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「技術・人文知識・国際業務」ビザでレストランなど飲食店に就労できる?その他の在留資格や注意点も解説

  • 執筆者の写真: 2022 intern
    2022 intern
  • 4 日前
  • 読了時間: 11分
「技術・人文知識・国際業務」ビザでレストランなど飲食店に就労できる?その他の在留資格や注意点も解説

「技術・人文知識・国際業務」ビザは、多くの外国人が持つ代表的な就労ビザです。では、このビザを持つ外国人を、飲食店のホールやキッチンスタッフとして雇用できるのでしょうか?


結論、「技人国」ビザは専門職向けであり、ホールやキッチンなどの単純作業を“主な仕事”とすることは認められていません。 専門業務のかたわら付随的に現場作業を行う程度であれば認められるケースもありますが、実態として単純労働が中心になると不法就労と判断され、不法就労助長罪に問われるリスクも伴います。


この記事では、飲食店での就労が難しい理由や、例外的に認められるケースと注意点について、分かりやすく解説します。

目次



1.「技術・人文知識・国際業務」ビザとは

飲食店で「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得するための要件

「技術・人文知識・国際業務」ビザは、日本で働く外国人のための代表的な就労ビザのひとつで、「技人国(ギジンコク)」ビザとも呼ばれます。いわゆるホワイトカラー向けの専門職ビザであり、次の3つのカテゴリーに分類されます。


  • 技術(エンジニアなど):理工系分野の専門知識・技術を活かす業務

  • 人文知識(企画・営業・経理など):法学・経済・経営・社会学など、文系分野の専門知識を活かす業務

  • 国際業務(翻訳・通訳・語学指導・海外マーケティングなど):外国の文化や言語に関連する業務


技人国ビザを取得するための原則は、 「大学・短大・専門学校などで専攻した分野と関連性のある業務」 または 「一定期間の実務経験(技術・人文分野であれば原則10年以上、国際業務分野であれば3年以上など)で培った専門スキルを必要とする業務」 に従事することです。


裏を返せば、学術的な背景や高度な専門性を必要としない単純労働(配膳・皿洗い・清掃など)を“主な仕事”とすることは原則認められていません。専門的な業務を中心に行い、その一部として現場作業を行うことはあり得ますが、就労実態として単純作業が中心と判断されると、在留資格の趣旨に反すると見なされる点に注意が必要です。




2.「技術・人文知識・国際業務」ビザで飲食店に就労できる?

「技術・人文知識・国際業務」ビザで飲食店に就労できる?

原則、レストランや居酒屋など飲食店の一般的なホールスタッフやキッチンスタッフとして「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得することはできません。


ただし、業務内容が「専門業務」に該当すると証明できれば、飲食店であっても就労が認められるケースは存在します。


単純就労(キッチン・ホール業務など)は認められない


飲食店の現場における接客、配膳、レジ打ち、清掃、皿洗いや、マニュアルに基づいた調理・盛り付けといった業務は、専門的な知識や技術を必要としない「単純就労」と分類されます。


たとえ本人が4年制大学を卒業していたとしても、「大学で学んだ専門知識と、ホールでの接客業務との間に関連性がない」と出入国在留管理局(入管)に判断されるため、ビザは許可されません。



翻訳・通訳対応が主業務であれば認められることも


「国際業務」の区分で許可が下りるケースです。例えば、インバウンドの集客に力を入れている店舗で、「外国人客専門の通訳・接客担当」「海外広報SNSの運用・翻訳」「海外の予約サイトとの連絡調整」といった業務がメインであれば、認められる可能性もあります。


ただし、「主たる業務」が翻訳・通訳であることが条件です。実態として、業務時間の半分以上を通常のホール業務や清掃などに充てていると判断されれば、不許可となります。


管理業務であれば認められる可能性あり


「人文知識」の区分で許可が下りるケースです。飲食店を運営する企業の本社または本部機能を持つ事務所で、「複数店舗の売上分析」「マーケティング戦略の立案」「経理・財務」「人事・採用計画の策定」といった管理業務に従事する場合や、店長・ストアマネージャーとして店舗管理を行う(現場作業が付随的に留まる)場合に該当します。


ただし、外国人本人が大学の経済学部や経営学部を卒業しているなど、管理業務との専門的な関連性が必要です。



3.「技術・人文知識・国際業務」で従事できる飲食店の仕事

「技術・人文知識・国際業務」で従事できる飲食店の仕事

具体的に「技術・人文知識・国際業務」(以下、「技人国」)ビザを持つ外国人が、飲食店の現場でどのような業務に従事することが認められているのかを見ていきましょう。


ここで重要なのは、「専門性」や「技術・知識」が活かされる業務である、という点です。


店舗管理や複数店舗を統括する「マネージャー職」「店長候補」

技人国ビザで最も認められやすいのが、店舗管理や運営に関する業務です。これらは、単なる現場作業ではなく、大学などで学んだ経営学や管理能力といった人文知識が活かされる仕事と判断されます。


具体的な業務例:


  • 売上管理、在庫管理、発注業務

  • 人事管理(採用、教育、シフト作成)

  • マーケティング戦略の立案・実行

  • オペレーションの改善


ただし、これらの管理業務がメインであり、ホールやキッチンでの単純作業が主とならないことが重要です。申請時には、管理業務の割合や、具体的な職務内容が厳しくチェックされます。


企画・経理・人事など「事務職」

飲食店の経営を支えるバックオフィス業務も、技人国ビザの対象となります。これらの業務は、専門的な知識に基づいて行う必要があるためです。


  • 企画・広報:新メニューやキャンペーンの企画立案、プレスリリースの作成など

  • 経理・財務:会計処理、予算管理、給与計算など

  • 人事:採用計画の策定、研修プログラムの作成、労務管理など


これらの業務は、通常の企業における事務職と同様に専門性が認められるため、店舗とは別に事務所などで専用のデスクが用意されているケースが望ましいとされます。


外国人向け、インバウンド対応の「通訳・翻訳」

国際業務に該当する業務として、外国人観光客への接客における通訳や、メニュー・POPなどの翻訳業務が挙げられます。特に、近年インバウンド需要が高まる中、母国語を活かした通訳・翻訳のニーズは非常に高まっています。


注意点としては、単純なレジ打ちや料理の提供(単純労働)のついでに通訳をする、という形態では認められにくく、語学力という専門性を活かした業務がメインである必要があります。


海外展開のための「マーケティング・広報」

将来的な海外店舗展開や、インバウンド誘致を目的とした海外市場向けのリサーチやマーケティング、広報業務も、国際業務に該当する可能性があります。


例えば、出身国の文化や商慣習に基づいた市場調査や、現地のSNSを活用したプロモーション戦略の立案などが該当します。この場合、その外国人の母国語能力や国際的感覚などの専門性が活かされている必要があります。


業務の一環としての「接客」

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、ホールでの接客業務そのものが主たる業務となることは認められません。ただし、マネジメント業務や通訳業務といった専門的な職務を遂行する上で、付随的に接客を行うことは可能です。


例えば、店舗マネージャーが現場の状況を把握するために一時的にホールに出たり、通訳担当者が外国人客のテーブルで直接対応したりするケースがこれにあたります。


あくまで「専門的な業務」がメインであり、「単純労働」はその付随的なものに留める必要があります。



4.飲食店で就労可能な「技術・人文知識・国際業務」以外の在留資格


飲食店で就労可能な「技術・人文知識・国際業務」以外の在留資格

「技人国」ビザで飲食店の現場の業務に就くのは、非常にハードルが高いのが実情です。飲食店の現場で働いてもらうには、以下のビザがより現実的で、制度の目的に合った選択肢となります。


ホールやキッチンスタッフとして働ける「特定技能」

飲食店のホール・キッチンなど現場で働くための、最も一般的な就労ビザです。「外食業」分野は特定技能1号の対象であり、試験に合格すれば学歴を問わず就労が可能です。「技人国」ビザで禁止されている現場作業が、まさに主たる業務として認められています。人手不足の解消を目的として、即戦力人材をフルタイムで雇用したい場合には、まずこのビザを検討しましょう。



専門調理師向けの「技能」

専門的な技術を持つ「料理人(シェフ)」を呼び寄せるためのビザです。外国特有の料理について、原則10年以上(タイ料理は5年以上)の実務経験を証明できる場合に取得できます。ただし、「料理人」としての資格であるため、ホール業務や皿洗いといった単純作業に従事させることは認められていません。


高い日本語能力を活かせる「特定活動46号」

日本の大学・大学院に加え、短期大学や高等専門学校、一部の認定専修学校(高度専門士) の卒業者も対象となる在留資格です。


日本語能力試験N1やBJT480点以上など、高い日本語能力を前提に、日本語を用いた意思疎通を要する業務(接客・店舗管理・通訳など)を主な業務としつつ、ホールやキッチン業務も一定範囲で認められる のが特徴です。

「高い日本語能力を活かした業務」が中心になるように設計する必要があります。




5.「技術・人文知識・国際業務」ビザで飲食店に就労する際の注意点

「技術・人文知識・国際業務」ビザで飲食店に就労する際の注意点


翻訳や管理業務として「技人国」ビザを申請する場合でも、入管は「本当に単純労働をさせないか?」という点を審査します。そのため、以下の2点に特に注意しなければいけません。


店舗の数や広さなどが申請時に確認される

例えば、個人経営の小さなレストランが「マーケティング担当者として雇用したい」と申請しても、入管は「その事業規模で本当に専門のマーケティング担当者が必要なのか?実態は皿洗いではないか?」と疑います。


複数店舗を展開している、大規模な店舗で外国人客が常時来店するといった客観的な事業規模を、決算書や店舗の図面、写真、インバウンド客の実績データなどで証明し、「専門業務を任せるだけの正当な理由がある」と納得させることが不可欠です。


管理業務に従事させる際は個人のデスクが必須

管理業務や翻訳業務を行うには、パソコンや電話が置かれた専用の執務スペースが必要なため、専用デスクや事務スペースの有無は、「単純労働が中心ではないこと」を示す重要なポイントです。


申請時、店舗の客席エリアとは明確に区切られた事務所内に、本人のための専用デスクやパソコンが用意されていることを、写真や事務所の図面などで示さなければいけません。


専用デスクが全く用意されていない場合、「現場作業が中心なのでは」と疑われ、不許可となるリスクが高まります。



6.飲食店で「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得するための要件


飲食店で「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得するための要件

飲食店で「技術・人文知識・国際業務」(技人国)ビザを取得するには、主に外国人本人企業(飲食店)側の要件を満たす必要があります。


  • 外国人本人の要件:

    • 関連科目を専攻した大学・専門学校の卒業、または実務経験を通じて専門的な知識・技術を証明できること。

  • 企業(飲食店)側の要件:

    • 従事させる業務が、単純労働ではなく専門性の高い業務(管理職、通訳、事務など)であること。

    • 報酬が日本人と同等以上であること。


特に飲食店での申請では、専門業務と単純労働を明確に区別し、専門業務が主であることを立証することが最も大事なポイントです。


より詳細な要件や申請の流れについては、下記の記事をご確認ください。




7.まとめ

「技術・人文知識・国際業務」ビザは専門職向けのため、飲食店のホールやキッチン業務(単純労働)には従事させることができません。インバウンド対応が主業務の「国際業務」や、本社勤務の「人文知識」(マーケティングなど)であれば例外的に可能ですが、事業規模の証明や専用デスクの設置など、審査は厳格です。


飲食店の現場スタッフを雇用したい場合、学歴不問の「特定技能(外食)」や、大卒留学生向けの「特定活動46号」といった、業務内容に合ったビザも視野に入れましょう。




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Connect Job編集部


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