリットを上回る多くのメリットが存在します。
即戦力人材の確保による人手不足の解消
特定技能制度の最大のメリットは、何といっても人手不足の解消に直結する点です。対象となる16分野は、いずれも国内で人材確保が困難な状況にあります。特定技能外国人は、一定の技能水準と日本語能力を持っていることが証明されているため、採用後すぐに現場で活躍できる「即戦力」として期待できます。
若手人材の確保と組織の活性化
国内の生産年齢人口が減少する中で、特に地方や中小企業では若手人材の確保が年々難しくなっています。特定技能で来日する外国人は20代~30代の若年層が多く、若くて意欲的な人材を確保することで、職場の平均年齢が下がり、組織全体の活性化につながります。異なる文化や価値観を持つ人材が加わることで、新たな視点や発想が生まれ、イノベーションのきっかけとなることも少なくありません。
フルタイムでの直接雇用による安定した労働力の確保
特定技能は、受け入れ企業との直接雇用が原則です。パートやアルバイトとは異なり、フルタイムの正社員として雇用するため、安定した労働力を長期的に確保できます。特定技能1号の在留期間は最長5年ですが、特定技能2号へ移行すれば在留期間の制限がなくなり、永続的に日本で働き続けることも可能です。これにより、企業は腰を据えた人材育成やキャリアパスの提示が可能になります。
海外展開への足がかり
採用した外国人の母国への事業展開を検討している企業にとって、彼らは強力なキーパーソンとなり得ます。現地の言語や文化、商習慣に精通しているため、市場調査や現地法人とのコミュニケーション、将来的な駐在員候補として活躍することが期待できます。グローバルな事業展開を見据える企業にとって、特定技能人材の採用は未来への大きな投資となるでしょう。
特定技能の外国人採用における現状と課題
特定技能制度は、人手不足に悩む多くの企業にとって解決策となり得ますが、その運用にはいくつかの課題も存在します。
ここからは、特定技能外国人の採用における現状と課題について解説していきます。
制度変更の影響
特定技能制度は、社会情勢や経済状況の変化に対応するため、随時見直しが行われています。
例えば2024年2月より、特定技能1号の対象分野に「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が新たに追加されました。また、これまで3つに分かれていた製造業分野(素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業)が「工業製品製造業」として一つの分野に統合され、合計16分野体制となっています。
このように、特定技能制度は現在も制度変更が検討されているため、企業の採用担当者は、自社の産業分野に併せて常に最新の情報を取得することが求められるでしょう。
また、特定技能制度とも関連が深い技能実習制度ですが、現在この技能実習制度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新制度「育成就労制度」を創設する動きが進んでいます。この新制度は、特定技能制度への円滑な移行をより重視した設計となる見込みです。
特定技能と技能実習の違いについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
出典:出入国在留管理庁『特定技能外国人受入れに関する運用要領(p3~)』(2025年6月更新版)
出典:出入国在留管理庁『育成就労制度の概要』(2025年6月現在)
費用の負担
前述の通り、特定技能外国人の採用と支援には相応のコストがかかります。特に中小企業にとっては、人材紹介手数料や登録支援機関への委託費用、住居の確保などが大きな負担となる場合が懸念されるでしょう。
そのための対策として、国や地方自治体は外国人材の受け入れを促進するための助成金や補助金制度を設けています。
例えば「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」などを活用することで、研修費用や相談窓口の設置費用などの一部を補うことが可能です。こうした公的支援をうまく活用し、費用負担を軽減していきましょう。
まとめ:特定技能の外国人採用は今後のスタンダード
特定技能制度は、単なる労働力の補填ではなく、意欲と能力のある外国人材が、日本人と同じように社会の一員として活躍するための重要な仕組みです。手続きは複雑で、受け入れ企業には多くの義務が課せられますが、それを上回る価値やメリットをもたらしてくれる制度でもあります。
日本で深刻化する人手不足は、もはや一過性のものではありません。多様な人材を受け入れ、共に成長していく視点を持つことが、これからの企業経営において不可欠です。特定技能外国人の採用は、もはや特別な選択肢ではなく、企業の持続的な成長を支える「スタンダード」となりつつあります。
この記事が、特定技能外国人を採用するための第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
外国人採用・グローバル採用、スタートするなら今
外国人材の採用をはじめたいけれど、ビザの手続きや受け入れ体制の整備などの不安があるという方へ。
Connect Job は、世界中から46万人の登録者が利用しており、日本での就職を希望する優秀な外国人材と企業をつなぐプラットフォームとして、多くの企業に選ばれています。
採用支援実績は1000社以上。
戦略から採用、ビザ申請のサポート、入社後のフォローまでワンストップで行っているため、初めての外国人採用でも安心してご相談ください。
無料・30秒のフォーム入力で詳細資料を送付します
ご準備不要!「こんな人材を募集している」と伝えるだけでOKです!
Connect Job編集部
世界中のトップクラス人材と企業を繋ぐ外国人採用のトータルサポート「Connect Job」。Connect Job編集部は外国人採用と長年向き合ってきた経験をもとに、採用に役立つ実践的なノウハウや最新動向をお届けします。
企業の採用現場でよくある課題や、採用担当者・外国人社員の声など、現場をよく知る社員が編集を担当しています。リアルな現状を知る私たちから、「プロフェッショナル」かつ「現場目線」で役立つコンテンツを発信しています。
運営会社:フォースバレー・コンシェルジュ株式会社(https://www.4th-valley.com)