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外国人エンジニアを採用するメリットと注意点とは?主な採用方法5選も紹介

  • 執筆者の写真: 2022 intern
    2022 intern
  • 2024年7月18日
  • 読了時間: 25分

更新日:10月28日


日本企業が外国人エンジニアを採用するには?採用事例やビザ手続きまで解説

国内のIT人材不足が深刻化する一方、グローバルな開発競争は激しさを増しています。こうした中、事業成長を加速させるための重要な戦略として「外国人エンジニア採用」に注目が集まっています。


この記事では、外国人エンジニアを採用するメリットや注意点、具体的な採用方法を5つ解説します。外国人エンジニアの採用を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。


初めての外国人採用ガイド (選考~内定編)

目次

  1. 外国人エンジニアの採用が広がる背景

  2. 外国人エンジニアの平均年収は592.2万円

  3. 外国人エンジニア採用で注目したい国はインド・中国・韓国など

  4. 外国人エンジニアを採用する5つのメリット

  5. 外国人エンジニア採用における5つの注意点

  6. 外国人エンジニアの採用で必要な在留資格(就労ビザ)

  7. 外国人エンジニアの主な採用方法5選

  8. 外国人エンジニアを雇用するまでの流れ

  9. 外国人エンジニアを雇用するにあたって必要な書類

  10. 採用後に必要な手続き

  11. 外国人エンジニアの採用を成功させるための10か条

  12. 外国人エンジニアの採用で活用できる参考資料・公的支援制度

  13. 外国人エンジニアの採用に関してよくある質問

  14. まとめ:外国人エンジニアの採用で人手不足を解消


  1. 外国人エンジニアの採用が広がる背景

外国人エンジニアの採用が広がる背景

なぜ今、多くの企業が国境を越えてエンジニアを探しているのでしょうか。その背景には、国内のIT人材市場の構造的な問題と、グローバルな人材採用競争の激化があります。


IT人材の不足

経済産業省が2019年に公表した「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材の需要と供給の差(需給ギャップ)は年々拡大し、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると予測されています。


深刻な「ITエンジニア不足」は、企業の成長を阻害する大きな要因となりつつあります。


「2030年にはIT人材が最大約80万人不足すると予測されている」経済産業省によるデータ

また、厚生労働省の調査によると、すでに多くの企業が新卒もしくは中途採用でIT・デジタル人材の不足に対応していることがわかります。


IT・デジタル人材の不足に対する対応方針


採用競争の激化が進む中、国内のみでなく海外へと採用対象を拡大するのは自然な流れとなるでしょう。


日本で働く外国人労働者数の増加

日本で働く外国人労働者数は年々増加しており、2024年10月時点で2,302,587人に達しました。これは届出が義務化された2007年以降、過去最多の数字です。国籍別ではベトナム(24.8%)、中国(17.8%)、フィリピン(10.7%)が上位を占めており、ミャンマーやインドネシアなどアジア圏からの増加も顕著です。


この中でも特に注目すべきは、ITエンジニアなどが含まれる「専門的・技術的分野の在留資格」で働く労働者です。その数は718,812人にのぼり、在留資格別で最も多くなっています 。日本の産業界、特にIT分野において外国人材の需要が高まっていることがわかります。


なお、外国人労働者の推移や今後の予測は、こちらの記事で詳細をご確認ください。



政府による環境整備の拡大

政府もこの状況を認識しており、高度な専門知識を持つ外国人材を積極的に受け入れるための制度緩和や支援策を進めています。例えば、デジタル庁主催の「デジタル社会構想会議」では、過去に人材不足の解決策として外国人材の積極的な受け入れが提言されました。また、厚生労働省は「海外IT人材採用・定着ハンドブック」を公開し、企業が海外からIT人材を採用しやすい環境を整備しています。




  1. 外国人エンジニアの平均年収は592.2万円

同一労働同一賃金の義務は、外国人材にも適用されます。そのため、外国人エンジニアの年収=日本人と同等と捉えて問題ありません。


経済産業省の調査によると、ITエンジニアの平均年収は592.2万円となっています。また、次のような見解が述べられています。


  • プロジェクトマネージャやプロデューサーなどの管理系職種の方が、ITアーキテクトなどの高度SEやIT技術スペ シャリストよりも給与平均が高い

  • 職種毎の平均スキルレベルの違いは、SE・プログラマーとしてキャリアをスタートし、キャリアアップにより、管理系や アーキテクト系に職種が変わるIT業界の一般的なキャリアパスと整合的な結果になっている


優秀な人材の採用には、スキルや職種、役職に応じた年収を提示することが求められます。



  1. 外国人エンジニア採用で注目したい国はインド・中国・韓国など


外国人エンジニア採用で注目の国は、インド、中国、韓国、台湾などです。それぞれの特徴・傾向は以下の通りです。

インド

英語スピーカーのイメージがあるが日本語スピーカーも一定数いる。スキルの高さやハングリー精神旺盛な国民性が特徴。

中国・韓国・台湾

東アジアは日本語力の高いエンジニアが採用しやすい。年収レンジは高めだが、管理職レベルの採用も可能。

Connect Jobでは上記のようなエンジニアをすぐに集客・ご紹介可能ですので、お気軽にお問合せください。


なお、各国の文化や年収イメージは国/地域別 採用マーケット情報でご紹介しています。こちらから資料請求いただけます。

採用担当者は知っておきたい|国/地域別 採用マーケット情報


  1. 外国人エンジニアを採用する5つのメリット

外国人エンジニアを採用する5つのメリット

外国人エンジニアを採用するメリットは、主に5つ挙げられます。


  1. 採用対象マーケットが大幅に拡大

  2. 世界ランキング上位の大学出身の優秀な人材にリーチ可能

  3. 世界最先端の技術や情報にアクセス可能

  4. ダイバーシティ&インクルージョンの推進

  5. 新卒採用ブランディングの向上


それぞれ詳しく解説します。


①採用対象マーケットが大幅に拡大

採用の対象を国内に限定せず、海外に目を向けることで、母集団(採用候補者層)を各段に拡げることができます。また、日本語話者でなく英語でのコミュニケーションが可能なIT人材まで広げると、さらに対象は拡大します。


②世界ランキング上位の大学出身の優秀な人材にリーチ可能

採用対象を「海外」に拡げることで、世界トップクラスの大学出身の優秀な人材にもアプローチできるようになります。


例えば、インド工科大学(IIT)などの名門大学で高度なIT教育を受けたエンジニアは、課題解決力や論理的思考力に優れ、企業の技術開発やプロダクト戦略を牽引する存在として注目されています。


一方で、IIT出身学生を採用する場合は英語コミュニケーションでの業務が前提となります。日本語ができる外国人エンジニアとなると、採用難易度は上がるでしょう。


③世界最先端の技術や情報にアクセス可能

外国人エンジニアは、出身国の最新技術トレンドや開発手法、業界のリアルな情報を持ち込み、社内に新しい視点をもたらしてくれます。

また、ビジネスレベル以上の英語力を持つことが多いため、最新の情報を英語でリサーチする習慣のあるエンジニアがほとんどです。


特にAI、IoT、ブロックチェーンといった急速に進化する分野では、国外の技術動向に直接アクセスできる人材の存在は、情報格差を埋めるだけでなく、競争優位性の確保にも寄与します。


④ダイバーシティ&インクルージョンの推進

異なる文化的背景や価値観を持つ外国人エンジニアがチームに加わることで、固定観念にとらわれない柔軟な発想が生まれやすくなります。多様性がもたらす相乗効果により、組織に良い化学反応が起こるでしょう。


また、自ら海外でのキャリアを切り拓こうとする外国人エンジニアには、自律的かつ向上心の高い人材が多く、日本人社員にとっても刺激となります。


⑤新卒採用ブランディングの向上

外国人エンジニアが活躍する企業は、「グローバルで開かれた組織」という印象を与えやすく、採用ブランディングの向上にもつながります。


特に、世界有数のエンジニアと共に働ける環境は、意欲の高い日本人学生にとっても魅力的です。優秀層の採用強化だけでなく、職場の多様性が新たな外国人材を呼び込むという好循環も生まれやすくなります。



  1. 外国人エンジニア採用における5つの注意点


外国人エンジニア採用における5つの注意点

外国人エンジニアの採用には、特有の課題や注意すべき点も存在します。具体例が次の5つです。


  1. 言語の壁

  2. 一時的なマネジメントの負荷増加

  3. 在留資格申請や入社サポートなどが必要

  4. 採用のミスマッチ

  5. 日本人エンジニアより転職サイクルが早い可能性がある


事前にこれらを理解し、対策を講じておくことが、外国人エンジニアの採用を成功させるポイントです。それぞれの詳細を見ていきましょう。


①言語の壁

まず挙げられるのは言語の壁です。

業務上のコミュニケーションだけでなく、人事・労務関連の書類や社内ツールなどにも配慮が必要です。


こうした対応が不十分だと、重要な情報が日本語だけで共有される環境に陥り、外国人社員が必要な情報にアクセスできない「情報の不平等性」が生じかねません。

「情報の不平等性」は、外国人エンジニアのエンゲージメント低下や不満に繋がり、トラブルの原因ともなり得ます。


②一時的なマネジメントの負荷増加

多様な人材が集まることは組織の活性化というメリットがある反面、文化や価値観の違いから、プロダクトマネージャーやチームリーダーといったミドルマネジメント層の負荷が、一時的に増加する可能性があります。


しかし、多様な人材が活躍できる組織こそが、これからの時代における企業の競争力に直結します。「障壁」ではなく「乗り越えるべき成長の機会」と捉え、より良い組織文化を構築していく姿勢が大切です。


③在留資格申請や入社サポートなどが必要

外国人エンジニアの採用では、以下のような手続きやサポートが必要になります。


  • 在留資格(就労ビザ)の取得・更新支援

  • 来日時の航空券手配・費用負担

  • 住居探しのサポートや初期費用の一部負担、生活支援金の支給


これらの専門的な手続きやサポートについては、行政書士事務所などへのアウトソーシングも可能です。多くの人材紹介エージェントは、こうした手続きのサポートも提供しているため、相談してみることをお勧めします。


なお、外国人雇用の手続き必要書類は、こちらの記事で詳しくまとめています。


④採用のミスマッチ

外国人エンジニア採用は、文化や言語の違いから候補者の本質を見極めるのが難しい側面があります。例えば、自己PRの仕方が控えめであったり、逆に非常に積極的であったりするのは、本人の能力よりも文化的な背景が影響していると考えられます。


表面的な印象だけで判断してしまうと、入社後に「期待していたスキルと違った」「社風に合わなかった」といったミスマッチが生じやすくなるため、丁寧な相互理解の場を設けることが重要です。


なお、外国人エンジニアの採用面接の詳細は、以下の記事をご覧ください。


⑤日本人エンジニアより転職サイクルが早い可能性がある

海外のエンジニアは、キャリアアップのために数年単位で転職をすることが一般的です。そのため、より良い条件や挑戦的なプロジェクトを求めて、積極的にキャリアを構築していく傾向があります。


つまり、日本企業が伝統的に期待するような「終身雇用」を前提とせず、採用したエンジニアが数年で転職する可能性も視野に入れておかなければいけません。知識の属人化を防ぐドキュメント文化の醸成や、短期的な活躍を前提とした人材活用なども検討すると良いでしょう。


  1. 外国人エンジニアの採用で必要な在留資格(就労ビザ)

外国人エンジニアを採用する際には、適切な在留資格(就労ビザ)の取得が必須となります。これは、日本に滞在し、企業で働くために必要な公的な許可証です。


在留資格にはいくつかの種類があり、職種や活動内容によって適用されるものが異なります。誤った在留資格で雇用すると、企業側が不法就労助長罪に問われる可能性もあるため、注意が必要です。


在留資格の申請手続きは複雑であり、必要書類の準備や出入国在留管理庁での審査に時間がかかる場合があります。そのため、採用活動と並行して、これらの手続きを計画的に進めることが重要です。入社予定の外国人エンジニアが来日するまでに、企業側も必要な知識を身につけ、スムーズに手続きを進められるよう準備しておきましょう。


外国人エンジニアの就労ビザは「技術・人文知識・国際業務」が一般的

外国人エンジニアが日本で就労する際に必要となる就労ビザは、一般的に「技術・人文知識・国際業務」という在留資格です。この在留資格は、専門的な知識や技術を要する業務に従事する場合に付与されます。


外国人エンジニアの場合、IT技術に関する専門知識や実務経験が求められるため、この在留資格に該当することがほとんどです。採用を検討する際は、この在留資格の取得要件を理解し、対象となるエンジニアが条件を満たしているか確認することが重要です。


主な取得要件

  • 大学または専門学校での専攻が、従事する業務内容と関連していること

  • または10年以上の実務経験を有すること

  • 日本人と同等額以上の報酬が支払われること


高度なスキルや研究職レベルの人材の場合は、「高度専門職」として申請することで在留期間や永住申請の優遇を受けられる場合もあります。



  1. 外国人エンジニアの主な採用方法5選


外国人エンジニアの採用方法は、主に5つあります。


  1. 求人広告の活用

  2. 自社Webサイトでの募集

  3. 縁故(リファラル)採用の実施

  4. ダイレクトリクルーティングの導入

  5. 人材紹介サービスの活用


各手法の特徴を見ていきましょう。なお、採用方法の詳細はこちらの記事で詳しく解説しています。


①求人広告の活用

国内外の求人サイトに広告を掲載する方法です。LinkedInやIndeedのようなグローバルなプラットフォームや、各国の主要な求人媒体、あるいは日本在住の外国人をターゲットにした媒体などが考えられます。


②自社Webサイトでの募集

自社の採用ページを多言語対応(最低でも英語)にし、積極的に情報発信を行う方法です。企業のビジョンや文化、働く環境の魅力を直接伝えることができ、共感した候補者からの応募が期待できます。


③縁故(リファラル)採用の実施

すでに在籍している外国人従業員や日本人従業員から、友人や知人を紹介してもらう方法です。事前に社風や業務内容を理解しているためミスマッチが少なく、採用コストを抑えられるという大きなメリットがあります。


④ダイレクトリクルーティングの導入

企業側から候補者に直接アプローチする「攻め」の採用手法です。LinkedInなどのビジネスSNSや、ITエンジニア向けの技術情報共有サービス(GitHubなど)、あるいは外国人材に特化したダイレクトリクルーティングサービスを活用します。


⑤人材紹介サービスの活用

外国人材の紹介に特化したエージェントを利用する方法です。企業のニーズを伝えるだけで、候補者のスクリーニングから面接設定、条件交渉までを代行してくれます。採用のプロが介在するため、自社に採用ノウハウがなくてもミスマッチの少ない採用が可能です。


初めての外国人採用ガイド (選考~内定編)

  1. 外国人エンジニアを雇用するまでの流れ

外国人エンジニアの雇用形態は、日本国内で就労してもらうケースだけではありません。居住地を問わずにリモートで働いてもらう選択肢も増えています。


①日本国内で外国人エンジニアを雇用、就労させるケース

海外または国内に在住する外国人IT人材を採用し、日本で就労してもらうケースです。


雇用形態は正社員が一般的ですが、契約社員として採用されることもあり、採用プロセス自体は日本人と大きくは変わりません。ただし、外国人エンジニアを採用する場合は、在留資格(就労ビザ)の申請・更新という特有の手続きが不可欠です。


必要な手続き

概要

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の申請

  • 在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得

  • 理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術・知識を要する業務に従事するための資格

  • 本人の学歴や職歴が従事する業務内容と関連していることを証明しなければいけない

外国人雇用状況の届出


  • ハローワークに対して「外国人雇用状況の届出」が必要

  • 怠ったり、虚偽の届出を行ったりした場合には罰則が科される可能性あり

各手続きの詳細は、こちらの記事でご確認いただけます。


②海外に居住したまま雇用するケース

コロナ禍を経てリモートワークが世界的に主流となったこともあり、この流れは今後も加速するでしょう。


この方法により、企業は世界中の広大な人材プールから、移住を伴わずに優秀なエンジニアを探すことができます。代表的な方法として「EOR(Employer of Record)」の活用と、「オフショア開発」の2つがあります。

方法

概要

手続きの流れ

EOR (Employer of Record)

現地の法律に基づいた雇用手続きや労務管理をすべて代行してくれるサービス

1.事業者と契約

2.事業者が現地エンジニアと雇用契約を締結

3.企業はエンジニアに対して業務の指揮命令を実施

オフショア開発

システムやソフトウェアの開発業務を、海外の開発会社に「業務委託」する手法

1.海外の開発会社と業務委託契約を締結

2.開発業務は委託先が担当

3.企業は委託先企業のPMと連携し進捗を管理

EORは、海外に拠点がない企業に代わり、現地の雇用手続きを代行するサービスです。EORが現地の法律上の雇用主となり労務管理を行いますが、業務の指揮命令は企業が直接行い、自社のチームとして働いてもらいます。


一方、オフショア開発は、開発業務そのものを海外企業へチームごと「業務委託」する手法です。個々のエンジニアへの直接の指示は行いません。特定の開発業務を、チームごと外部のプロフェッショナルに任せるイメージです。


  1. 外国人エンジニアを雇用するにあたって必要な書類

外国人エンジニアを雇用する際には、在留資格申請や雇用手続きにおいて複数の書類が必要となります。不備があると手続きが滞り、外国人エンジニアの雇用に影響が出る可能性があるため、事前に確認し、計画的に準備を進めることが重要です。


これらの書類は、入社前と入社後で準備すべきものが異なります。それぞれ必要な書類を準備しましょう。


入社前に必要な書類

海外在住の外国人エンジニアを雇用し、来日してもらう場合は、在留資格認定証明書(COE)の申請が必要です。そのため、入社前に会社側と外国人材側の双方で書類を準備する必要があります。


会社側では、登記事項証明書・定款の写し・雇用契約書の写しなどを用意します。

一方で外国人材側は、卒業証明書・パスポート・写真などの提出が求められます。


また、日本国内にすでに在住している外国人エンジニアを雇用する場合で、在留資格の変更が必要なケースでは、会社側は海外在住者を雇用する場合と同様の書類を用意します。

外国人材側は、在留カード・パスポート・学歴証明書や履歴書などを準備します。


これらの書類は、入社手続きを円滑に進め、法的要件を満たすために不可欠です。


入社後に必要な書類

入社後には、雇用保険被保険者資格取得届と外国人雇用状況届出書をハローワークに提出する必要があります。


雇用する外国人が雇用保険の被保険者となる場合は雇用保険被保険者資格取得届を、被保険者とならない場合は外国人雇用状況届出書を提出します。どちらの書類も適切なタイミングで提出することが義務付けられており、提出を怠ったり虚偽の届出を行ったりした場合には罰則が科される可能性がありますので注意が必要です。


外国人雇用の際に必要な手続きについては、こちらの記事もご覧ください。


  1. 採用後に必要な手続き

外国人エンジニアの採用後には、雇用契約書の作成・締結、外国人雇用状況の届出、そして社会保険・労働保険への加入という、主に3つの手続きが必要です。これらの手続きは、法律で定められた義務であり、適切な対応が求められます。特に雇用契約書は、日本人従業員と同様に労働条件を明記し、双方の合意に基づいて締結することが重要です。また、外国人雇用状況の届出はハローワークへ行う必要があります。


①雇用契約書の作成と締結

雇用契約書は、労働条件を明確にし、外国人エンジニアと企業双方の権利と義務を定める重要な書類です。労働基準法に基づき、賃金、労働時間、業務内容、就業場所などを日本語と外国人エンジニアの母国語または英語で明記し、労働条件通知書として交付する必要があります。


また、残業代の計算方法や休日、退職に関する規定なども明確に記載することで、入社後のトラブル防止に繋がります。外国人エンジニアが契約内容を十分に理解できるよう、丁寧に説明し、疑問点を解消することが大切です。


②外国人雇用状況の届出

外国人エンジニアを雇用する事業主は、外国人雇用状況届出書をハローワークに提出することが義務付けられています。これは、雇用対策法に基づいて定められたもので、外国人労働者の雇入れと離職の際に、その氏名や在留資格、在留期間などを届け出る必要があります。


届出を怠ったり、虚偽の届出を行ったりした場合には、罰則が科される可能性があるため注意が必要です。この届出は、外国人労働者の雇用管理の改善と、外国人労働者の再就職支援を目的としています。


③社会保険・労働保険への加入

外国人エンジニアを雇用する企業は、日本人従業員と同様に、社会保険(健康保険・厚生年金保険)と労働保険(雇用保険・労災保険)への加入手続きを行う必要があります。


これは、外国人労働者が日本で働く上で安心して生活し、万一の事態に備えるための重要な制度です。


適用要件を満たしているにもかかわらず加入手続きを怠った場合、企業は法令違反となり、罰則の対象となる可能性があります。特に、雇用保険は失業時のセーフティネットとなり、労災保険は業務上の災害や通勤災害に対して補償を行うため、外国人エンジニアの保護の観点からも適切に対応することが不可欠です。


採用後に必要な手続きについては、こちらの記事もご覧ください。



  1. 外国人エンジニアの採用を成功させるための10か条

外国人エンジニアの採用を成功させるための10か条

外国人エンジニアを採用し定着・活躍してもらうためには、企業側の受け入れ体制の整備と、異文化理解に基づいたコミュニケーションが不可欠です。ここでは、採用を成功に導くための具体的なポイントを解説します。


  1. 年功序列より実力主義重視へ

  2. 日本の文化を「当たり前」だと思わない関わり方

  3. 「やさしい日本語」「やさしい英語」の活用

  4. 日本語学習の支援体制を構築する

  5. 日本人従業員の語学力向上を促進する

  6. 社内の受け入れ体制を整備する

  7. 日本でのビジネス習慣を丁寧に伝える

  8. 日本での勤務意欲を確認する

  9. 生活面のサポート体制を整える

  10. 迅速な採用活動を心がける


それぞれ見ていきましょう。


①年功序列より実力主義重視へ

日本でよく見られる「年功序列型」の給与体系や評価制度は、外国人エンジニアには馴染みが薄く、モチベーション低下の大きな要因になる可能性があります。海外では、学生時代の経験やスキルセットに応じて、新卒でも高い報酬を得ることは珍しくありません。


外国人エンジニア個人のスキルや成果を正当に評価し、それに見合った報酬やポジションを与えるといった、透明性の高い実力主義の評価制度の構築が求められるでしょう。


②日本の文化を「当たり前」だと思わない関わり方

グローバルな人材採用競争に勝つためには、外国人でも馴染みやすい環境を企業側が積極的に作っていかなければいけません。


特に、日本文化の中でも明文化されない「空気を読む」という習慣は、多くの外国人が戸惑うポイントです。前提が異なることを常に意識し、指示や依頼は具体的かつ明確に言葉で伝えることが、すれ違いを防ぐ上で不可欠です。


また、候補者の出身国の文化、宗教、祝日、食生活などについて事前に理解を深めておくことも、円滑な人間関係を築く上で非常に役立ちます。


③「やさしい日本語」「やさしい英語」の活用

完璧な言語能力を求めるのではなく「やさしい日本語」や「やさしい英語」でコミュニケーションを心がけることが大切です。「やさしい日本語」とは、文の構造をシンプルにし、簡単な言葉で話すこと。これを組織内で実践するだけでも、コミュニケーションは格段に円滑になります。


出入国在留管理庁と文化庁が「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」を公開しており、YouTubeや資料で具体的な方法を学ぶことができます。


④日本語学習の支援体制を構築する

業務に英語を使用する場合でも、日本語能力の向上は本人の生活の質(QOL)を高め、会社への定着を促進します。企業として日本語学習の機会を提供(例:日本語学校の費用補助、社内での日本語教室の開催など)することは、有効な投資といえるでしょう。


⑤日本人従業員の語学力向上を促進する

外国人エンジニアだけに言語学習の負担を強いるのではなく、受け入れる側の日本人従業員の語学力向上も同時に促進することが理想的です。社内での英会話研修の実施や、オンライン英会話サービスの費用補助など、日本人従業員が語学学習に取り組みやすい環境を整えましょう。


⑥社内の受け入れ体制を整備する

情報共有のあり方を見直しましょう。社内チャットツールでのやり取りを英語にしたり、会議の議事録を日英両方で作成したりするなど、言語の壁を感じさせない工夫が必要です。


また、メンター制度を導入し、業務だけでなく日本での生活についても気軽に相談できる日本人従業員をペアにすることも、孤独感の解消に繋がり効果的です。


⑦日本でのビジネス習慣を丁寧に伝える

名刺交換の作法、会議での席次、電話応対の仕方、メールの書き方など、日本特有のビジネス習慣は、外国人にとっては理解が難しいものです。これらを「ビジネスマナー研修」として体系的に教える機会を設けたり、OJTの中で丁寧に伝えたりすることで、スムーズな業務遂行をサポートします。


⑧日本での勤務意欲を確認する

選考の段階で、「なぜ日本で働きたいのか」「将来的にどのようなキャリアを築きたいのか」を深くヒアリングすることが重要です。日本の文化や技術への興味、あるいは明確なキャリアプランを持っている候補者は、入社後の定着率が高い傾向にあります。


⑨生活面のサポート体制を整える

ビザの取得・更新、住居探し、銀行口座開設、携帯電話の契約といった生活のサポートは必須です。これらの手続きを会社が代行したり、専門のサポートサービスを紹介したりすることで、本人は安心して業務に集中できます。


また、家族を帯同する場合は、子どもの学校探しや地域コミュニティへの参加支援なども考慮に入れると、より良いでしょう。


⑩迅速な採用活動を心がける

優秀な外国人エンジニアは、世界中の企業からオファーを受けています。日本の企業が従来通りの長い選考プロセスを踏んでいると、その間に他社に決まってしまう可能性が高いでしょう。


書類選考から内定までの期間を可能な限り短縮し、迅速な意思決定を行うことが、グローバルな人材採用競争に勝つための鍵となります。



  1. 外国人エンジニアの採用で活用できる参考資料・公的支援制度

外国人エンジニアの採用を検討する企業にとって、国や地方自治体が提供する支援制度や情報が助けとなるでしょう。積極的に活用し、採用プロセスの負担軽減や、外国人材の円滑な受け入れ環境の整備に繋げていきましょう。


厚生労働省「外国人雇用のルールに関するパンフレット」

厚生労働省は、企業が外国人を雇用する際に必要な基本的なルールや注意点をまとめたパンフレットを公開しています。このパンフレットには、在留資格の種類や取得要件、適正な労働条件の設定、雇用管理上の留意点など、企業が遵守すべき事項が具体的に記載されています。パンフレットを参考に法的なトラブルを回避し、外国人材が安心して働ける環境を整備していきましょう。


外国人雇用管理アドバイザー制度

外国人雇用管理アドバイザー制度は、外国人労働者の雇用に関する専門的な知識を持つアドバイザーが、企業からの相談に応じて適切な助言を行う制度です。


この制度は、外国人雇用における法規制の理解、在留資格に関する手続き、労働条件の設定、さらには職場での文化的な違いへの対応など、幅広い課題に対して企業をサポートします。


特に初めて外国人エンジニアを採用する企業にとっては、複雑な手続きや文化の違いによる不安を解消し、スムーズな受け入れ体制を構築する上で非常に有効な制度と言えます。


  1. 外国人エンジニアの採用に関してよくある質問


外国人エンジニアの採用に関して、よくある質問と回答をまとめました。


外国人エンジニアを雇用する際はビザが必要?

ITエンジニアとしてソフトウェア開発やインフラ構築などの業務に従事する場合、一般的に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が該当します。本人の学歴(大学での専攻など)と職務内容に密接な関連性があることが許可の要件です。


外国人ITエンジニアを採用している企業は?

多くの企業が外国人ITエンジニアの採用を進めていますが、弊社での支援事例は以下の通りです。



各社の支援事例を詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。



まとめ:外国人エンジニアの採用で人手不足を解消


国内のITエンジニア不足がますます深刻化する中、外国人エンジニアの採用は、企業の持続的な成長のために不可欠な戦略となっています。言語や文化の壁、煩雑な手続きといったハードルは確かに存在しますが、それらを乗り越えることで得られるメリットは大きいです。


ITエンジニアやIT人材の確保にお困りの企業様は、外国人エンジニアの採用を検討してみてはいかがでしょうか。



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Connect Job編集部


世界中のトップクラス人材と企業を繋ぐ外国人採用のトータルサポート「Connect Job」。Connect Job編集部は外国人採用と長年向き合ってきた経験をもとに、採用に役立つ実践的なノウハウや最新動向をお届けします。

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運営会社:フォースバレー・コンシェルジュ株式会社(https://www.4th-valley.com)



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