特定技能で外国人採用するには?具体的な方法や流れ・費用を解説
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- 6月20日
- 読了時間: 22分
更新日:10月15日

少子高齢化が進む日本では、多くの産業で人手不足が深刻な課題となっています。その解決策の1つとして注目されているのが、2019年に創設された在留資格「特定技能」です。この制度は、即戦力となる外国人材を企業が直接雇用することを可能にし、日本の労働市場に新たな活気をもたらしています。
この記事では、特定技能制度の基本から企業が満たすべき基準、採用の具体的な流れ、必要な費用、そして採用後の手続きまで網羅的に解説します。記事を読むことで、特定技能での外国人採用に関する全体像を掴み、具体的な第一歩を踏み出すことができるでしょう。
目次
特定技能とはどのような制度?

「特定技能」は、日本国内の深刻な人手不足に対応するため、2019年4月に導入された在留資格です。生産性向上や国内人材の確保に努めてもなお、人材確保が困難な特定の産業分野において、専門性・技能を持つ即戦力となる外国人材を受け入れることが目的です。
この制度は、外国人労働者が即戦力として活躍できる環境を整えることで、日本経済・社会基盤の持続可能性を支える重要な役割を担っており、受け入れ分野は介護、建設、農業、外食業など16分野にわたります。
16分野の詳細はこちらで解説しています。
特定技能外国人を採用する際に活用したい「登録支援機関」について
登録支援機関とは、特定技能外国人の受け入れ企業に法律で義務付けられている支援業務を、専門家として代行する機関です。本来であれば人事担当者が、住居探しや各種手続き、来日後の生活サポートといった煩雑な業務を担わなければいけません。
しかし、登録支援機関を活用することで負担が大幅に軽減され、採用活動に集中できます。初めての受け入れで支援体制に不安がある場合に、活用したいサービスです。
特定技能外国人を受け入れるための要件と基準

特定技能外国人を受け入れるにあたって、企業側・外国人側でそれぞれ満たすべき基準があります。
企業側の要件と基準
企業側の要件と基準は次の3つに大別されます。
①受け入れ企業に関する基準
②雇用契約に関する基準
③支援体制に関する基準
それぞれ見ていきましょう。
①受け入れ企業に関する基準
「受け入れ企業に関する基準」では、企業自身が外国人材を適正に受け入れるため、基本的な法令が遵守されているか、健全な体制を持っているかが問われます。
基準 | 概要 |
法令を遵守している | 労働法、社会保険法、税法など、関連する日本の法律を遵守していることが前提 |
非自発的離職者がいない | 特定技能外国人を雇用する前の1年以内、またはその締結の日以後に、同じ業務に従事していた日本人等の従業員を会社の都合で解雇(非自発的離職)していないこと |
行方不明者が発生していない | 過去1年以内に、企業の責任によって技能実習生や特定技能外国人などの行方不明者を発生させていないこと |
欠格事由へ該当していない | 役員等が禁錮刑や暴力団関係などの欠格事由に該当しないこと |
継続的な契約履行能力がある | 安定した経営基盤・財務状況であること |
支援費用を負担している | 登録支援機関への委託費用含め、「1号特定技能外国人支援」にかかる費用を直接的・間接的に負担させてはいけない |
各種届出を履行している | 地方出入国在留管理局に対して、定期的な届出や変更があった際の随時的な届出を誠実に行う |
②雇用契約に関する基準
外国人材と締結する雇用契約(特定技能雇用契約)にも、満たすべき基準が細かく定められています。外国人だからといって不当な契約になっていないかが重要な点です。
基準 | 概要 |
業務内容に適合性がある | 特定技能の在留資格で許可された分野の業務範囲内でなければならない |
所定労働時間を遵守している | 正社員など、通常の労働者(フルタイム)と同等の所定労働時間であること |
日本人従業員と同等以上の報酬になっている | 同じ業務に従事する日本人従業員と同等額以上でなければならない |
一時帰国のための休暇がある | 一時帰国を希望した場合には、必要な有給休暇を取得させること |
帰国担保措置がある | 雇用契約が終了し、帰国に要する旅費を負担できないときは、受け入れ企業がその旅費を負担する |
派遣形態の制限がある | 特定技能外国人を労働者派遣の形態では雇用できない |
③支援体制に関する基準
特定技能制度の特徴的な点の1つが、受け入れ企業に課される「支援義務」です。
企業は、特定技能1号の外国人が日本で安定的かつ円滑に活動できるよう、職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援を行うための計画(1号特定技能外国人支援計画)を策定し、実行しなければなりません。
支援は、自社で行うか、「登録支援機関」に委託することができます。自社で支援を行う場合、以下の基準を満たす必要があります。
基準 | |
支援責任者・支援担当者を選任している | 支援計画の実施について管理する「支援責任者」と、実際に支援を担当する「支援担当者」を事業所ごとに選任すること |
支援担当者の要件 | 担当者が中立な立場で定期面談を行い、過去に不正がないこと |
多言語対応している | 外国人が十分に理解できる言語(母国語など)で支援を提供できる体制がある |
自社で体制を整えるのが難しい場合は、専門の登録支援機関に支援業務を委託しましょう。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
出典:出入国在留管理庁『特定技能外国人受入れに関する運用要領(p11~)』(2025年6月更新版)
外国人側の要件と基準

外国人材自身が「特定技能」の在留資格を得るには、2つのルートがあります。
①「特定技能評価試験」と「日本語能力試験」の合格
②「技能実習」からの移行
①「特定技能評価試験」と「日本語能力試験」の合格
一定レベルの技能があることを証明する「特定技能評価試験」と、「日本語能力試験」N4以上の合格を目指すのが最も一般的なルートです。
試験 | 概要 |
技能評価試験 | 取得を目指す在留資格の分野で「相当程度の知識または経験を必要とする技能」があることを証明する |
日本語能力試験 | 「日本語能力試験」N4以上に合格するか、「国際交流基金日本語基礎テスト」で一定以上の成績を収める ※自動車運送など一部の分野ではN3以上 |
なお、日本語能力試験の詳細はこちらで解説しています。
②「技能実習」からの移行
もう1つのルートとして、技能実習制度からの移行があります。技能実習を修了している場合は、すでに一定の日本語力と技能があるとみなされ、試験が免除されます。
「技能実習2号を良好に修了」している例:
技能実習を計画通りに満了(原則2年10カ月以上)
技能検定3級または相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格
ただし、移行できる特定技能の分野は、経験した技能実習の職種・作業と関連性が認められる分野に限られます。異なる分野で特定技能の在留資格を取得する場合は、先述した試験の合格が必要です。
なお、特定技能と技能実習の違いはこちらで詳しく解説しています。
出典:出入国在留管理庁『特定技能外国人受入れに関する運用要領(p21~)』(2025年6月更新版)
出典:出入国在留管理庁『特定技能制度に関するQ&A』(2025年6月現在)
特定技能外国人を採用するまでの具体的な進め方

特定技能外国人を採用するまでの具体的な進め方は次の通りです。
選考のプロセス | 概要 |
1.採用活動と面接の実施 | 人材紹介会社や求人メディアなどを活用して候補者を探し、書類選考や面接を実施 |
2.特定技能雇用契約の締結 | 「雇用契約に関する基準」に沿って明記し締結 |
3.支援計画の策定 | 「1号特定技能外国人支援計画」を作成 |
4.在留資格の申請手続き | 「在留資格変更許可申請」もしくは「在留資格認定証明書交付申請」を提出 |
5.就労の開始 | 必要な公的手続きやオリエンテーションを実施 |
それぞれの詳細を見ていきましょう。
①採用活動と面接の実施
人材紹介会社や求人メディアなどを活用して候補者を探し、書類選考や面接を実施します。
面接では、技能や経験だけでなく、日本語でのコミュニケーション能力や日本での就労意欲、人柄などを総合的に判断することが重要です。
特定技能制度の趣旨や、自社での業務内容、待遇について正確に伝え、双方の認識にズレがないように丁寧なすり合わせを行いましょう。必要に応じて、通訳を交えて面接を実施することも有効です。
②特定技能雇用契約の締結
採用したい外国人材が決まったら、特定技能外国人向けの「特定技能雇用契約」を締結します。業務内容、労働時間、報酬、その他の待遇などを「雇用契約に関する基準」に沿って明記しなければいけません。
③支援計画の策定
次に「1号特定技能外国人支援計画」を作成します。盛り込むべき10項目の支援内容は、以下の通りです。
支援内容 | 具体的な支援内容 |
① 事前ガイダンス | 雇用契約内容や日本での活動内容に関する情報提供 |
② 出入国する際の送迎 | 空港等への送迎 |
③ 住居確保・生活に必要な契約支援 | 連帯保証人になる、社宅を提供する、銀行口座開設や携帯電話契約などの支援を実施 |
④ 生活オリエンテーション | 日本のルールやマナー、公共機関の利用方法、災害時の対応などの説明 |
⑤ 公的手続き等への同行 | 役所での住民登録や社会保障・税に関する手続きへの同行 |
⑥ 日本語学習の機会の提供 | 日本語教室に関する情報の提供や、日本語学習教材の提供など |
⑦ 相談・苦情への対応 | 職業生活や日常生活に関する相談・苦情について、多言語で対応し、適切な助言や指導を実施 |
⑧ 日本人との交流促進 | 地域のイベントや自治会への参加を促し、日本人との交流機会を確保 |
⑨ 転職支援 | 企業の都合で雇用契約を解除する場合の転職先探しの手伝い |
⑩ 定期的な面談 | 支援責任者等が、外国人本人およびその上司と3ヶ月に1回以上の定期的な面談を実施 |
これらの支援を全て自社で行うか、登録支援機関に委託するかを決定し、計画書を作成します。
<参考記事>
④在留資格の申請手続き

必要な書類が揃ったら、在留資格の申請を進めます。
日本国内で採用した場合は管轄の地方出入国在留管理局へ「在留資格変更許可申請」を行い、海外から新たに外国人を呼び寄せる場合は「在留資格認定証明書交付申請」を行います。
申請に必要な書類は以下の通りです。
申請書本体
特定技能雇用契約書の写し
雇用条件書の写し
事前ガイダンスの確認書
支援計画書の写し など
不備があると審査が長引いたり、不許可になったりする可能性があります。そのため、専門家である行政書士や、実績の豊富な人材紹介会社・登録支援機関に相談しながら進めるのが確実です。
なお、特定技能1号・2号を取得するための申請方法や必要書類については、以下の記事をご覧ください。
⑤就労の開始
在留資格が許可されたら、いよいよ入社となります。
外国人社員が来日する場合は、空港送迎や住居の確保、公的手続きの支援などを行いましょう。安心して業務をスタートできるよう、職場での受け入れ体制を整え、必要なオリエンテーションを実施しましょう。
出典:出入国在留管理庁『特定技能外国人受入れに関する運用要領(p12~)』(2025年6月更新版)
特定技能外国人を採用した後に必要な手続き
特定技能外国人を採用した後に必要な手続きの概要は以下の通りです。
手続き | 概要 |
外国人雇用状況届出 | 全ての外国人を雇用する事業主に義務付けられている手続き |
定期報告 | 出入国在留管理庁へ年に1度報告する義務がある |
必要書類の提出 (特定の事項に変更があった場合) | 特定の事項に変更があった場合に、その都度提出が必要な書類もある |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
外国人雇用状況届出

外国人雇用状況届出は、特定技能に限らず、全ての外国人を雇用する事業主に義務付けられている手続きです。
項目 | 内容 |
届出内容 | ・氏名 ・在留資格 ・在留期間 など |
提出先 | 事業所の所在地を管轄するハローワーク |
提出期限 | ・雇用保険の被保険者である場合は資格取得届と同時 ・被保険者でない場合は雇入れの翌月の10日まで |
提出方法 | ・ハローワーク窓口 ・郵送 ・オンライン(外国人雇用状況届出システム) |
「外国人雇用状況届出書」の提出方法などは以下の記事をご覧ください。
定期報告

特定技能所属機関(受け入れ企業)は、特定技能外国人の状況について、出入国在留管理庁へ定期的に報告しなければいけません。届出が必要な項目は下記の通りです。
報告項目 | 内容 |
受入れ状況 |
など |
活動状況 |
など |
支援の実施状況 |
など |
離職者・行方不明者の発生状況 |
など ※年次報告とは別に事由が発生した日から14日以内に随時報告 |
【重要】2025年4月1日からのルール変更:四半期ごとから、年1回の届出に簡素化
これまで四半期ごとに行われていた定期報告は、2025年4月1日より、年1回の届出に簡素化されました。
報告対象期間:毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間
提出期間:上記報告対象期間の翌年度、4月1日から5月31日までの間
この変更により、企業の事務負担は軽減されましたが、日々の支援記録や雇用管理を正確に行い、適切に情報を保管しておくことの重要性は変わりません。届出を怠ると、新たな外国人材の受け入れが認められなくなる可能性があるため、必ず期限内に提出しましょう。
出典:出入国在留管理庁『特定技能制度における運用改善について』(2025年6月現在)
定期報告について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
必要書類の提出(特定の事項に変更があった場合)

特定の事項に変更があった場合に、その都度提出が必要な書類もあります。
特定技能雇用契約の変更に係る届出:報酬額や業務内容など、雇用契約の重要な内容に変更があった場合に提出
支援計画の変更に係る届出:軽微な変更を除き、支援計画の内容に変更があった場合に提出
受入れ機関に関する変更の届出:企業の名称や所在地が変更になった場合などに提出
支援の全部の委託に関する契約の変更・終了・新たな締結に係る届出:委託している登録支援機関を変更したり、新たに契約したりした場合に提出
これらの届出は、各変更が発生してから14日以内に提出しましょう。
出典:出入国在留管理庁『特定技能外国人受入れに関する運用要領(p15~)』(2025年6月更新版)
特定技能外国人を採用する際の3つの注意点

特定技能外国人を採用する際は、以下の3点に注意しなければいけません。
外国人材は「技能評価試験」と「日本語能力試験」の両方に合格する必要がある
特定技能外国人の受け入れ前に協議会に参加する
直接雇用が原則
それぞれ詳しく見ていきましょう。
外国人材は「技能評価試験」と「日本語能力試験」の両方に合格する必要がある
特定技能外国人として採用するためには「技能評価試験」と「日本語能力試験」の両方に合格していることが原則です。採用面接や選考の段階で、合格証明書の原本または写しを提示してもらいましょう。
なお、海外在住者を採用する場合、偽造された合格証明書が出回っているケースも報告されています。少しでも不審な点があれば、試験実施団体のWebサイトで合格者番号を照会するなど、慎重に確認しなければいけません。
技能実習からの移行者の場合は、技能実習2号を「良好に」修了したことを証明する書類(JITCOの評価調書など)を確認しましょう。
特定技能外国人の受け入れ前に協議会に参加する
企業は特定技能外国人の受け入れ前に加入し、在留資格申請の際に協議会加入証明書を提出しなければいけません(2024年6月15日以降)。協議会とは、各特定産業分野を所管する省庁、受け入れ企業、業界団体などで構成される組織です。
加入申請は、各分野の協議会のWebサイトなどから行えます。
構成員となった企業は、協議会が行う調査や指導、情報提供などに対して、必要な協力を行う義務があります。この義務を怠ると、特定技能外国人の受け入れができなくなる可能性があるため、注意しましょう。
出典:出入国在留管理庁『特定技能外国人受入れに関する運用要領(p21~)』(2025年6月更新版)
直接雇用が原則
特定技能外国人との契約は、企業が直接雇用することが原則です。労働者派遣、いわゆる派遣社員の形態で受け入れることは認められていません。これは、安定した雇用関係のもとで、企業の責任において適切な育成や支援を行うことを目的としています。
ただし、農業や漁業など、季節による業務量の変動が激しい一部の分野では例外的に派遣が認められています。
特定技能外国人を採用する5つの方法
特定技能外国人を採用する方法は、主に5つ挙げられます。
採用手法 | メリット | デメリット |
人材紹介会社 | 専門的なサポートを受けられる | コストがかかる |
求人メディア | 幅広い層にアプローチできる | 採用工数がかかる |
スカウトサイト | 人材に直接アプローチできる | 運用ノウハウが必要 |
SNS | 低コストで運用できる | 即効性が低く炎上リスクがある |
在留資格「留学」から「特定技能」に変更して採用 | 一定の日本語能力のある若手人材を確保できる | 試験合格が必要かつ卒業時期に左右される |
それぞれの概要を見ていきましょう。
人材紹介会社の活用
初めて外国人採用を行う企業におすすめの手法です。
複雑な手続きや法令の専門的なサポートを受けつつ、自社の要望に合う人材を効率的に探すことができます。採用時に紹介手数料というコストが発生するデメリットがありますが、手間とリスクを減らしたい場合に有効な手段といえるでしょう。
求人メディアの活用
国内外の外国人が利用する求人サイト等に広告を掲載し、応募者を募る方法です。多くの求職者に一括でアプローチでき、予算に合わせて柔軟にコストを調整できます。
デメリットとして、応募者対応から選考、手続きまで全て自社で行う必要があり、採用工数がかかります。ミスマッチの可能性もあり、候補者の選別にも注意が必要です。
スカウトサイトの活用
データベースに登録された人材へ、企業側から直接アプローチする「攻めの採用」手法です。求めるスキルを持つ人材をピンポイントで探し、自社で直接アプローチすることができる一方で、魅力的なスカウト文面の作成など運用ノウハウが求められる点、採用工数がかかる点などがデメリットです。
SNSを活用した募集
FacebookやX(Twitter)、LinkedInなどを活用し、企業の魅力や求人情報を発信して応募を募ります。無料で使える媒体が多く、採用コストを抑えながら職場の雰囲気などを伝え、SNSならではの訴求を行うことができます。
一方でデメリットとして、成果が出るまで継続的な運用が必要で即効性が低く、発信する情報によっては炎上リスクも伴うため、計画的な運用が求められます。
在留資格「留学」から「特定技能」に変更して採用
日本の学校で学ぶ留学生を採用し、卒業後に在留資格を「特定技能」へ変更する方法です。日本語能力が高く、若く優秀な人材を採用できるとされています。採用時期が3月などの卒業シーズンに限定される点がデメリットとして挙げられます。
特定技能外国人の採用にかかる費用の相場
費用相場の目安として、国内在住者か海外在住者で大きく異なるほか、採用ルートや、登録支援機関への委託が発生するかで大きく変動します。
採用計画時に確認しておきましょう。
【採用全体でかかる合計費用の目安】
国内在住者を採用する場合:50万円~150万円程度
海外在住者を採用する場合:60万円~200万円程度
【採用までにかかる費用の内訳】
費目 | 内容 | 費用の目安 | 備考 |
人材紹介手数料 | 人材紹介会社を利用した場合の成功報酬 | 30万円~100万円/人 | 採用する人材の年収や国籍、紹介会社によって変動 |
求人広告費 | 求人メディアに広告を掲載する場合の費用 | 5万円~50万円 | 媒体や掲載プランによる |
在留資格申請費用 | 行政書士などに申請を代行してもらう場合の報酬 | 10万円~20万円/人 | 自社で申請すれば印紙代(4,000円)のみ |
登録支援機関への委託費 | 支援計画の作成や申請を委託する場合の初期費用 | 10万円~30万円/人 | 月々の支援委託費とは別に発生する場合がある |
海外からの渡航費 | 海外在住者を採用する場合の航空券代など | 5万円~15万円/人 | 渡航時期や国による。企業負担が一般的 |
事前ガイダンス費用 | 雇用条件などを説明する際にかかる費用(通訳費など) | 2万円~6万円 | 登録支援機関の費用に含まれることが多い |
【採用後にかかる費用の内訳】
費目 | 内容 | 費用の目安 | 備考 |
登録支援機関への月額支援委託費 | 支援業務を委託する場合の月々の費用 | 2.5万円~5万円/人 | 最も継続的に発生する費用 |
住居確保の初期費用 | 社宅の敷金・礼金、仲介手数料、家賃保証料など | 10万円~30万円 | 企業が負担または一部補助することが多い |
生活用品の準備費用 | 家具・家電など、生活に必要な物品の購入費 | 5万円~10万円 | |
給与・社会保険料 | 日本人従業員と同等以上の給与と、法定の社会保険料 | - | 最も大きなコスト |
出典:出入国在留管理庁『特定技能外国人受入れに関する運用要領(p14~)』(2025年6月更新版)
特定技能外国人の採用に関してよくある質問
特定技能外国人の採用に関して、よくある質問と回答をまとめました。
特定技能外国人を採用するメリット・デメリットは?
メリット | デメリット |
|
|
最大のメリットは、人手不足が深刻な業種で即戦力となる人材を確保できる点です。一定の技能と日本語能力が試験で証明されているため、育成コストを抑えられます。また、若くて意欲的な人材は組織の活性化にも繋がります。
一方デメリットは、支援計画の作成・実施など、法律で定められた支援義務が発生する点です。また、在留期間が通算5年と上限があるため、長期的なキャリアプランの設計には工夫が必要です。
特定技能外国人は転職できる?
同一の業務区分内であれば転職が可能です。例えば、「介護」分野で働く特定技能外国人が、別の介護施設に転職することは認められています。
ただし、分野が異なる転職(例:「介護」から「外食」へ)は原則としてできません。転職の際には、新たな受け入れ企業で在留資格変更許可申請を再度行う必要があります。企業側は、採用時に本人の職歴や業務内容をしっかり確認することが重要です。
特定技能5年が終わったらどうなる?
特定技能1号の在留期間が終了すると、本人は原則として帰国することになります。しかし、「特定技能2号」へ移行できれば、在留期間の更新に上限がなくなり、家族の帯同も許可されます。2号の対象分野はまだ限定的ですが、今後の拡大が期待されています。
特定技能外国人が多い職種は?
出入国在留管理庁の発表によると、最も多いのは「飲食料品製造業」、次いで「工業製品製造業」「介護」の分野となっています。このほか、「建設」や「農業」などの分野でも多くの特定技能外国人が活躍しています。
特定技能外国人の給与相場はいくらですか?
厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」によると、特定技能外国人の平均月給は約21万円となっています。
在留資格区分 | 平均月給(円) |
外国人労働者計 | 242,700 |
専門的・技術的分野 (特定技能を除く) | 292,000 |
特定技能 | 211,200 |
身分に基づくもの | 300,300 |
技能実習 | 182,700 |
その他 (特定活動及び留学以外の資格外活動) | 226,500 |
特定技能外国人の給与は、「同等の業務に従事する日本人労働者と同等額以上」であることが法律で厳格に定められています。そのため、外国人であることを理由に不当に低い賃金を設定することはできません。
まとめ
特定技能制度は、単なる労働力の補填ではなく、意欲と能力のある外国人材が、日本人と同じように社会の一員として活躍するための重要な仕組みです。手続きは複雑で、受け入れ企業には多くの義務が課せられますが、それを上回る価値やメリットをもたらしてくれる制度でもあります。
日本で深刻化する人手不足は、もはや一過性のものではありません。多様な人材を受け入れ、共に成長していく視点を持つことが、これからの企業経営において不可欠です。特定技能外国人の採用は、もはや特別な選択肢ではなく、企業の持続的な成長を支える「スタンダード」となりつつあります。
この記事が、特定技能外国人を採用するための第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
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