パキスタン人の文化・特徴・国民性は?在日パキスタン人の推移や日本とのマナーの違いも解説
- numabukuro4649
- 7月8日
- 読了時間: 14分

パキスタンは、イスラム教の影響を強く受けている南アジアの国です。多様な民族が住んでおり、それぞれ独自の文化や伝統を育んでいます。
この記事では、パキスタン人の文化や特徴、性格や国民性について詳しくまとめました。日本とのマナーの違いや、在日パキスタン人の推移もご紹介しています。
パキスタン人の文化や日本人との価値観の違いを知り、企業での採用や職場でのコミュニケーションにお役立てください。
目次
8.まとめ
1.パキスタンの基本情報|人口・平均年齢・公用語は?

国名 | パキスタン・イスラム共和国 (Islamic Republic of Pakistan) |
首都 | イスラマバード |
面積 | 約79.6万平方km(カシミール地域を除く) |
人口 | 約2億4,149万人(PBSのデータに基づく) |
公用語 | ウルドゥー語(国語)、英語 |
民族 | パンジャーブ人、パシュトゥーン人、シンド人、バローチ人など |
宗教 | イスラム教(国教) |
平均年齢 | 中央値:約22.9歳 |
主要な祝日 | ・イード・アル=アドハー ・イード・アル=フィトル ・独立記念日 |
パキスタンは南アジアに位置している国で、正式名称は「パキスタン・イスラム共和国」です。日本とは外交や経済協力など、さまざまな分野で良好な関係を築いています。
まずはパキスタンの地理や人口、公用語などの基本情報から見ていきましょう。
地理はインド・アフガニスタン・イラン・中国と隣接している
パキスタンは、南アジアの北西部に位置している国です。東にインド、西にアフガニスタン、南西にイラン、北東に中国と、4つの国と隣接しています。南側には、美しいビーチが人気のアラビア海を望む湾岸線が広がっているのが特徴です。
パキスタンの国土は、以下4つの州と1つの連邦直轄地域に分けられます。
シンド州
パンジャーブ州
バロチスタン州
カイバル・パクトゥンクワ州(旧・北西辺境州)
北部地区(アザド・カシミールやギルギット・バルティスタン)
国土面積は約79.6万平方km(カシミール地域を除く)で、日本の約2倍の大きさです。
気候は地域によって異なる
パキスタン全体の気候は乾燥帯と温帯にまたがりますが、地域によって温帯夏雨気候・ステップ気候・砂漠気候の3つに分けられます。北部は寒暖差がある気候、南部は比較的温暖な気候、中部は夏場の気温が高い気候なのが特徴です。
4月から6月にかけての気候は過酷で、40℃を超える酷暑が続きます。12月から1月にかけては20℃程度と過ごしやすいのですが、夜間は0℃近くまで冷え込む寒暖の激しい季節です。
人口は約2億4,149万人、多民族が暮らしている
パキスタン統計局(PBS)によると、2023年時点で人口は約2億4,149万人と報告されています。代表的な都市や州の人口は、以下の通りです。
都市 | 人口 |
パンジャーブ州(パキスタン) | 約1億2,768万人 |
シンド州 | 約5,569万人 |
カイバル・パクトゥンクワ州 | 約4,085万人 |
バロチスタン州 | 約1,489万人 |
イスラマバード | 約236万人 |
また、パキスタンは多民族国家で、主要な民族としてパンジャーブ人、パシュトゥーン人、シンド人、バローチ人などが挙(あ)げられます。これらの民族の多くはイスラム教を信仰しているのが特徴です。
公用語はウルドゥー語(国語)と英語
パキスタンでは、ウルドゥー語が国語(National Language)、英語が公用語(Official Language)と定められています。ウルドゥー語は南アジアのムスリムの間で多く話されており、インドの公用語の1つです。
パキスタン全土で通じるのですが、ウルドゥー語を母語とするパキスタン人はあまりいません。日常生活や教育などの場面では、英語やその他の70~80種類の言語が使用されています。
食文化はさまざまな国の影響を受けている
パキスタンの食文化は、インドやペルシャ、中央アジアなどさまざまな国の影響を受けているのが特徴です。東部は味付けが濃く、北部や西部は比較的マイルドな傾向があります。
代表的なパキスタン料理は、以下の通りです。
シンディ・ビリヤニ:肉類や魚類、各種スパイスを使った炊き込みご飯
パキスタンチキンカレー:ヨーグルトや玉ねぎをベースにしたカレー
ニハリ:牛や羊の肉を長時間かけて煮込んだシチュー
多くのパキスタン人はイスラム教を信仰しているため、ハラールの肉のみを料理で使います。
主要な祝日、イード・アル=アドハーとイード・アル=フィトルについて
パキスタンの主要な祝日のひとつとして、イード・アル=アドハーが代表的です。イード・アル=アドハーは「犠牲の祭り」とも呼ばれており、アッラー(神)への深い献身を祝います。
牛や羊などの動物の肉を家族や貧しい人々と分かち合い、神に感謝の気持ちを伝えるイスラム教徒の二大祭日です。パキスタンでは、ムスリムの巡礼月の10日に通常3日間(延長されることもある)行われます。
また、イード・アル=フィトルもパキスタンの大きなお祭りです。「イード」は祝宴、「フィトル」は断食明けを意味します。
断食月のラマダンは、イスラム教徒にとって重要な期間です。イード・アル=フィトルは、ラマダンが終わったことを盛大に祝う行事で、イスラム暦のシャウワール月(第10月)の初日に行われます。
2.パキスタン人の5つの特徴|性格や価値観、国民性は?

ここでは、パキスタン人に共通することの多い5つの特徴を解説していきます。
(1)経済協力や文化交流による影響で日本に親しみを持っている人が多い
(2)家族や友人との絆を大事にする文化を持っている
(3)イスラム文化の影響で、おもてなしの心を持っている人が多い
(4)時間に対して柔軟に対応する傾向がある
パキスタン人の性格や価値観、国民性について詳しく見ていきましょう。
(1)経済協力や文化交流による影響で日本に親しみを持っている人が多い
日本とパキスタンは、古くから友好関係を築いてきました。貿易と投資の促進を目的とした経済協力協定や、両国の文化の交流を図る学生交流プログラムなどが代表的です。
その影響によって、日本に親しみを持っているパキスタン人が多いとされています。日本貿易振興機構(ジェトロ)がパキスタン・日本ビジネスフォーラム(PJBF)事務局長に実施したインタビューでは、「パキスタン人の対日感情は概ね良好」とのことでした。
パキスタンにおいて、日本文化への関心が高まっています。
(2)家族や友人との絆を大事にする文化を持っている
パキスタンでは、家族や友人との絆を大事にする文化があります。この点に関しては、インドやベトナムなど他のアジア諸国と同様です。
家族が豊かな生活を送れるように、海外へ出稼ぎに行く人も少なくありません。海外労働者からの送金は、パキスタンの国内経済にも重要な役割を果たしています。
(3)イスラム文化の影響で、おもてなしの心を持っている人が多い
多くのパキスタン人は、イスラム教を信仰しています。イスラム文化の影響により、おもてなしの心(ホスピタリティ)を持っている人が多いとされています。
初対面の相手に対して、気さくに話しかける人も少なくありません。来客や訪問者など、もてなす相手をまるで家族のように迎え入れてくれることもあります。
(4)時間に対して柔軟に対応する傾向がある
パキスタン人は、日本人と比べると時間に対する感覚がやや柔軟な傾向があります。家族や友人との約束の時間に、少し遅れて到着することも珍しくありません。
これは時間を厳密に守ることよりも、状況に応じた柔軟な対応を重視する文化的背景によるものです。
3.パキスタンの歴史・文化

パキスタンの歴史は、紀元前2600年から1800年くらいに遡ります。インドやパキスタン南部に、インダス文明が興りました。その後は紀元前1世紀から5世紀頃にかけてガンダーラ文明が栄え、仏教とギリシア文化が融合する独自の文化が生まれます。中世以降はイスラム王朝が相次いで進攻し、1526年にはムガール帝国が成立しました。
現在のパキスタンは、かつてはインドの一部のパンジャーブ地方とシンド地方のインダス川流域を中心とする地域から成り立っています。イスラム王朝の影響によってイスラム教徒が増え始め、国民の大多数が信仰するようになりました。
1947年8月14日に、パキスタンはインドから分離独立します。1956年になると、「パキスタン=イスラーム共和国」として憲法を制定しました。
こういった歴史を持つパキスタンは、イスラム教の影響を強く受けた文化が特徴的です。イスラム教の教えは、現代においても人々の日常生活や価値観と深く結びついています。
4.パキスタン人の宗教事情

ここでは、パキスタン人の宗教事情について解説していきます。
(1)約96.47%の国民がイスラム教を信仰している
(2)イスラム教に由来する祝日が多い
(3)ヒンドゥー教やキリスト教を信仰している人もいる
パキスタン人の日常生活や文化において、宗教がどのように関わっているのか見ていきましょう。
(1)約96.47%の国民がイスラム教を信仰している
パキスタン人の宗教割合は、以下の表の通りです。
宗教 | 割合 |
イスラム教 | 約96.47% |
キリスト教 | 約1.90% |
ヒンドゥー教 | 約1.32% |
2020年に実施された調査の時点で、約96.47%の国民がイスラム教を信仰しています。イスラム教徒を細かく分類すると、スンニ派が84.10%、シーア派が9.55%、その他の宗派(分離主義的立場を含む)が2.82%です。
歴史の項目で解説した通り、パキスタンは元々英領インドの一部でした。イスラム教徒とヒンドゥー教徒の宗教的対立で分離独立した経緯があるため、多くの国民がムスリムです。
イスラム教は、唯一神アッラーへの信仰が根幹にあります。信じるべき6つの事柄と、実践すべき5つの義務を指す六信五行の遵守が大切です。
また、パキスタンでは世界第2位のイスラム教徒人口を抱えているため、他のイスラム諸国との連携を重要視しています。
(2)イスラム教に由来する祝日が多い
多くのパキスタン人はムスリムのため、以下のようにイスラム教に由来する祝日がたくさんあります。
イード・アル=アドハー:動物を家族や貧しい人々と分かち合う犠牲祭
イード・アル=フィトル:ラマダーン(月の断食)明けを祝う祝日
預言者ムハンマド生誕祭:イスラム教の開祖を祝う祝日
これらの祝日は、イスラム太陰暦(ヒジュラ暦)によって決まります。そのため、毎年日付が異なるのが特徴です。
(3)ヒンドゥー教やキリスト教を信仰している人もいる
パキスタンではイスラム教を国教として定めていますが、個人の信教の自由は原則として保障されています。そのため、ヒンドゥー教やキリスト教を信仰している人も少なくありません。
ただし、宗教に関連する発言の権利は制限されているのが現状です。例えば、預言者ムハンマドを冒涜する行為など、さまざまな要因で処罰の対象になります。
5.パキスタンと日本のマナーの違い

パキスタンと日本とでは、マナーに違いが見られます。以下では、生活面や食事面でどのような違いがあるのかまとめました。
生活の観点における違い
パキスタン人の生活には、古くからイスラム教が根付いています。イスラム教では、原則的に男女間の婚前交際や性的関係が禁じられており、恋愛よりも結婚を重視するのが一般的です。
そのため、家族や親戚による紹介など、お見合い結婚が一般的とされています。お見合い結婚の場合は男女共に配偶者を選ぶ権利があり、不平等はありません。
また、パキスタンでは法律で一夫多妻制が認められており、日本とは家族制度が異なります。
食事の観点における違い
パキスタンでは、以下のようにイスラムの教えによる食事のマナーやタブーが存在します。
豚肉を食べてはならない(ハラール食品を食べる)
料理は右手を使って食べる(左手は不浄とされている)
都市部のホテルやレストランでは、ナイフやフォークが用意されています。しかし、現地の人々は右手で食べ物を食べる伝統的なスタイルが一般的です。
また、豚肉だけではなく、豚由来の成分が含まれている食品もイスラム法によって原則的に禁止されています。
6.パキスタン人から見た日本人の印象

パキスタン人は、日本に親近感を覚える人が多い傾向があります。日本に好意的な印象を持っているパキスタン人は多く、「優しく接してくれる」「誠実」「嘘をつかない」などのイメージがあるようです。
また、日本の文化に興味を持つ人も少なくありません。日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査によると、パキスタン国内で日本料理が人気コンテンツとして取り上げられる機会が増えているとのことです。
こうした文化的関心や親日感情は、パキスタン人が日本での就労を希望する理由のひとつだといえるでしょう。
7.パキスタン人は日本にどれくらい在留している?
ここでは、パキスタン人が日本にどれくらい在留しているのかご紹介します。「在日パキスタン人」「技術・人文知識・国際業務」「新規入国者数」と、それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。
在日パキスタン人の推移【年々増加傾向にある】
在日パキスタン人の推移は、以下のグラフの通りです。
2015年末時点では、1万2,708人でした。しかし、2022年末は2万2,118人、2023年末は2万5,334人、2024年末は2万9,647人と年々増加傾向にあります。在日パキスタン人が増えているのは、現地の経済的な理由や日本の人手不足などさまざまです。
技術・人文知識・国際業務の在留人数の推移【今後増えると予想される】
技術・人文知識・国際業務におけるパキスタン人の在留人数推移は、以下の通りです。
技人国の在留人数は、2023年末で4,653人、2024年末で5,987人です。日本企業における外国人専門人材へのニーズ増加が背景にあり、今後も増加傾向が続くと見られます。
その理由は、日本企業が高度な専門知識を持つ外国人を求めるニーズが高まっているからです。この点に関しては、パキスタン人以外の外国人材にも当てはまります。在留資格の技術・人文知識・国際業務の詳細は、以下の記事をご覧ください。
パキスタン人の新規入国者数の推移【2020年から2021年にかけて減少】
パキスタン人の新規入国者数の推移は、以下のグラフの通りです。
新型コロナウイルスによる影響で、2020年は2,566人、2021年は622人と減少しています。しかし、2022年は5,555人、2023年は1万3,508人と上昇傾向にあります。
8.まとめ
パキスタンの文化は、イスラム教の影響を強く受けているのが特徴です。宗教による教えも相まって、「家族との絆を大事にする」「おもてなしの心を持っている」などの価値観や国民性が根付いています。
また、日本の文化に親しみを持つ人も多く、在日パキスタン人は増加傾向です。外国人を雇用するに当たって、その国の文化や特徴をきちんと把握しておく必要があります。この記事を参考にパキスタンの文化や日本とのマナーの違いを理解し、採用計画に役立ててみてはいかがでしょうか。
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