パキスタン人の平均年収・最低賃金はいくら?日本で働く人が増加する理由・パキスタン人とうまく仕事を進めるコツ
- numabukuro4649
- 7月14日
- 読了時間: 16分
更新日:8月26日

パキスタンでは貧富の差が大きく、労働者の収入は日本と比べてかなり低いのが実情です。そのため、より高い賃金を求めて日本で働くパキスタン人も増えてきました。
本記事では、パキスタン人の平均年収や最低賃金の目安を解説するとともに、日本との労働環境の違いや、パキスタン人スタッフと円滑に働くためのポイントも紹介しています。
パキスタン人の採用を検討している企業の方や、人事担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
なお、外国人採用の流れや必要な手続きはこちらの記事ご確認いただけます。
目次
8.まとめ
1.パキスタン人の平均年収に関する基本情報

まずは、パキスタン人の平均年収の目安をご紹介します。業者や地域ごとの平均年収の違いや、パキスタンの最低賃金についても見ていきましょう。
パキスタン人の平均年収は日本円で約19~20万円
世界各国のマクロ経済や産業に関するデータを提供しているCEICによると、パキスタン人の平均月収は2021年時点で約150米ドルとのデータが出ています。
2021年時点の平均レート「1米ドル=110.80円」で計算すると、平均月収は約1万6,620円です。平均年収に換算すると、日本円で約19〜20万円程度になります。
一方で日本人の平均年収は、国税庁の令和5年分民間給与実態統計調査によると、約461万円です。つまり、パキスタン人の所得水準は日本人よりもはるかに低いことが分かります。
また、パキスタン統計局(PBS)が2022年に発行した「KEY FINDINGS OF LABOUR FORCE SURVEY 2020-21(労働力調査)」によると、男女別の平均月給が出ています。有給労働者(Paid Employees)限定のデータは、以下の通りです。
項目 | 平均月給(PKR) | 平均月給(JPY) ※2025年7月3日時点でのレート「1PKR=0.51円」で計算 |
男女計 | 2万4,028パキスタン・ルピー | 約1万2,250円 |
男性 | 2万4,643パキスタン・ルピー | 約1万2,570円 |
女性 | 2万117パキスタン・ルピー | 約1万260円 |
有給労働者の場合、男女計の平均月給は約1万2,250円、平均年収に換算すると約14万7,000円です。2020-21が最新版のため、2025年時点でのパキスタン人の平均年収データは、前後している可能性があります。
業種や職種ごとの平均年収の違い
パキスタンでは、業界によって収入に格差が見られます。以下では、代表的な業種や職種ごとの2024年8月時点におけるパキスタン人の平均月収をまとめました。
業種 | 平均月収(PKR) | 平均月収(JPY) ※2025年7月3日時点でのレート「1PKR=0.51円」で計算 |
健康管理 | 12万2,000パキスタン・ルピー | 約6万2,220円 |
不動産 | 9万パキスタン・ルピー | 約4万5,900円 |
情報技術 | 8万4,300パキスタン・ルピー | 約4万2,990円 |
メディア・放送 | 7万7,300パキスタン・ルピー | 約3万9,420円 |
エネルギー | 7万6,700パキスタン・ルピー | 約3万9,120円 |
通信 | 7万6,400パキスタン・ルピー | 約3万8,960円 |
健康管理業界を例に挙げてみると、平均月収は12万2,000パキスタン・ルピー、日本円で約6万2,220円です。この数値から平均年収を計算すると、約74~75万円になります。
一方で通信業界の平均月収は7万6,400パキスタン・ルピー、日本円で約3万8,960円です。平均年収は約46~47万円で、収入差が生じていることが分かります。
ただし、Time Doctorによるパキスタン人の平均月収の調査は、業界ごとの平均値を示したものです。地域や経験年数で個人差があるため、目安程度に捉えておくのが良いでしょう。
地域ごとの平均年収の違い
ここでは、パキスタンの主要都市における2024年8月時点の平均月給をご紹介します。
地域 | 平均月収(PKR) | 平均月収(JPY) ※2025年7月3日時点でのレート「1PKR=0.51円」で計算 |
カラチ | 8万8,700パキスタン・ルピー | 約4万5,240円 |
ラホール | 8万7,200パキスタン・ルピー | 約4万4,470円 |
ファイサラバード | 8万5,700パキスタン・ルピー | 約4万3,710円 |
イスラマバード | 7万6,700パキスタン・ルピー | 約3万9,120円 |
イスラマバードはパキスタンの首都で、カラチやラホールはパキスタンの主要な商業地です。カラチの場合、平均月収は8万8,700パキスタン・ルピー、日本円で約4万5,240円になります。この数値から平均年収を算出すると、約54万円です。
パキスタンの都市部は、比較的年収が高めの傾向があります。一方で地方都市や農村部の場合、年収はもっと低くなると予想できるでしょう。
2024年に最低賃金を引き上げ
パキスタンでは2024年6月、最低賃金の引き上げが実施されました。これは、連邦および州政府が連携して行う賃金調整の仕組みに基づき、1969年に制定された「非熟練労働者最低賃金法」によるものです。新たに定められた最低賃金は、従業員を50人以上雇用する企業を対象に月額3万7,000パキスタン・ルピーとされています。
2025年7月3日時点の為替レート(1PKR=0.51円)で換算すると、日本円で月額約1万8,870円。これは、2024年以前の月額3万2,000パキスタン・ルピーから5,000ルピーの増額となります。
なお、2025年度の予算においては、ムハンマド・アウラングゼーブ財務大臣がこの最低賃金水準を維持する方針を発表しています。
2.新卒のパキスタン人の初任給

求人検索エンジン「Indeed」によると、新卒のパキスタン人の初任給は月額3万8,579パキスタン・ルピーとのデータが出ています。このデータは、約2,200件の給与報告に基づいて算出されたものです。
2025年7月3日時点の為替レート(1PKR=0.51円)で換算すると、日本円で約1万9,680円に相当します。なお、パキスタンでは新卒の初任給に関する公的な統計が存在せず、こうした数値は主に民間調査や口コミ情報に基づいています。
一方、日本の新卒初任給は、厚生労働省が公表した令和元年の「賃金構造基本統計調査」によると、学歴に応じて以下のようになっています。日本人と比較してみると、パキスタン人の初任給は低水準であることが分かります。
学歴 | 初任給 |
大学院修士課程修了 | 23万8,900円 |
大学卒 | 21万200円 |
高専・短大卒 | 18万3,900円 |
高校卒 | 16万7,400円 |
3.パキスタンでの生活費の目安

パキスタンは日本と比べて物価が全体的に低く、生活費も抑えられる傾向があります。ここでは、パキスタンの都市部における代表的な生活費の目安をご紹介します。
まずは家賃の項目です。
物件 | 月額家賃(PKR) | 月額家賃(JPY) ※2025年7月3日時点でのレート「1PKR=0.51円」で計算 |
市内中心部のアパート (1ベッドルーム) | 約3万255パキスタン・ルピー | 約1万5,430円 |
郊外のアパート (1ベッドルーム) | 約1万8,695パキスタン・ルピー | 約9,530円 |
ワンルームの場合、市内中心部で約1万5,430円、郊外で約9,530円と日本よりもかなりリーズナブルです。次に光熱費や食費、通信費などの項目を見ていきましょう。
項目 | 月額費用(PKR) | 月額費用(JPY) ※2025年7月3日時点でのレート「1PKR=0.51円」で計算 |
光熱費(85平方メートルあたり) | 約27,000パキスタン・ルピー | 約1万3,770円 |
食費(安いレストラン) | 約500パキスタン・ルピー | 約255円 |
通信費(モバイル) | 約800~2,000パキスタン・ルピー | 約410~1,020円 |
交通費(ローカルの交通機関) | 50パキスタン・ルピー | 約25円 |
電気・ガス・水道・ゴミ処理などを含めた85平方メートルの物件の月額光熱費は約27,000パキスタン・ルピー(約1万3,770円)。この項目はそれほど割安ではありません。
一方、食費・通信費・交通費は日本よりも大幅に安く、パキスタンの物価の低さが感じられる部分です。
ただし、これらはあくまで都市部の平均的なデータであり、首都のイスラマバードや商業都市のカラチではやや物価が高くなる傾向があります。地方都市や農村部では、さらに生活費を抑えることが可能です。
4.日本とパキスタンの労働環境の違い

ここでは、日本とパキスタンの労働環境の違いを解説していきます。
労働環境の違い | 日本 | パキスタン |
雇用契約の締結 | 大きく分けて、無期雇用契約と有期雇用契約 | 6種類(正社員・試用期間中・代替要員・臨時労働者・見習い・契約労働者)に分類 |
労働時間 | 1日8時間、週40時間まで | 1日8時間、週48時間まで |
残業手当 | 法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた場合は25%以上 | 1日に9時間または週48時間を超えた場合は2倍 |
有給休暇 | 継続勤務年数に応じて10~20日 | 継続勤務12ヶ月で最低14日間 |
雇用契約の締結や労働時間、残業手当や有給休暇など、それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。
(1)雇用契約の締結の違い
パキスタンでの雇用契約の締結は、以下の6つに分類できます。
Permanent Worker(正社員):一般的な雇用形態で試用期間後に作成される
Probationer(試用期間中):雇用者と従業員の双方に試用の場を提供する
Badli(代替要員):一時的に欠員している正社員や試用社員の代わり
Temporary Worker(臨時労働者):通常は就業期間が9ヶ月未満で採用される
Apprentice(見習い):従業員の訓練のために雇用される
Contract Worker(契約労働者):主にリモートワーカーやギグワーカーなど
パキスタンの労働法では、いずれかの雇用契約を締結しなければならないと規定されています。一方で日本の雇用契約を大きく分けると、期間が定められていない無期雇用契約と期間が定められている有期雇用契約の2つです。
パキスタンでは法律で雇用形態が細かく定義されているのに対して、日本では比較的シンプルに区分されています。ただし、日本の有期雇用契約の実務上は、正社員・契約社員・パートタイマー・派遣社員などさまざまです。
(2)労働時間の違い
パキスタンの労働法では、労働時間について以下のように規定されています。
1日の労働時間は8時間、1週間の労働時間は48時間まで
6時間ごとに1時間の休憩を設ける必要がある
一方で日本の労働基準法で定められている労働時間は、パキスタンと同じ1日8時間です。しかし、1週間の労働時間は40時間以内のため、パキスタンの方が長いことが分かります。
なお、パキスタンではラマダン期間中(断食月)に短縮勤務が行われるケースが多いです。法制度上の義務ではありませんが、労働時間が1日6時間まで短縮される傾向があります。
(3)残業手当の違い
パキスタンでは、就業時間が1日に9時間または週48時間を超える労働に対して、通常の2倍の賃金を支払う必要があると規定されています。残業時間は、原則として1日に3時間までです。
一方で日本での残業手当は、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた場合は25%以上、時間外労働が1ヶ月60時間を超えた場合は50%以上と定められています。残業手当の割増率で比較してみると、日本よりもパキスタンの方が高いです。
(4)有給休暇の違い
パキスタンの工場において、12ヶ月の継続勤務期間を完了した労働者には、有給休暇(Annual holidays)が与えられます。年次有給休暇の日数は、最低14日間です。
労働者が休日を使わなかった場合、未取得分は翌年に繰り越すことができます。ただし、14日間を超えて年次有給休暇を繰り越すことはできません。
一方で日本の年次有給休暇の日数は、継続勤務年数に応じて10~20日と設定されています。パキスタンでは、継続勤務年数による有給休暇の変動がありません。
5.パキスタン人から見た日本就職・日本企業の魅力

ここでは、パキスタン人から見た日本での就職や日本の企業の魅力をご紹介します。
(1)パキスタン国内よりも高収入が期待できる
(2)治安が良くて安心して生活できる
(3)日本の文化と触れ合うことができる
なぜ日本で働くパキスタン人が上昇傾向にあるのか、3つの魅力を見ていきましょう。
(1)パキスタン国内よりも高収入が期待できる
前述した通り、パキスタン人の平均年収は日本円で約19〜20万円程度と、国際的に見ても低水準です。そのため、より良い収入や生活水準を求めて、日本での就労を希望するパキスタン人が増えています。
また、パキスタン人は家族を大切にする傾向があり、家族に少しでも多く送金する目的で出稼ぎに出る人も少なくありません。
(2)治安が良くて安心して生活できる
パキスタン人にとって、日本での就職の魅力は収入面だけにとどまりません。治安が良くて安心して生活できる点に惹かれて、日本での就労を希望する人が増加しています。
パキスタンの治安状況は、国全体で見てみると不安定な傾向です。外務省の海外安全ホームページによると、場所によってはレベル3の渡航中止勧告やレベル4の退避勧告が出ています。治安があまり良くない地域に住んでいるパキスタン人ほど、日本を魅力的に感じるでしょう。
(3)日本の文化と触れ合うことができる
パキスタンにおいて、近年では日本文化への関心が高まっています。両国間では学生交流プログラムなどが行われており、日本文化や日本語への理解が深まりました。
日本での就職は、働きながら日本の文化と触れ合うことができる貴重な機会です。日本に興味を持つパキスタン人ほど、日本での就労を希望する傾向があります。
6.パキスタン人の働き方|日本人との違い、注意点は?

パキスタン人の働き方の特徴は、以下の通りです。
(1)家族に送金するために頑張る人が多い
(2)仕事において上下関係を重視する傾向がある
(3)より良い収入や地位を求めて働く傾向がある
日本人との違いや注意点を詳しく見ていきましょう。
(1)家族に送金するために頑張る人が多い
パキスタンでは、家族を大切にする文化が根付いています。家族との絆を重視しており、親族間で助け合ったり家族の意見を尊重したりするのが一般的です。
こういった文化的背景から家族のために一生懸命働く人が多く、海外へ出稼ぎに行くのは少しでも多くのお金を家族に仕送りする目的だといわれています。
(2)仕事において上下関係を重視する傾向がある
パキスタン人は、仕事において上下関係を重視する傾向があります。これはパキスタンの主要な宗教であるイスラム教や、年長者を尊重する価値観による影響が大きいです。
そのため、職場では上司や目上の人に対して敬意を示すのが重要とされています。上下関係を尊重する点では、日本人と共通する部分があるでしょう。
(3)より良い収入や地位を求めて働く傾向がある
パキスタン人は、より良い収入や地位を求めて働く傾向があります。仕事のやりがいよりも、少しでも高い給与を重視する人は少なくありません。
この傾向は、家族への貢献を重視する文化的背景による影響だと考えられます。
7.パキスタン人のスタッフとうまく仕事を進める3つのコツ

ここでは、パキスタン人のスタッフとうまく仕事を進める3つのコツをご紹介します。
(1)イスラム教の文化について理解を深める
(2)分かりやすい日本語でコミュニケーションを取る
(3)日本人の時間感覚について丁寧に説明する
どのような点に配慮して一緒に仕事を進めるべきなのか確認しておきましょう。
(1)イスラム教の文化について理解を深める
パキスタンでは、イスラム教が国教として定められています。イスラム教を信仰しているパキスタン人の割合は、2020年時点で約96.47%です。
そのため、パキスタン人のスタッフと一緒に仕事をする際は、イスラム教の文化について理解を深めるようにしましょう。例えば、ムスリムにとって豚肉を食べることや飲酒は宗教的理由からタブーです。また、1日に5回の礼拝を欠かさずに行う人も多く、勤務時間中に礼拝の時間を設けている職場もあります。
こういった文化的背景を理解して尊重することは、スタッフのモチベーションの向上にもつながるでしょう。
(2)分かりやすい日本語でコミュニケーションを取る
パキスタンにおける国語はウルドゥー語、公用語は英語と定められています。都市部(イスラマバードやカラチなど)を中心に、英語を流暢に話せる人は多いでしょう。
しかし、日本語が流暢なパキスタン人は少ないため、分かりやすい日本語を使って指導や説明を行いましょう。やさしい表現を使ったりゆっくり話したりすると、パキスタン人のスタッフと円滑にコミュニケーションが取れます。
(3)日本人の時間感覚について丁寧に説明する
パキスタン人は、時間感覚が柔軟な傾向があります。「時間は目安」という意識があり、待ち合わせの予定時刻から30分程度遅れることも珍しくありません。
しかし、日本のビジネスにおいては時間厳守が重視されています。そのため、パキスタン人のスタッフには、日本人の時間感覚について丁寧に説明することが好ましいです。
単純に「遅れないように」と指示をするのではなく、なぜ時間を守るべきなのか伝えるのがポイントです。そうすることで、パキスタン人のスタッフから理解と協力を得やすくなるでしょう。
8.まとめ
パキスタン人の平均年収は、2021年時点で約19〜20万円程度です。日本人の平均年収は約461万円のため、パキスタン人の所得水準はかなり低いことが分かります。
また、日本とパキスタンとでは、労働環境や働き方が異なるのが大きな特徴です。家族への送金のために頑張る人が多く、日本人との違いが見られます。
そのため、パキスタン人のスタッフと一緒に働く際は、文化的価値観や宗教的価値観への配慮が欠かせません。本記事を参考にパキスタン人の平均年収や仕事観を把握し、採用計画に役立ててください。
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