マレーシア人の文化・特徴・国民性は?在日マレーシア人の推移や日本とのマナーの違いも解説
- numabukuro4649
- 2 日前
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マレーシアは多民族国家であり、マレー系・中華系・インド系を中心とした人々が共存しながら、それぞれの文化や宗教を尊重しています。イスラム教を国教とする一方で、仏教・キリスト教・ヒンドゥー教なども広く信仰されており、多様性に富んだ国民性が特徴です。
この記事では、マレーシア人の文化や国民性、宗教事情について詳しく解説しています。生活や食事の観点における日本とのマナーの違いや、在日マレーシア人の推移もまとめました。
海外人材としてマレーシア人の採用を検討している人事・採用担当者の方は、現地の文化理解にぜひお役立てください。
目次
8.まとめ
1.マレーシアの基本情報|人口・平均年齢・公用語は?

国名 | マレーシア(Malaysia) |
首都 | クアラルンプール ※行政上の首都はプトラジャヤ |
面積 | 約33万平方km |
人口 | 約3,410万人 |
公用語 | マレー語(Bahasa Melayu) |
民族 | マレー系、中華系、インド系 |
宗教 | イスラム教:約63.5% 仏教:約18.7% キリスト教:約9.1% ヒンドゥー教:約6.1% その他:約0.9% |
平均年齢(年齢中央値) | 30.9歳(2024年時点) |
主要な祝日 | ・独立記念日 ・マレーシア・デー ・ムハンマド生誕祭 |
出典:マレーシア統計局『Current Population Estimates, Malaysia, 2024』(2024年7月31日発表)
マレーシアは、東南アジアの中心に位置している国です。マレー半島南部とボルネオ島北部の一部から成り立っています。1957年にマラヤ連邦として独立し、マラヤ・北ボルネオ・サラワク・シンガポールが合併する形で、1963年9月16日に誕生しました。
まずはマレーシアの地理や気候、人口や民族などの基本情報から見ていきましょう。
地理はマラッカ海峡に隣接している
マレーシアは、南シナ海を挟んで東西に分かれている国です。首都のクアラルンプールがあるマレー半島南部は「西マレーシア」、ボルネオ島(カリマンタン島)の北部は「東マレーシア」と呼ばれています。
タイから延びるマレー半島は、マラッカ海峡に隣接しています。マラッカは、世界中から多くの観光客が訪れる随一の観光スポットです。東マレーシアのボルネオ島は、美しいビーチや海などの自然が残っています。
気候は熱帯雨林気候に属している

マレーシアは赤道に近い場所に位置しているため、1年を通して常夏の気候です。高温多湿で雨が多い、熱帯雨林気候に属しています。年間の平均気温は、マレーシア首都のクアラルンプールで27℃~28℃程度です。
マレーシアには明確な乾季はないものの、地域によって降水量の多い時期が異なります。
東海岸(マレー半島東部やボルネオ島)は11月〜3月にかけて北東モンスーンの影響で雨が多くなる一方、西海岸(クアラルンプールなど)は5〜9月が比較的乾季で、4〜5月と10〜11月に雨が多くなる傾向があります。
ただし、日本の梅雨のように1日中雨が降り続くわけではなく、スコールのように短時間で激しく降ることが一般的です。
人口は2024年時点で3,410万人、多民族が共存する国家
マレーシア統計局(DOSM)によると、2024年の総人口は約3,410万人と推定されています。 このうち、マレーシア国籍の人口は約3,070万人で全体の90.0%を占め、前年の91.1%から減少しました。一方、外国人の割合は10.0%に増加しています。
マレーシアは多民族国家であり、主な民族構成は以下の通りです。
マレーシアの民族 | 割合 |
ブミプトラ(マレー系および先住民族) | 70.4% |
中華系 | 22.4% |
インド系 | 6.5% |
その他 | 0.7% |
ブミプトラには、マレー半島に居住するマレー人のほか、サバ州のカダザン族やバジャウ族、サラワク州のイバン族やビダユ族などの先住民族が含まれます。
公用語はマレー語(Bahasa Melayu)
マレーシアの公用語は、マレー語(Bahasa Melayu)です。現在はローマ字(Rumi)による表記が主流ですが、伝統的にはアラビア文字由来のジャウィ文字(Jawi)も用いられてきました。ジャウィは、特にイスラム関連文書や一部のマレー語教育機関などで現在も使用されています。
また、多民族国家であるマレーシアでは、中国語(主に北京語や広東語)、タミル語、英語も日常的に使われており、国際色豊かな言語環境です。特にビジネスシーンでは、英語が共通語として広く用いられています。
食文化はバラエティに富んでいる

マレーシアは多民族国家であり、マレー系、中華系、インド系、先住民族などが共存しています。 それぞれの民族が独自の食文化を持ち寄り、マレーシアの食生活は多様性に富んでいます。
ここでは、マレーシアの4大グルメと代表的な料理をご紹介します。
マレー料理:ココナッツミルクや唐辛子、ターメリックを使った料理など
中華料理:バクテーやチキンライス、麺料理(パンミー・チャークイテオ)など
インド料理:バナナリーフカレーやタンドリーチキン、トーサイなど
ニョニャ料理:ココナッツミルクやハーブに多数の中国食材を使った料理など
さらに、マレーシアでは宗教による食習慣も食文化に大きな影響を与えています。マレーシアのイスラム教徒は、イスラム法に則ったハラルフードを食べることが基本とされています。 そのため、レストランや食品にはハラル認証が表示されており、観光客にとっても安心して食事を楽しむことができます。
主要な祝日、独立記念日について

マレーシアの主要な祝日は、毎年8月31日の独立記念日(Hari Merdeka)です。1957年の8月31日に、マレーシア前身のマラヤ連邦が長きに渡るイギリスの植民地支配から離脱し、主権国家として独立を宣言しました。
その日を記念して、制定された祝日が独立記念日です。当日は大規模なパレードや花火、記念イベントなど、マレーシア全体で愛国ムードに包まれます。
2.マレーシア人の特徴|性格や価値観、国民性は?

ここでは、マレーシア人に共通することの多い4つの特徴について解説していきます。
(1)多民族国家のため、異なる文化への適応性が高い傾向がある
(2)民族によって性格や国民性に違いが見られる
(3)年間を通じて「常夏」で、開放的で大らかな人が多い
(4)役職主義が浸透しており、上下関係がはっきりしている
マレーシア人の性格や価値観、国民性について詳しく見ていきましょう。
(1)多民族国家のため、異なる文化への適応性が高い傾向がある
マレーシアは、マレー系・中華系・インド系を中心にさまざまな民族が暮らす多民族国家です。このような背景によって、異文化への適応性が高い傾向があります。
他者の価値観や宗教を尊重し合っているため、共生することに慣れています。マレーシアは、まさに多様性を体現した国だといえるでしょう。
(2)民族によって性格や国民性に違いが見られる
マレーシア人は、民族や住んでいる地域によって性格・国民性に違いが見られます。以下では、マレー系・中華系・インド系それぞれの特徴をまとめました。
もちろん、全てのマレーシア人に当てはまるわけではありません。あくまでも傾向として認識しておきましょう。
マレー系
マレー系は、マレーシアの人口の約70%(先住民12%を含む)を占める主要民族です。多くの人がイスラム教を信仰しているため、教えに基づいて礼儀や謙虚さを持つ人が多いとされています。
家族間でのつながりや絆が強く、集団での調和を優先する人も少なくありません。家族だけではなく、親戚を含めた付き合いも多いといわれています。
中華系
中華系は、マレーシアの人口の約23%を占めている民族です。中国南部からの移民が多く、儒教・道教・仏教などさまざまな宗教による影響を受けた文化背景を持ちます。
中華系のマレーシア人は積極的に経済活動と関わっており、礼儀正しい人や勤勉な人が多い傾向にあります。責任感の強い人も多いため、ビジネスにおいて大きな力を発揮するでしょう。
インド系
インド系は、マレーシアの人口の約7%を占めている民族です。主に南インドからの移民で構成されており、多くの人が日常的にタミル語を話しています。
インド系のマレーシア人は、ヒンドゥー教の教えが根付いているのが特徴です。家族とのつながりや宗教の行事を大切にしている傾向があります。
また、社交的な人が多く、人とのコミュニケーションを大切にする価値観が強いとされています。
(3)年間を通じて「常夏」で、開放的で大らかな人が多い
マレーシアは平均気温が27℃~28℃程度で、年中常夏の国です。このような気候の影響によって、「開放的」「大らか」など、南国気質の人が多いといわれています。
全体的にのんびりとした文化が根付いており、物事に対して柔軟に考える人が多いようです。
(4)役職主義が浸透しており、上下関係がはっきりしている
マレーシアの職場では、役職主義が浸透している傾向があります。そのため、日本よりも階層意識が強く、上下関係がはっきりとしているようです。
年功序列の考え方は少なく、年齢が下の相手でも役職が上なら気を遣うことが多いとされています。また、自分の面子を大切にする傾向があるため、マレーシア人のスタッフに何か注意や指摘をする際は、なるべく個別で伝えるように配慮しましょう。
3.マレーシアの歴史・文化

マレーシアの歴史は、1402年に遡ります。スマトラ島(現インドネシア)の王族であるパラメスワラ王子が新天地を求めて、マレー半島南部にマラッカ王国を建国しました。
その後、1511年の大航海時代にポルトガルの植民地、1641年にオランダの植民地になり、経済支配を強めていきます。1941年の太平洋戦争では、日本軍が進攻してマレーシアを占領しました。日本による占領を経て、1957年8月31日にマラヤ連邦としてイギリスから独立し、主権国家となりました。
1965年8月9日、シンガポールはマレーシアから分離し、独立国家となりました。19世紀から20世紀初頭にかけて、多くの中華系やインド系の移民がマラヤに渡ってきました。現在のマレーシアには、マレー系、中華系、インド系など複数の民族が共存し、多彩な文化を形成しています。
マレーシアではさまざまな宗教の祭りや儀式が行われており、イスラム教のラマダンやヒンドゥー教のディワリ、キリスト教のクリスマスなどが代表的です。
4.マレーシア人の宗教事情

ここでは、マレーシア人の宗教事情について解説していきます。
(1)イスラム教を国教(連邦の宗教)と定めている
(2)仏教やキリスト教、ヒンドゥー教を信仰している人もいる
(3)多民族性のため、宗教に関する行事が多い
外国人と一緒に仕事をするに当たって、その国の宗教文化を知ることは大切です。マレーシア人がどのような宗教を信仰しているのか、詳しく見ていきましょう。
(1)イスラム教を国教(連邦の宗教)と定めている
マレーシアでは、イスラム教が国教(連邦の宗教)と定められています。マレーシアに住む人口の半数以上がイスラム教徒です。
イスラム化が進んだ背景には、14世紀末に東西貿易の拠点だったマラッカ王国が関わっています。アラブやインドの商人によって、マラッカ王国にイスラムの影響が広がっていきました。イスラム教徒には、以下のような教義や習慣があります。
お酒や豚肉はタブーとされている
左手は不浄とされることが多い
人差し指で人を指すのは失礼とされている
日没から夕方にかけて祈りの時間が始まる
食事に関して、お酒と豚肉はイスラム教徒にとって禁忌であるため、食事の際にはハラルフード(食べることが許された食品や料理)を選択しています。
(2)仏教やキリスト教、ヒンドゥー教を信仰している人もいる
マレーシアには、イスラム教徒以外にもさまざまな宗教を信仰している人がいます。マレーシアの2023年国際宗教自由報告書によると、宗教人口の統計は以下の通りです。
宗教 | 割合 |
イスラム教 | 63.5% |
仏教 | 18.7% |
キリスト教 | 9.1% |
ヒンドゥー教 | 6.1% |
無神論者 | 1.8% |
その他(アニミズム・儒教・道教・シク教・バハイ教など) | 0.9% |
統計データを見てみると、仏教やキリスト教、ヒンドゥー教を信仰している人も多いことが分かります。各宗教の人口構成は、マレー系民族はイスラム教徒、中華系民族は仏教徒、インド系民族はヒンドゥー教徒が多い傾向があります。
(3)多民族性のため、宗教に関する行事が多い
多民族性のマレーシアでは、宗教に関する行事が多いのが特徴です。イスラム教・ヒンドゥー教・仏教などの宗教行事が、祝日として定められています。
マレーシアで行われている、宗教に関する行事の具体例が以下の通りです
アワルムハラム(イスラム教):イスラム暦の新年でマレー系のお正月に当たる日
ヌズルコーラン(イスラム教):断食の月(ラマダン)の17日目に当たる日
ウェサックデー(仏教):お釈迦様の生誕を祝う宗教行事
タイプーサム(ヒンドゥー教):ムルガン神をたたえる祭典
各民族や宗教ならではの多彩な行事が、1年を通して開催されています。
5.マレーシアと日本のマナーの違い

海外と日本とでは、マナーや風習に違いが見られます。以下では、マレーシアと日本のマナーの違いを、生活と食事の観点からまとめました。
生活に関するマナーの違い
マレーシアと日本とでは、握手に関するマナーが異なります。マレーシアにはイスラム教徒やヒンドゥー教徒が多く、左手は不浄との考え方があります。そのため、誰かと握手をする際は右手を使うようにしましょう。
また、マレーシアには日本とは違い、和式トイレと洋式トイレの他に水洗い式トイレが存在します。水洗い式トイレの壁にはホースが設置されており、紙を使うのではなくシャワーの水でお尻を洗ってキレイにしなければなりません。ただし、空港やホテルに設置されているトイレは、水洗い式ではない場合があります。
食事に関するマナーの違い
マレーシアでは、マレー料理・中華料理・インド料理・ニョニャ料理など、さまざまな料理が食べられています。しかし、イスラム教では左手が不浄とされていることが多いため、右手で箸などを使って食べるのが基本的なマナーです。
食事で箸を使う際は、左手の使用を避けるのが望ましいとされています。また、マレーシアの伝統的な食事の方法では右手を使いますが、現在のホテルやレストランではナイフやフォークが提供されていることがあります。
6.マレーシア人から見た日本人の印象

マレーシアは、親日国として知られています。マハティール前首相は、1981年に日本や韓国の経済発展モデルを参考にするルックイースト政策を提唱し、翌年の1982年2月8日に公式発表されました。その影響によって、マレーシアは日本を見習って発展してきた経緯があります。
以下では、マレーシア人が日本に対してどのようなイメージを持っているのか、外務省の世論調査のデータをまとめました。
日本に抱いているイメージ | 割合(複数回答可) |
戦後一貫して平和国家の道を歩んできた国 | 34% |
豊かな伝統と文化を持つ国 | 55% |
経済力、技術力の高い国 | 64% |
世界水準の高い国 | 50% |
自由・民主主義といった価値観を有する国 | 28% |
国際社会においてリーダーシップを有する国 | 24% |
アニメ、ファッション、料理など新しい文化を発信する国 | 43% |
自然の美しい国 | 45% |
「豊かな伝統を持つ」「技術力が高い」など、好意的なイメージを抱いていることが分かります。また、マレーシアと日本との関係性について、「とても友好関係にある」「どちらかというと友好関係にある」と回答した人は、全体の88%でした。日本の文化やアニメの影響によって、日本に憧れるマレーシア人も多いとされています。
7.マレーシア人は日本にどれくらい在留している?
ここでは、どれくらいのマレーシア人が日本に在留しているのか解説していきます。在日マレーシア人、技術・人文知識・国際業務の在留人数、新規入国者数の項目で、それぞれの推移を見ていきましょう。
在日マレーシア人の推移【横ばいで推移している】
在日マレーシア人の推移のグラフは、以下の通りです。
2020年から2024年にかけて、在日マレーシア人はほぼ横ばいで推移していることが分かります。2020年12月は1万318人、2021年6月は9,587人、2021年12月は9,659人と少し落ち込みました。
しかし、2023年6月時点で1万1,256人、2023年12月時点で1万1,471人、2024年6月時点で1万1,776人と少しずつですが上昇傾向にあります。
技術・人文知識・国際業務の在留人数の推移【上昇傾向にある】
在留資格の技術・人文知識・国際業務として、日本に在留しているマレーシア人の人数の推移は以下の通りです。
2020年の12月時点で、技人国の在留人数は2,119人でした。しかし、2023年6月時点で2,536人、2023年12月時点で2,565人、2024年6月時点で2,712人と少しずつ上昇していることが分かります。
マレーシア人の新規入国者数の推移【2023年以降に増加している】
2020年から2024年にかけてのマレーシア人の新規入国者数は、以下の通りです。
新規入国者数とは、日本への入国時に在留資格を受けて上陸を許可された人の人数を指します。
2020年から2022年にかけてのマレーシア人の新規入国者数が少ないのは、新型コロナウイルスによる影響です。しかし、2023年は40万5,925人、2024年は49万2,086人と大幅に増加していることが分かります。
8.まとめ
多民族国家であるマレーシアは、多文化・多宗教が共存している国です。マレー系が最も多く、次いで中華系やインド系の民族で構成されています。
民族によって性格や国民性に多少の違いが見られますが、異なる文化や価値観を尊重し合っている人が多いです。宗教の観点で見てみると、イスラム教・仏教・キリスト教・ヒンドゥー教など、さまざまな宗教が信仰されています。
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