【特定技能】外国人採用で必須の「事前ガイダンス」は何をすればいい?
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- 7月7日
- 読了時間: 15分

目次
特定技能外国人の採用活動を進める中で、「事前ガイダンス」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。事前ガイダンスは、特定技能制度において受け入れ企業に義務付けられている重要なプロセスの1つです。
しかし、「具体的に何を、いつ、どのように伝えれば良いのか」「そもそもなぜ必要なのか」など、疑問をお持ちの採用担当者様も少なくないでしょう。
この記事では、特定技能における事前ガイダンスの定義や目的といった基本から、具体的な実施内容まで網羅的に解説していきます。
事前ガイダンスとは?定義や目的

事前ガイダンスは、特定技能外国人材を受け入れる企業(受入れ機関)が必ず実施しなければならない「義務的支援」の1つです。まずは、基本的な定義や目的、実施方法について詳しく見ていきましょう。
なお、事前ガイダンスを含む専門的で多岐にわたる支援業務は、国に登録された「登録支援機関」へ委託することも可能です。Connect Jobでは、1,000社以上の支援実績に基づき、事前ガイダンスを含む「登録支援業務」のサポートも行っています。初めての外国人採用で不安な点が多い企業様も、ぜひお気軽にご相談ください。
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事前ガイダンスの定義
事前ガイダンスとは、特定技能所属機関(受け入れ企業)が、特定技能雇用契約を締結した外国人に対し、在留資格の申請前に行う重要事項の説明を指します。
これは、出入国在留管理庁が定める「1号特定技能外国人支援計画」において、必ず実施しなければならない義務的支援の1つに位置づけられています。
外国人が日本での就労や生活について十分に理解し、納得した上で来日・入社できるよう、労働条件や活動内容、入国に関する手続き、日本での生活に関する情報などを、本人が理解できる言語で丁寧に説明することが求められます。
事前ガイダンス実施の目的と重要性
事前ガイダンスの最大の目的は、外国人材と受け入れ企業の間の認識の齟齬をなくし、入社後のスムーズな就労と定着を促すことにあります。
慣れない土地で新しいキャリアをスタートさせる外国人にとって、仕事内容や労働条件、生活環境に関する情報は、不安を解消し、モチベーションを高める上で非常に重要です。
実際に、弊社フォースバレー・コンシェルジュ株式会社が日本で働く外国籍社員を対象に実施したアンケート調査では、「入社前に、もっと日本の文化や社内の具体的な業務フローについて説明してほしかった」という声が多数寄せられました。

この結果は、事前ガイダンスが単なる法律上の「義務的支援」であるだけでなく、実際に働く外国人本人たちが強く求めている支援であることを示しています。企業側が「これくらいは知っているだろう」と考えていることでも、外国人にとっては初めて知る情報であるケースは少なくありません。
例えば給与から控除される税金や社会保険料の内訳、具体的な業務で使う日本語のレベル、職場のルール、地域のごみの出し方といった細かな情報まで事前に共有することで、入社後の「こんなはずではなかった」というミスマッチを防ぐことができます。
丁寧な事前ガイダンスは、外国人社員の安心感と企業への信頼感を醸成し、結果として定着率の向上、ひいては企業の持続的な成長へとつながる重要なプロセスなのです。
事前ガイダンスの具体的な実施方法
事前ガイダンスの実施方法については、対面またはテレビ電話(Zoom, Google Meetなど)などにより、 「外国人が内容を十分に理解できる方法」で実施すること が求められます。なお、文書の郵送や電子メールの送信のみによることは認められません。
一般的には、以下の方法が用いられます。
実施方法 | メリット | デメリット |
対面 | ・表情や反応を見ながら説明できる ・質疑応答がしやすい ・最も丁寧な方法 | ・担当者と外国人の双方が同じ場所にいる必要がある ・海外在住者には実施が困難 |
テレビ電話(Zoom, Google Meetなど) | ・遠隔地(海外)でも実施可能 ・画面共有で資料を見せながら説明できる ・顔が見えるため安心感がある | ・安定したインターネット環境が必要 ・時差への配慮が必要 |
電話 | ・手軽に実施できる | ・音声のみのため情報が伝わりにくい ・表情が分からず、理解度を確認しづらい |
現在では、海外在住の外国人を採用するケースが多いため、ZoomやGoogle Meetなどのテレビ電話システムを利用したオンラインでのガイダンス実施が主流となっています。
どの方法を選択するにしても、重要なのは一方的な説明で終わらせないことです。適宜、外国人の理解度を確認しながら、質疑応答の時間を十分に設け、双方向のコミュニケーションを心がけましょう。
事前ガイダンスの実施時期
事前ガイダンスは、「特定技能雇用契約を締結した後、在留資格認定証明書の交付申請前(または在留資格変更許可申請前)」に実施する必要があります。
順番を間違えると、在留資格申請が受理されない可能性があるため、必ずこのタイミングを守るようにしてください。
【特定技能外国人を雇用する際の全体スケジュール】
内定・特定技能雇用契約の締結
事前ガイダンスの実施
在留資格認定証明書交付申請(海外在住者の場合) or 在留資格変更許可申請(国内在住者の場合)
在留資格取得
入国・就労開始
事前ガイダンスの実施時間
事前ガイダンスの実施時間は、「3時間程度」が目安とされています。
ただし、これはあくまで最低ラインの時間です。説明すべき項目は多岐にわたり、質疑応答の時間も考慮すると、3時間を超えるケースも少なくありません。
最も大切なのは、時間数ありきではなく、外国人材本人が全ての項目について十分に理解し、納得できるまで丁寧に説明することです。本人の言語能力や理解度に合わせて、柔軟に時間を調整しましょう。
出典:出入国管理庁『1号特定技能外国人支援に関する運用要領』(2025年4月更新版)
【義務的支援】事前ガイダンス内容

ここからは、法令で定められている「義務的支援」としての事前ガイダンスで説明すべき8つの項目について、1つずつ詳しく解説します。
なお、これら「義務的支援」の項目は、必ず全て網羅しなければなりません。
業務内容と労働条件に関する説明
「業務内容と労働条件に関する説明」では、雇用契約書に記載されている内容を、改めて口頭で分かりやすく説明します。特に重要なのは以下の項目です。
具体的な業務内容
どのような仕事に、どのくらいの割合で従事するのかを具体的に説明します。(例:「レストランのホール業務として、お客様の案内、注文受け、配膳、片付け、レジ業務などを担当します」)
労働時間・休憩・休日
始業・終業時刻、休憩時間、年間休日数、シフト制の場合はそのルールなどを明確に伝えます。
休暇制度
年次有給休暇の付与日数や取得ルールについて説明します。
報酬(給与)
給与の額、支払日、支払方法(銀行振込など)を説明します。特に、税金(所得税・住民税)や社会保険料(健康保険・厚生年金)、雇用保険料などが給与から控除されることは、外国人にとって理解が難しい部分です。手取り額が総支給額と異なる理由を、具体的な金額を例示しながら丁寧に説明しましょう。
昇給・賞与・退職金
昇給・賞与・退職金に関する制度の有無や、制度が存在する場合の条件について説明します。
業務内容や労働条件に関する説明は、企業と外国人との間に認識の齟齬が生まれやすい部分ですので、専門用語を避け、できるだけ平易な言葉で丁寧に説明することがポイントです。
日本での活動範囲についての説明
特定技能の在留資格では、許可された業務範囲内でしか働くことができないことを明確に伝える必要があります。
例えば、「外食業」の特定技能資格で採用された場合、コンビニエンスストアでアルバイトをすることはできません。資格外活動許可を得れば一定の範囲で副業が可能になるケースもありますが、原則として認められた業務以外に従事すると不法就労となり、在留資格を取り消されるリスクがあることを説明し、理解を促します。
入国や在留資格変更の手続きに関する説明
外国人材が日本に入国し、就労を開始するまでには、さまざまな行政手続きが必要です。
海外から入国する場合
在留資格認定証明書の交付申請から、現地日本大使館・領事館でのビザ(査証)申請、日本への入国、在留カードの受領、役所での住民登録といった一連の流れを説明します。
国内で在留資格を変更する場合
在留資格変更許可申請の流れや、手続きに必要な書類(本人が準備すべきものなど)について説明します。
手続きの全体像と、本人が何をすべきかを具体的に伝えることで、外国人本人の不安を軽減してあげましょう。
保証金や違約金に関する禁止事項の説明
外国人材やその家族が、保証金の支払いや違約金を定める契約をさせられていないかを確認し、そのような契約が法律で禁止されていることを改めて説明します。
「仕事を紹介したから」という名目で金銭を要求する
「途中で会社を辞めたら罰金を支払う」という契約を結ばせる
上記のようなことは、悪質な仲介業者(ブローカー)との間で発生する可能性があります。もし、心当たりがある場合は、その契約が無効であること、支払う必要がないことを伝え、しかるべき機関に相談するよう促しましょう。
入社準備費用に関する確認事項
外国人が日本での就労・生活を開始するに当たり、さまざまな費用が発生します。これらの費用について、誰が何を負担するのかを事前に明確にしておくことで、金銭的なトラブルを防ぎます。
渡航費用
日本へ来るための航空券代を、企業が負担するのか、本人が負担するのかを明確に伝えます。(企業負担が望ましいとされています)
住居の初期費用
敷金、礼金、仲介手数料、家賃保証料などの初期費用について、誰が負担するのかを説明します。
その他の費用
健康診断費用や、国内での移動交通費など、発生しうる費用についても負担区分を明らかにしておきます。なお、企業が費用を貸し付ける場合は、その返済方法や条件についても誤解のないように説明が必要です。
支援費用の負担についての説明
特定技能外国人に対する支援(義務的支援・任意的支援)にかかる費用を、外国人本人に直接的または間接的に負担させることは認められていません。
例えば、「支援手数料」といった名目で給与から天引きしたり、住居費や食費に支援費用を上乗せして請求したりすることは違法です。支援は全て受け入れ企業の責任と費用負担で行われることを明確に伝え、外国人が不当な費用請求を受けないようにしましょう。
入国時の送迎に関するサポート説明
海外から来日する外国人にとって、空港に到着してから居住地まで移動することは大きな不安要素です。そのため、受け入れ企業(または登録支援機関)には、入国する空港から事業所または住居まで送迎を行う義務があります。
どの空港の、どの出口で、誰が待っているのか
プラカードなど目印になるものは何か
緊急時の連絡先はどこか
といった具体的な情報を事前ガイダンスで伝え、外国人が安心して日本に到着できるようサポートすることを約束しましょう。
相談や苦情の申し出方法の説明
職場の人間関係や労働条件、生活上の悩みなど、何か困ったことがあった場合に誰に相談すれば良いのかを、以下を参考に具体的に伝えましょう。
相談担当者の氏名、役職、連絡先(電話番号、メールアドレスなど)
対応可能な曜日や時間帯
母国語での相談が可能かどうか
また、社内の相談窓口だけでなく、地方出入国在留管理局や労働基準監督署、ハローワークといった公的な相談機関の連絡先も併せて情報提供することが求められます。
出典:出入国管理庁『1号特定技能外国人支援に関する運用要領』(2025年4月更新版)
【任意的支援】事前ガイダンス内容

ここからは、法律上の義務ではありませんが、実施することで外国人材の満足度や定着率をさらに高めることができる「任意的支援」の内容を解説していきます。
日本の気候と服装に関する説明
母国の気候と日本の気候が大きく異なる場合、どのような服装を準備すれば良いか分からない外国人材は少なくありません。そのため、以下のような情報を伝達すると良いでしょう。
四季の変化:日本の春・夏・秋・冬それぞれの気候の特徴(気温、湿度など)
地域の気候:配属される地域(例:雪の多い北海道と温暖な沖縄)の気候特性を具体的に説明
服装のアドバイス:「冬は厚手のコートやセーター、マフラーが必要です」「梅雨の時期は折りたたみ傘があると便利です」など、具体的なアイテムを挙げる
勤務中の服装:制服の有無や、オフィスカジュアルの具体的な例(写真を見せるなど)
日本への持参品に関する説明
日本での生活に必要なものを、母国から持参すべきか、日本で購入できるかを伝えることで、荷造りの負担を軽減できます。
持参した方が良いもの
常備薬(母国で使い慣れたもの)
当面の生活費(日本円)
証明写真(各種手続きで必要になる場合がある)
印鑑(銀行口座開設などで必要になる場合があるが、カタカナ名のものなどは日本でも作成可能と伝える)
変換プラグや変圧器(母国の電化製品を使いたい場合)
日本で購入できるもの
衣類、日用品、調理器具など、ほとんどの生活必需品は日本で手に入ることを伝えましょう。
また、100円ショップやドラッグストア、スーパーマーケットなど、安価に購入できる店の情報を教えてあげると親切です。
来日当初に必要な費用に関する説明
来日してから最初の給料が支払われるまでの期間、生活していくためにどのくらいの費用が必要になるかの目安を伝えます。
家賃、敷金、礼金
光熱費、通信費
食費
交通費
その他雑費
具体的な金額の目安を示すことで、本人が事前に資金を準備しやすくなります。給与の前払いや貸付制度がある場合は、その旨も伝えると良いでしょう。
受け入れ機関からの支給品に関する説明
会社として、生活のために支給するものがあれば、そのリストを伝えます。
作業着、安全靴
寝具(布団、ベッド)
調理器具、食器
家電(冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなど)
何が支給され、何を自分で準備する必要があるのかを明確にすることで、外国人本人の負担を軽減し、スムーズな新生活のスタートをサポートできます。
出典:出入国管理庁『1号特定技能外国人支援に関する運用要領』(2025年4月更新版)
事前ガイダンス実施上の注意点
事前ガイダンスを効果的に行うためには、いくつか注意すべき点があります。ここでは特に重要な2つのポイントについて解説します。
外国人が理解できる言語での説明
事前ガイダンスの最も重要な原則は、「外国人材本人が十分に理解できる言語」で実施することです。たとえ、説明を受ける外国人がある程度の日本語能力(例:日本語能力試験N4レベル)を持っていたとしても、雇用契約や行政手続きに関する専門的な内容を正確に理解するのは非常に困難です。
そのため、以下のような配慮が求められます。
通訳者の同席
母国語の通訳者を介して説明するのが最も確実です。社内に対応できる人材がいない場合は、外部の通訳サービスを利用します。
翻訳資料の活用
説明する内容を事前に母国語へ翻訳した資料を準備し、手元で見てもらいながら説明を進めるのも効果的です。
平易な言葉の使用
専門用語や曖昧な表現は避け、「やさしい日本語」を使うことを心がけましょう。
双方向のコミュニケーション
一方的に説明するだけでなく、「ここまでで何か質問はありますか?」「この部分の意味は分かりますか?」など、随時理解度を確認しながら進めることが大切です。
海外からの入国者と国内在住者への説明の違い
事前ガイダンスの内容は、対象となる外国人が海外にいるのか、既に日本に在住しているのかによって、以下のように重点を置くべきポイントが異なります。
対象者 | 説明のポイント |
海外からの入国者 | ・入国手続きや来日準備に関する説明を重点的に行う。 ・日本の生活習慣や文化、気候など、日本での生活に関する基礎的な情報提供(任意的支援)が特に重要になる。 ・空港での出迎えや住居への送迎について、詳細に説明し不安を取り除く。 |
国内在住者(留学生、技能実習生など) | ・在留資格の変更手続きに関する説明が中心となる。 ・既に日本での生活経験があるため、基本的な生活情報の重複は避け、本人の理解度を確認しながら進める。 ・これまでと異なる税金や社会保険のルール、アルバイトとの違い(就労時間の制限など)について丁寧に説明する。 |
このように、対象者の状況に合わせて説明内容を柔軟に調整することで、より相手のニーズに合った、効果的な事前ガイダンスを実施することができるでしょう。
出典:出入国管理庁『1号特定技能外国人支援に関する運用要領』(2025年4月更新版)
まとめ:事前ガイダンスは外国人採用の重要なプロセス
事前ガイダンスは、単に法律で定められた義務をこなすための手続きではありません。外国人材が抱える不安を解消し、企業との間に信頼関係を築くための最初のコミュニケーションであり、入社後の定着と活躍を左右する極めて重要なプロセスです。
一つひとつの項目を丁寧に、そして本人が理解できる言葉で伝えることで、「この会社なら安心して働ける」と感じてもらうことが、外国人採用成功への第一歩といえるでしょう。
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