飲食店・レストランで外国人採用が可能な特定技能「外食業」とは?1号と2号の業務内容
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- 5月23日
- 読了時間: 22分
更新日:8月16日

日本の外食業界で深刻化する人手不足は、サービスの質維持や事業拡大の大きな壁となっています。飲食店・レストランの人手不足を解決する手段として、特定技能「外食業分野」の制度が大きな注目を浴びています。
この記事では、人手不足にお悩みの外食事業の経営者様や採用担当者様に向けて、特定技能「外食」の概要や対象となる具体的な仕事内容などをまとめました。
企業が満たすべき受け入れ条件や特定技能2号「外食業」へのステップアップについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
なお、外国人採用の流れや必要な手続きはこちらの記事でご確認いただけます。
目次
特定技能「外食業分野」とは?

日本の食文化を支える外食産業は、国内外から多くの人々に愛されています。しかし、近年は深刻な人手不足に直面しており、その解決策の1つとして注目されているのが特定技能「外食業分野」の在留資格を持つ外国人材の活用です。
ここからは、特定技能「外食業分野」について、その設立背景などについて解説していきます。
「外食業分野」創設の背景と目的
特定技能制度は、国内での人材採用が難しい産業分野において、専門性と技能を持つ外国人材を受け入れる目的で2019年4月に始まりました。外食業も特定技能制度の対象分野であり、外食業界の慢性的な人手不足を解消し、持続的な発展を後押しすることを目指しています。
外食業界が人手不足に陥っている背景には、少子高齢化による生産年齢人口の減少や、外食産業特有の労働環境に対するイメージなどが考えられます。レストランや飲食店での勤務は労働条件が厳しいという印象が、日本人労働者、特に若年層の採用を難しくしている一因といえるでしょう。
こうした状況を打開するため、即戦力となる外国人材の受け入れが急務となっています。特定技能「外食業分野」は、調理、接客、衛生管理といった現場で不可欠なスキルを持つ外国人材に門戸を開くことで、店舗運営の安定化と日本の豊かな食文化の維持・発展を目的としています。
外食ニーズの高まりで特定技能「外食業」で働く外国人材も増加
コロナ禍で一時的な影響を受けた外食産業ですが、経済活動の再開に伴い外食へのニーズは回復しつつあります。テイクアウトやデリバリーといった新しい生活様式も浸透し、外食の形は多様化を見せています。このような変化は、外食産業における人材需要をさらに押し上げる要因の1つといえます。
出入国在留管理庁のデータによれば、特定技能「外食業分野」で活躍する外国人材の数は2023年12月末時点で13,312人でしたが、2024年12月末時点では27,864人と、1年で倍以上に増えています。これは、企業側の受け入れ体制整備の進展や、日本での就労を望む外国人材にとって外食業が魅力的な選択肢であることを示唆していると言えるでしょう。
外食ニーズの高まりは、単に量的な拡大だけでなく、質の高いサービスや多様な食文化への対応といった期待にも繋がっています。外国人材の言語能力や文化的背景は、特にインバウンド需要が回復する中で、国際的なおもてなしを提供する上で大きな強みとなり得ます。特定技能「外食業」による外国人材の受け入れは、外食産業の新たなニーズに応え、さらなる発展を支える鍵となっていくでしょう。
出典:出入国在留管理庁『特定技能制度運用状況(pdf)』(2024年12月末時点)
特定技能「外食業」の業務内容

特定技能「外食業」で外国人材が従事できる業務は、外食産業における多岐にわたる活動を網羅しています。これは、単なる人手不足の補填に留まらず、外国人材のスキルを活かし、店舗運営の質向上に貢献してもらうことを期待しているためです。
具体的には、特定技能「外食業」で以下のような業務に従事可能です。
ホール・キッチン(ホテル内レストランでも就労可能)
特定技能「外食業」の最も中心となる業務は、飲食店でのホール業務とキッチン業務です。なお、ホテル内のレストランも就労場所に含まれます。
ホール業務では、以下のような一連の接客サービスを担当します。
お客様のご案内
注文受付
料理提供
会計
お客様に快適な時間を提供するためのコミュニケーション能力や、迅速かつ丁寧に対応するためのスキルが不可欠です。また、店内の清掃やテーブルセッティング、開店・閉店準備だけでなく、下記のようなキッチン業務の役割も担います。
食材の仕込みから調理
盛り付け
食器洗浄
外国人材には、衛生管理の正しい知識に基づき、安全で美味しい料理を提供することが求められます。また、調理マニュアルに沿った作業に加え、経験を積むことで新しいメニュー開発に携わる可能性もあります。
フードデリバリー
コロナ禍以降、需要が高まったフードデリバリー業務も、特定技能「外食業」においては、店舗での調理や接客といった主たる業務に付随する形で従事することが認められています。これは、飲食店の運営形態の多様化に対応し、店舗内業務の一環として実施される場合に限ります。
フードデリバリーの主な業務は、店舗で調理された飲食物をお客様のもとへ迅速かつ安全に届けることです。配達ルートの確認や商品の丁寧な取り扱い、時間管理が求められます。
ただし、特定技能「外食業」の資格を持つ外国人材を、デリバリー業務のみに専門的に従事することは認められていません。デリバリー業務は、あくまでも店舗内での調理や接客といった主たる業務に付随して行う形となります。
店舗管理・仕入れ
特定技能「外食業」で就労する外国人材の主な業務は、ホールやキッチンでの接客・調理業務ですが、一定の経験を積んだ後、補助的な形で店舗運営に関わる業務(在庫確認や簡易な発注業務)に携わることがある場合もあります。これはあくまでも現場の実情に応じた判断であり、制度上、管理職や高度な経営判断を伴う業務を担うことは想定されていません。
たとえば、日々の仕入れ補助、食材の検品、簡易な棚卸し、衛生チェックのサポートといった業務は、マニュアル化されている範囲で担当することが可能です。
将来的には、現場での実務を通じてスキルを高めることで、より責任ある業務を任せられる可能性がありますが、管理者的ポジションを目指す場合は、特定技能2号や別の在留資格が必要になるケースもあります。
出典:出入国在留管理庁『外食業分野』(2025年5月現在)
特定技能「外食業」を受け入れる企業の要件
特定技能「外食業」で外国人材を受け入れる企業は、出入国在留管理庁などが定める各種要件を満たさなくてはなりません。具体的には以下のとおりです。
外国人材の受け入れ基準
外国人材を受け入れる企業自体が、以下の基準を満たしている必要があります。
外国人材と締結する雇用契約の内容が適切であること。(例:報酬額が日本人と同等以上)
企業自体が健全な運営を行っていること。(例:過去5年以内に出入国関連法令や労働関連法令に関する重大な違反を犯していない等)
母国語で相談できる等の支援体制を整えていること。(登録支援機関に全て委託することも可能)
事前ガイダンスの実施や支援計画の策定。(例:日本の生活習慣に関するオリエンテーション等)
受け入れ企業で発生する義務
特定技能外国人材を雇用した後、受け入れ企業には以下の義務が発生します。
締結した雇用契約に基づいた雇用契約の確実な履行。
策定した支援計画に基づいた外国人支援の適切な実施。なお、この支援業務を登録支援機関に全て委託した場合、前述の「外国人材の受け入れ基準」における支援体制の整備(上記③)も満たしたと見なされます。
外国人材の受け入れ状況や活動状況について、出入国在留管理庁への各種届出。
食品産業特定技能協議会への加入が必要
特定技能「外食業」の外国人を受け入れる企業は、「食品産業特定技能協議会」への加入が義務付けられています。
協議会は、制度の適正運用や外国人材の保護を目的とした組織であり、加入は法律上の要件です。
加入タイミング
2024年6月15日以降に初めて特定技能外国人を受け入れる場合は、出入国在留管理庁に在留資格の申請をする前に、必ず協議会へ加入する必要があります。申請前の加入が要件となり、協議会加入審査には1~2カ月かかるため、早めに準備しておきましょう。
出典:農林水産省『食品産業特定技能協議会(飲食料品製造業分野・外食業分野)について』(2025年5月時点)
外国人材が特定技能1号「外食業」を取得する方法

外国人材が特定技能1号「外食業」の在留資格を取得するためには、主に2つのルートがあります。
【ルート①】外食業特定技能1号技能測定試験と日本語能力試験に合格するルート
以下の2つの試験に合格することで、外食業分野での特定技能1号を取得できます。
(1)外食業特定技能1号技能測定試験(業務知識・技能に関する試験)(2)日本語試験:
「日本語能力試験(JLPT)N4以上」または
「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」
【ルート②】技能実習2号修了者として特定技能1号へ移行するルート
過去に技能実習2号を修了し、外食業と関連する職種(例:飲食物調理業など)で実習を終えた方は、技能測定試験を受けずに特定技能1号へ移行可能です(日本語試験の免除もあり)。
それぞれ見ていきましょう。
ルート①-(1)「外食業特定技能1号技能測定試験」に合格する
海外在住者や、日本に他の在留資格で滞在している方が特定技能「外食業」を目指す場合、まず「外食業特定技能1号技能測定試験」に合格しなければいけません。この試験は、外食業で働くために必要な専門知識と技能を測るもので、一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)が実施しています。
試験は外食業における「接客全般」「飲食物調理」「衛生管理」の3つの分野から出題され、それぞれ「学科試験」と「実技試験」で構成されています。
学科試験の内容・問題数・配点
試験項目 | 主な内容 | 問題数 | 配点 |
衛生管理 | ・一般衛生管理に関する知識・HACCP に関する知識・食中毒に関する知識 など | 10問 | 満点:40点 |
飲食物調理 | ・調理に関する知識・食材に関する知識・調理機器に関する知識 など | 10問 | 満点:30点 |
接客全般 | ・接客サービスに関する知識・食の多様化に関する知識・クレーム対応に関する知識 など | 10問 | 満点:30点 |
合計 | 30問 | 100点 |
※試験時間70分、ペーパーテスト方式、日本語(漢字にルビ付き)
実技試験の内容・問題数・配点
特定技能1号技能測定試験における実技試験は、「判断試験」と「計画立案」の2種類に分かれています。
試験項目 | 主な内容 | 判断試験 問題数 | 計画立案 問題数 | 合計問題数 | 配点 |
衛生管理 | 学科試験と同じ | 3問 | 2問 | 5問 | 満点:40点 |
飲食物調理 | 学科試験と同じ | 3問 | 2問 | 5問 | 満点:30点 |
接客全般 | 学科試験と同じ | 3問 | 2問 | 5問 | 満点:30点 |
合計 | 9問 | 6問 | 15問 | 100点 |
合否基準・日程
「特定技能1号技能測定試験」の合格基準は、学科試験と実技試験の合計得点が、原則として満点(200点)の65%以上であることと定められています。
また、「特定技能1号技能測定試験」の実施日程については、OTAFFのWebサイトをご覧ください。
出典:OTAFF『外食業特定技能1号技能測定試験国内試験案内(pdf)』(2024年4月以降適用)
ルート①-(2)「日本語能力試験」に合格する
特定技能1号「外食業」の在留資格を取得するためには、技能試験に加えて、一定の日本語能力も必要とされます。これは、職場で日本人スタッフと円滑にコミュニケーションを取り、安全に業務を遂行するため、また、日本で日常生活を送る上で最低限必要な日本語能力を担保するためです。
具体的には、以下いずれかの日本語試験に合格する必要があります。
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic):A2レベル以上に合格
日本語能力試験(JLPT):N4以上に合格
これらの試験は、業務に必要な基本的な日本語の理解力(聞く、話す、読む、書く)があることを証明するものです。
日本語能力試験について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
ルート②技能実習2号から特定技能1号へ移行する
既に日本で技能実習生として就労し、「技能実習2号」を良好に修了した外国人は、無試験で特定技能1号「外食業分野」へ移行することが可能です。これは、技能実習を通じて一定の技能と日本語能力を習得していると見なされるためです。
「良好に修了」とは、技能実習計画に基づいて2年10ヶ月以上の実習期間を終え、技能検定3級(またはこれに相当する技能測定試験)に合格していることなどを指します。また、実習中の素行が不良でなかったことも条件です。
技能実習2号から特定技能1号「外食業分野」へ移行する場合、前述の「外食業特定技能1号技能測定試験」および「日本語能力試験」の受験は免除されます。ただし、受け入れ企業との間で特定技能雇用契約を締結し、必要な書類を揃えて在留資格変更許可申請を行う必要がある点に気を付けましょう。
技能実習からの移行は、外国人材にとっては日本での継続的な就労が可能となり、企業にとっては即戦力となる人材を採用できるという双方にとってメリットの大きい制度です。ただし、技能実習の職種と特定技能「外食業」の業務内容に関連性が認められる必要があります。例えば、技能実習で惣菜製造やパン製造などに従事していた場合、外食業との関連性が認められやすいと考えられます。
出典:出入国在留管理庁『特定技能制度に関するQ&A』(2025年5月現在)
外食業の特定技能2号とは

2023年6月9日の閣議決定により、特定技能制度において「特定技能2号」の対象分野が拡大され、新たに「外食」分野も追加されました。これにより、外食業で働く特定技能外国人材は、より長期間日本で活躍できる道が開かれ、キャリアアップの可能性も広がりました。
特定技能1号は、通算で最長5年間の在留が上限とされていますが、特定技能2号を取得すると、この在留期間の上限がなくなります。つまり、更新を続けることで永続的な就労が可能となるのです。さらに、一定の要件を満たせば、家族(配偶者や子)を日本に呼び寄せて一緒に暮らすこともできるようになります。
外食業における特定技能2号の創設は、熟練した外国人材の採用・定着を促し、業界全体のサービスレベルの向上や生産性向上に貢献することが期待されています。また、外国人材にとっては、日本での安定した生活基盤を築き、専門性を高めながらキャリアを追求できるという大きな魅力となるでしょう。
なお、外国人材が特定技能2号「外食業」を取得する方法については、次の項目で詳しく解説いたします。
出典:出入国在留管理庁『外食業分野』(2025年5月現在)
外国人材が特定技能2号「外食業」を取得する方法
外食業で特定技能2号の在留資格を取得するには、以下の要件を満たす必要があります。
①指導・管理業務を含む、2年以上の実務経験
②「外食業特定技能2号技能測定試験」に合格する
③「日本語能力試験(JLPT)」N3以上など、一定の日本語力の証明
①指導・管理業務を含む2年以上の実務経験
特定技能2号「外食業」の申請には、外食業分野で管理者相当の実務経験が必要です。具体的には、外食業の現場で2年以上の実務経験を積んでいることに加え、その期間中に部下や後輩の指導・育成、あるいは店舗管理の一部を担うなど管理者相当の経験が求められます。
なお、上記の実務経験は基本的に試験前日までに積んでおく必要がありますが、試験の日から6ヶ月以内に2年以上の実務経験に達する場合は問題ありません。
出典:農林水産省『食品産業分野(飲食料品製造業分野及び外食業分野)の特定技能2号に関するQ&A 』(令和6年2月作成版)
②「外食業特定技能2号技能測定試験」に合格する
特定技能2号「外食業」を取得するための重要な要件の1つが、「外食業特定技能2号技能測定試験」に合格することです。この試験は、特定技能1号のレベルを超える高度な専門知識と実践的な技能を評価するために設計されています。
試験内容は「接客全般」「飲食物調理」「衛生管理」「店舗運営」の4区分に分かれており、それぞれ「学科試験」と「実技試験」で構成されています。
学科試験の内容・問題数・配点
試験項目 | 主な内容 | 問題数 | 配点 |
衛生管理 | ・一般衛生管理に関する知識・HACCP に関する知識・食中毒に関する知識・食品衛生法に関する知識 など | 10問 | 満点:40点 |
飲食物調理 | ・調理に関する知識・食材に関する知識・調理機器に関する知識・食品の流通に関する知識 など | 5問 | 満点:10点 |
接客全般 | ・食の多様化に関する知識・クレーム対応に関する知識・公衆衛生に関する知識・接客サービスに関する知識 など | 10問 | 満点:30点 |
店舗運営 | ・計数管理に関する知識・雇用管理に関する知識・届出関係に関する知識 など | 10問 | 満点:40点 |
合計 | 35問 | 120点 |
※試験時間70分、ペーパーテスト方式、日本語(漢字にルビ付き)
実技試験の内容・問題数・配点
特定技能2号技能測定試験における実技試験は、「判断試験」と「計画立案」の2種類に分かれています。
試験項目 | 主な内容 | 判断試験 問題数 | 計画立案 問題数 | 合計問題数 | 配点 |
衛生管理 | 学科試験と同じ | 3問 | 2問 | 5問 | 満点:40点 |
飲食物調理 | 学科試験と同じ | 3問 | 2問 | 5問 | 満点:20点 |
接客全般 | 学科試験と同じ | 3問 | 2問 | 5問 | 満点:30点 |
店舗運営 | 学科試験と同じ | 3問 | 2問 | 5問 | 満点:40点 |
合計 | 12問 | 8問 | 20問 | 130点 |
合否基準・日程
「特定技能2号技能測定試験」の合格基準は、学科試験と実技試験の合計得点が、原則として満点(250点)の65%以上である事と定められています。
また、「特定技能2号技能測定試験」の実施日程については、OTAFFのWebサイトをご覧ください。
出典:OTAFF『外食業特定技能2号技能測定試験国内試験案内~企業申込み編~(pdf)』(2024年2月更新版)
特定技能2号「外食業」申請時に必要な書類
特定技能2号「外食業」申請時に必要な書類は、以下の通りです。(2025年5月現在)
1. 在留資格変更許可申請書など「申請人に関する必要書類」
2. 所属機関に関する必要書類
3. 分野に関する必要書類
「外食業特定技能2号技能測定試験」の合格証明書の写し
「日本語能力試験(JLPT)」N3以上の合格証明書の写し
保健所長の営業許可証又は届出書の写し
外食業分野における特定技能外国人の受入れに関する 誓約書(特定技能所属機関)
協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機関)
出典・引用:出入国在留管理庁『外食業分野に関する必要な書類(pdf)』(2025年5月現在)
出典:出入国在留管理庁『在留資格「特定技能」』(2025年5月現在)
特定技能外国人材を雇用するまでの流れ

特定技能「外食業」の外国人材を雇用するまでには、いくつかのステップと手続きが必要です。以下に、一般的な流れを解説します。
「特定技能雇用契約」の締結
まず、受け入れ企業と外国人材の間で「特定技能雇用契約」を締結します。この契約では、業務内容、労働時間、休日、賃金、その他の労働条件などを明確に定めます。重要なのは、報酬額が日本人従業員と同等以上であること、そして契約内容について外国人材が十分に理解できる言語で説明することです。
「1号特定技能外国人支援計画」の作成
次に、受け入れ企業は「1号特定技能外国人支援計画」を作成します。この計画には、外国人材が日本で安定的かつ円滑に活動できるよう、職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援に関する具体的な内容を盛り込む必要があります。
事前ガイダンスの実施
外国人材が来日する前に、対面またはオンラインで事前ガイダンスを実施します。ここでは、特定技能雇用契約の内容、日本での活動内容、入国・在留に関する手続き、保証金の徴収や違約金契約の禁止など、重要な情報を外国人が理解できる母国語で説明しましょう。
在留資格の申請
外国人材が海外にいる場合は「在留資格認定証明書交付申請」を、既に日本に他の在留資格で滞在している場合は「在留資格変更許可申請」を、企業の所在地を管轄する地方出入国在留管理局に行います。
外国人に「在留資格認定証明書」を郵送
在留資格認定証明書交付申請が許可されると、「在留資格認定証明書(CoE)」が発行されます。企業は、このCoEの原本を速やかに外国人材本人に郵送する必要があります。
現地で外国人が査証(ビザ)を申請
外国人材は、郵送されたCoEとパスポート、その他の必要書類を持って、自国の日本国大使館または総領事館で査証(ビザ)を申請します。
外国人が来日・就労スタート!
査証が発給されたら、外国人材は日本へ入国し、いよいよ就労開始となります。受け入れ企業は、空港への出迎え、住居への案内、役所での手続き(住民登録、マイナンバーカード申請など)のサポートなど、「1号特定技能外国人支援計画」に基づいて支援を開始しましょう。
なお、外国人材を初めて採用する際の、より詳しい解説は以下の記事をご覧ください。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でも日本の外食業界に就労可能
特定技能制度以外にも、外国人材が日本の外食業界で活躍できる道があります。その1つが「技術・人文知識・国際業務」(技人国)の在留資格です。この在留資格は、大学卒業程度の学歴や一定の実務経験を持つ外国人材が、専門知識や技術を活かして日本の企業で働く場合に取得できます。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に関する詳細や、特定技能との違いについては、以下の記事を参考にしてください。
外食業・特定技能での外国人採用事例
特定技能制度などを活用して外国人材を積極的に採用し、人手不足の解消や事業の活性化に成功している外食企業は少なくありません。
ここでは具体的な採用事例として、Connect Jobが支援したケースをご紹介します。
レストランの外国人採用事例:インド・ネパールでの越境採用で1,000名以上の応募から50名が内定

「その街の、鼓動が集まるレストラン。」をコンセプトに掲げるHUGE様は、社内のダイバーシティ推進と、特にホスピタリティ分野での専門性を有する人材獲得を目指し、新たな採用戦略としてインド・ネパール市場に着目されました。
Connect Jobは、現地の大学でホスピタリティを専門的に学ぶ有望な若者たちをご紹介。採用ご担当者様をはじめとするHUGE様のチームは、実際に現地へ渡航し、候補者一人ひとりと向き合うことを決断されました。
これらの取り組みの結果、1,000名を超える応募者の中から50名以上という多数の優秀な人材が内定を獲得し、入社後は「入社2ヶ月とは思えない業務クオリティ」と評されるほど即戦力として活躍されています。
この事例の詳細は、以下の記事で詳しくご紹介しています。海外からの採用にご興味のある企業様は、ぜひご覧ください。
在留資格の申請と更新手続き
特定技能外国人材を雇用する場合、入国前の在留資格認定証明書の申請だけでなく、入国後の在留期間更新手続きも非常に重要です。在留期間は特定技能1号の場合、1年、6ヶ月、または4ヶ月ごとに更新が必要となり、通算で最長5年間です。
なお、在留期間の更新手続きは、期限の約3ヶ月前から地方出入国在留管理局で行うことができます。期限を過ぎてしまうと不法滞在となり、強制退去の対象となる可能性もあるため、企業と外国人材双方が期限管理を徹底することが求められます。
在留資格の申請や更新手続きについてさらに詳しくは、以下の記事をご覧ください。
雇用に際しての注意事項
初めて特定技能外国人材を雇用する際には、特に以下の点に注意が必要です。
接待飲食の営業をさせてはいけない
特定技能「外食業分野」で認められている業務は、あくまで一般的な飲食店における飲食物の調理、接客、店舗管理などです。キャバレー、スナック、ホストクラブ、ガールズバーといった、いわゆる「接待飲食等営業」に該当する業態の店舗で、特定技能外国人を働かせることはできません。
出典:出入国在留管理庁『外食業分野』(2025年5月現在)
外国人と日本人の賃金を同等にする
特定技能外国人材を雇用する上で、最も基本的な原則の1つが「日本人との均等待遇」です。これは、外国人であることを理由に、賃金、労働時間、休日、福利厚生など、あらゆる労働条件において不当な差別的取扱いをしてはならないというものです。
特に賃金については、同程度の経験や能力を持つ日本人従業員と比較して、同等以上の報酬を支払う必要があります。これを下回るような低い賃金を設定することは、特定技能制度の趣旨に反するだけでなく、労働基準法違反にもなり得るため注意しましょう。
出典:厚生労働省『外国人雇用はルールを守って適正に(pdf)』(2024年6月更新版)
まとめ:外食業界の人材不足を救うのは外国人材!
少子高齢化が進む日本において、外食産業が今後も質の高いサービスを提供し、豊かな食文化を維持・発展させていくためには、意欲と能力のある外国人材の力が必要不可欠です。
特定技能制度は、即戦力となる外国人材を受け入れるための有効な手段であり、実際に多くの企業がこの制度を活用して人手不足の解消や組織の活性化に繋げています。特定技能1号からスタートし、経験を積んで特定技能2号へステップアップすることで、外国人材は日本で長期的なキャリアを築くことも可能になりました。
もちろん、外国人材の受け入れには、言語や文化の違いを乗り越えるための努力や、適切な支援体制の構築が求められます。しかし、それを上回るメリットが企業にもたらされる可能性が高いことも事実です。
Connect Jobでは、ホテル・レストランなどホスピタリティ業界向けの外国人採用をご支援しています。ぜひお気軽にご相談ください。
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