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特定技能「農業分野」とは?畜産など業務区分や雇用・派遣の要件、試験内容や採用ポイントを解説

  • 執筆者の写真: Hayato Kuroda
    Hayato Kuroda
  • 5 時間前
  • 読了時間: 22分
特定技能「農業分野」とは?畜産など業務区分や雇用・派遣の要件、試験内容や採用ポイントを解説

人手不足が続く日本の農業現場では、外国人材の力に期待が高まっています。なかでも特定技能「農業」は、一定の技能と日本語力を持つ即戦力人材を受け入れるための在留資格として2019年に創設され、多くの農業経営者にとって有力な選択肢となっています。


そこで本記事では、特定技能「農業」制度の基本から、採用・定着に向けた実践的なポイントまで、初めて外国人材を採用する方にもわかりやすく解説します。


技能実習との違いや、直接雇用と派遣の使い分け、畜産を含む幅広い業務への対応など、制度の仕組みを正しく理解することで、より効果的な活用をしていきましょう。

目次


  1. 特定技能「農業分野」の概要

特定技能「農業」は、農業分野で即戦力として働くことができる外国人材を受け入れるための在留資格です。2019年4月に施行された特定技能制度では、人手不足が深刻な12の特定産業分野において外国人材の就労を可能にしており、農業分野もその一つに含まれています。


従来の技能実習制度とは異なり、特定技能は「労働力確保」を主目的とした制度であるため、より柔軟な雇用形態や業務内容に対応できるのが特徴です。学歴や母国での関連業務経験を問わないため、求職者にとって取得しやすい在留資格となっています。


農業分野の現状と特定技能制度創設の背景

2023年12月末時点で農業分野で働く外国人(技能実習+特定技能)の総数は5万4,032人となっており、このうち技能実習生が3万171人(55.8%)、特定技能が2万3,861人(44.2%)を占めています。



また、農業分野の有効求人倍率は全職業平均の1.19倍を大きく上回る1.85倍(農耕作業員1.59倍、畜産作業員2.72倍)に達しており、深刻な人手不足が続いています。さらに、現在116万人いる農業従事者は、2028年度(令和10年度)には91万人にまで減少すると見込まれ、同年度には約32万8,000人の労働力が不足すると予測されています。



このような状況を背景に、既存の技能実習制度の制約を補い、より実践的な労働力として外国人材を受け入れるために創設されたのが、特定技能制度です。技能実習制度が「国際貢献・人材育成」を目的とするのに対し、特定技能は「労働力の確保」を制度目的としています。農業現場の即戦力を求める事業者にとって、より柔軟かつ実務的に活用しやすい制度設計となっています。



  1. 特定技能「農業分野」で従事できる業務

特定技能「農業分野」で従事できる業務

特定技能「農業」では、耕種農業全般と畜産農業全般の2つの区分が設定されており、それぞれ異なる専門技能が求められます。


耕種農業区分における業務

耕種農業区分では、栽培管理から農産物の集出荷・選別までが担当です。具体的な主要業務として、各作物に応じた土壌づくりや施肥作業、種子・苗木の取扱い、資材・装置の操作、栽培に関する一連の作業、そして安全衛生業務が含まれています。


これらの業務は、米や野菜、果樹など多様な作物の栽培に対応しており、季節に応じた農作業全般をカバーするなど、技能実習生と比較してより柔軟な業務範囲での活動が可能となっているのが特徴です。


耕種農業区分の関連業務

耕種農業区分では、主要業務に加えて幅広い関連業務への従事も認められています。所属機関が生産した農産物を使用した製造・加工作業や、稲わらなどの副産物を活用した加工業務も対象です。


さらに農産物の運搬・陳列・販売業務や、加工品の流通に関わる作業も含まれており、農業生産から販売まで一貫した業務に携わることが可能です。複合経営を行う農場では、畜産業務を持つ外国人材が耕種農業に従事することや、冬場の除雪作業なども想定されています。


畜産農業区分における業務

畜産農業区分では、飼養管理と畜産物の集出荷・選別が主要な業務範囲となります。各畜種に応じた器具の適切な取扱いから始まり、個体の取扱い・観察、日常的な飼養管理、生産物の処理、安全衛生業務まで、酪農や畜産経営に不可欠な技能が必要です。


牛や豚、鶏などの家畜の世話から、乳製品や食肉の処理まで、畜産業の現場で必要とされる実践的なスキルを活用できる制度設計となっています。


畜産農業区分の関連業務

畜産農業区分においても、耕種農業区分と同様に多岐にわたる関連業務が認められており、畜産物を原料とした製造・加工作業や、家畜排泄物を活用した堆肥製造なども業務範囲に含まれます。


これによって畜産経営の6次産業化に対応した幅広い業務への従事が可能となり、農場の収益性向上に貢献できる人材として活用することが可能です。特定技能2号の場合は、これらの業務に加えて農場全体の管理や他の従業員への指導なども担当し、農業経営のリーダー的な役割を果たすことが期待されています。


特定技能1号と2号の業務範囲の違い

特定技能1号では実務作業が中心となり、農業現場での即戦力として活躍することが期待されています。一方で、特定技能2号では実務に加えて管理業務も担当できるようになり、より責任のある役割を担うことが可能です。


特定技能2号の管理業務には、農場管理や品質管理、人材育成などが含まれており、農業経営により深く関わることができます。これにより、長期的なキャリア形成を視野に入れた外国人材の活用が実現できるでしょう。



  1. 特定技能1号「農業」の取得要件

特定技能1号「農業」の取得要件

特定技能1号「農業」を取得するためには、技能試験と日本語試験の両方に合格するか、または農業分野の技能実習2号を良好に修了する必要があります。

試験による取得と技能実習からの移行、2つのルートが用意されており、外国人材の背景に応じて柔軟な制度設計となっています。


1号農業技能測定試験・日本語試験に合格

特定技能1号「農業」の取得には、1号農業技能測定試験の合格が必要です。この試験は耕種農業全般と畜産農業全般の2つの区分に分かれており、希望する業務に応じていずれかを選択・受験することが可能です。


技能試験では、土壌管理や栽培技術、家畜の飼養管理など、農業現場で必要とされる実践的な知識と技能が評価されます。学科試験では農業一般知識や安全衛生、実技試験では実際の農作業を通じた技能確認が行われ、即戦力としての能力が問われる内容です。


日本語能力については国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験(N4以上)のいずれかに合格することが必要です。農業現場でのコミュニケーションに必要な基本的な日本語能力が求められており、作業指示の理解や安全確認などができるレベルが目安となっています。


農業技能測定試験の試験結果と合格率

2025年5月に実施された農業技能測定試験はインドネシアやフィリピン、インドやモンゴルなど、日本を含むアジア諸国で実施されました。全体の合格率はおよそ80%以上で、適切な準備を行えば高い確率で合格できる試験であることが分かるでしょう。


国別の受験状況を見るとインドネシアが最も多く2,169が受験し、それぞれ2,000人が合格しました。日本国内でも907人が受験し822人が合格するなど、国内外で多くの受験者が技能を証明しています。

その他にもフィリピンやネパール、ミャンマー、バングラデシュなど、アジア各国で試験が実施されており、いずれも80%以上の高い合格率を維持している状況です。



農業分野の技能実習2号から移行

農業分野の技能実習2号を良好に修了した場合、1号農業技能測定試験と日本語試験の両方が免除されます。技能実習で身につけた技能と日本語能力が、特定技能の要求水準を満たしていると認められるためです。


技能実習から特定技能への移行が可能な職種は、施設園芸、畑作・野菜、果樹、養豚、養鶏、酪農の6職種となっており、それぞれ対応する特定技能の業務区分が決められています。技能実習で培った経験を活かしながら、より柔軟な働き方ができる特定技能への移行は、外国人材にとって魅力的なキャリアパスとなっています。



  1. 特定技能2号「農業」の取得要件

特定技能2号「農業」の取得要件

特定技能2号「農業」は、2023年6月に新設された上位の在留資格で、2号農業技能測定試験の合格と一定の実務経験の両方を満たすことが必要です。1号と比較してより高度な技能と管理能力が求められ、農業現場でのリーダー的役割を担える人材として位置づけられています。


2号農業技能測定試験の概要

2号農業技能測定試験は、マネジメント能力を含む高度な農業技能を評価する試験で、1号と同様に耕種農業全般と畜産農業全般の2つの区分があります。


試験時間は60分、問題数は50問程度となっており、学科試験と実技試験(イラスト・写真による判断)といった構成です。1号試験と比較して管理業務や指導能力に関する内容が追加されており、より実践的な農場運営スキルが問われる内容となっています。


実務経験要件と受験資格

特定技能2号の取得には、試験合格に加えて実務経験要件を満たす必要があります。以下のいずれかの実務経験が求められており、農業現場での経験の深さが重視されています。


管理者としての実務経験ルートでは、農業の現場において複数の従業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての2年以上の実務経験が必要です。一方、一般的な実務経験ルートでは、農業の現場における3年以上の実務経験で要件を満たすことができます。


受験申込みには事前の資格確認および全国農業会議所による書類審査を経て発行されるアプリケーションナンバーが必要です。実務経験証明書と誓約書の提出が必要となっており、厳格な管理体制のもとで試験が運営されています。


2号農業技能測定試験の実施方法と特徴

2号農業技能測定試験は、全国のテストセンターでCBT方式により実施されます。受験者はブースでコンピューター画面に表示される問題に画面上で解答する形式となっており、従来の筆記試験とは異なる受験環境となっているのが特徴です。


耕種農業全般では、栽培作物の品種・特徴から栽培環境、病害虫防除、収穫・調整・貯蔵・出荷まで幅広い知識が必要です。畜産農業全般では、品種や繁殖・生理、飼養管理などの専門知識に加え、マネジメント能力も評価対象となっています。


合否通知は試験実施後5営業日以内に専用Webサイトで確認でき、受験者名や試験日、総合スコアなどの詳細情報をスコアレポートとして取得することが可能です。この迅速な結果通知により、合格者は速やかに特定技能2号への移行手続きを進めることができるでしょう。



また、特定技能1号と2号の比較については、こちらの記事でも解説しています。詳細を知りたい方はご覧ください。



  1. 特定技能「農業分野」外国人材の採用要件

特定技能「農業分野」外国人材の採用要件

特定技能「農業」外国人材を受け入れるためには、受入れ機関となる事業者が満たすべき条件が定められています。

中でも以下の農業特定技能協議会への加入、雇用経験、外国人支援体制の整備が主要な要件となっており、適切な受け入れ環境の確保が重要です。


農業特定技能協議会に加入

特定技能外国人を受け入れる事業者は、農業特定技能協議会への加入が義務付けられています。この協議会は、農業分野における特定技能制度の適正な運用を図るために設置された組織で、受入れ機関の指導や情報共有を行っています。


加入手続きはWebサイトから行うことができ、会費は無料となっています。協議会への加入は在留資格申請前に完了させる必要があり、受入れ機関は協議会に対して必要な協力を行うことが必要です。また、登録支援機関に支援を委託する場合も、協議会に協力する機関を選定することが求められます。


一定期間の雇用経験(直接雇用の場合)

直接雇用で特定技能外国人を受け入れる場合、過去5年以内に1人の労働者を少なくとも6ヶ月以上継続して雇用した経験が必要です。この要件は、外国人に対する適切な労務管理能力を確保し、農業現場での適切な受入れを図ることを目的としています。


雇用経験には技能実習生の雇用も含まれるため、既に技能実習生を受け入れた経験がある農業経営者にとってはクリアしやすい条件といえるでしょう。ただし、6ヶ月に満たない短期雇用を累積しても要件を満たすことはできず、同一の労働者を継続して雇用した実績が求められます。


個人事業主として外国人を雇用していた農業者が法人化した場合でも、個人事業主時代の雇用経験が認められるため、継続して外国人材を活用することが可能です。



外国人支援計画の確立

特定技能外国人の業務や日常生活における支援計画の策定と実施が必要です。支援内容には、入国時の空港などでの送迎、住居確保の支援、生活に必要な契約手続きの同行、日本語学習機会の提供などが含まれており、外国人材の円滑な定着を促進します。


受け入れ機関は自社で支援を行うことも可能ですが、過去2年間に外国人労働者の受入れ実績がない場合や、生活相談に従事した役員・職員がいない場合は、登録支援機関への委託が必要となります。初めて特定技能外国人を受け入れる農業経営者にとって、専門的な支援ノウハウを持つ登録支援機関の活用は重要な選択肢となるでしょう。


さらに、受け入れ機関は特定技能外国人から求めがあった場合、実務経験を証明する書面を交付する義務もあり、外国人材のキャリア形成にも配慮した制度設計となっています。



  1. 特定技能「農業分野」人材を派遣雇用するための要件

特定技能「農業分野」人材を派遣雇用するための要件

特定技能制度において派遣雇用が認められているのは農業と漁業の2分野のみとなっており、農業分野では直接雇用に加えて派遣雇用という選択肢が用意されています。農業の季節性や地域特性を踏まえた柔軟な雇用形態として、多くの農業経営者にとって有効な人材活用手段となっています。


農業分野で派遣雇用が認められる背景

農業分野では、冬場は農作業ができないなど季節による作業の繁閑があることや、同じ地域でも作目による収穫・定植などの農作業ピーク時が異なるという特性があります。これらの農業現場特有の課題に対応するため、農繁期の労働力確保や複数の産地間での労働力の融通を可能にする派遣雇用が不可欠です。


繁忙期と閑散期がはっきりしている農業経営において、必要な時期に必要な人数の労働力を確保できる派遣雇用は、経営効率の向上と人件費の最適化に大きく貢献します。特に中小規模の農業経営者にとって、年間を通じた直接雇用が困難な場合でも、派遣を活用することで人手不足の解消が可能となるでしょう。



派遣事業者に求められる要件

労働者派遣事業者は、農業現場の実情を把握しており、特定技能外国人の受入れを適正かつ確実に遂行するために必要な能力を有していることが求められます。単なる人材派遣業ではなく、農業分野の専門性と外国人材受入れに関する知識・経験を兼ね備えた事業者であることが必要です。


農業現場の実情把握には、作物の栽培スケジュールや農作業の内容、安全管理、農業機械の取扱いなど、幅広い農業知識がなければなりません。また特定技能外国人の受入れに必要な能力として、在留資格に関する法的知識、支援計画の策定・実施能力、多文化共生に向けた配慮などが重要な要素となります。


派遣先事業者の責任者要件

派遣先となる農業事業者は、労働者を一定期間以上雇用した経験がある者または派遣先責任者講習などを受講した者を派遣先責任者とすることが必要です。この要件により、外国人材を適切に指導・管理できる体制の確保が図られています。


雇用経験要件については、直接雇用の場合と同様に、過去5年以内に1人の労働者を少なくとも6ヶ月以上継続して雇用した経験が対象です。経験がない場合でも、派遣先責任者講習を受講することで要件を満たすことができるため、初めて外国人材を受け入れる農業事業者でも派遣を活用することが可能です。


派遣先責任者は、派遣された特定技能外国人の業務指導や安全管理、日常的なコミュニケーションを担う重要な役割を果たすため、適切な知識と経験を持つ人材の配置が求められています。



外国人労働者の派遣に関して、在留資格別の可否や企業が気を付けるべき点などを下記記事にまとめています。興味のある方は、ぜひご覧ください。


  1. 特定技能「農業分野」と技能実習との違い

特定技能「農業分野」と技能実習との違い

技能実習制度と特定技能制度は、どちらも農業分野で外国人材を受け入れるための制度ですが、制度の目的や雇用条件、業務範囲において大きな違いがあります。

比較項目

技能実習制度

特定技能制度

国内在住者の採用

海外からの新規受入れが基本

国内在住者の採用も可能

受け入れ人数の上限

常勤職員数に応じた上限あり

原則として上限なし

対応可能な業務範囲

特定職種に限定(施設園芸、畑作・野菜、果樹、養豚、養鶏、酪農)

耕種農業全般・畜産農業全般で幅広い業務に対応

日本語能力について

特定の要件なし

一定の日本語能力が必要(N4以上または基礎テスト合格)

就労期間について

最長5年間(途中帰国必要)

特定技能1号:通算5年間、特定技能2号:期間上限なし

農業経営者が外国人材を活用する際は、それぞれの特徴を理解した上で、経営方針に適した制度を選択することが重要です。それぞれについて詳しくみていきましょう。


国内在住者の採用

技能実習は海外からの新規受入れが基本となる一方で、特定技能では既に日本に在住している外国人材の採用も可能です。技能実習修了者から特定技能への移行や、他の在留資格から特定技能への変更など、柔軟な人材確保ルートが用意されています。


これにより、特定技能では即戦力となる外国人材をより迅速に採用できるメリットがあります。既に日本での生活経験がある外国人材であれば、文化的な適応や日本語でのコミュニケーションも比較的スムーズに進むでしょう。


受け入れ人数の上限

技能実習制度では受入れ機関の常勤職員数に応じた受入れ人数の上限が設定されていますが、特定技能制度では原則として受入れ人数の上限はありません。ただし、日本人と同等以上の報酬を支払うことなど、適切な待遇を確保することが前提となっています。


この違いにより、特定技能では事業規模の拡大や繁忙期の対応により柔軟に人材を確保することが可能となり、経営戦略に応じた人員計画を立てやすくなります。


対応可能な業務範囲

技能実習では特定の職種に限定されており、耕種農業では「施設園芸」「畑作・野菜」「果樹」の3職種、畜産農業では「養豚」「養鶏」「酪農」の3職種のみが対象となっています。一方、特定技能では「耕種農業全般」「畜産農業全般」として幅広い業務に従事できます。


特定技能では、農畜産物の製造・加工、運搬・陳列・販売の作業、冬場の除雪作業など、日本人が通常従事している関連業務にも付随的に従事することが可能です。これにより、6次産業化や複合経営を行う農業経営において、より効率的な人材活用が実現できるでしょう。


日本語能力について

技能実習では特定の日本語能力要件が設定されていませんが、特定技能では「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」が必要です。国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験(N4以上)の合格が必要となっており、より高いコミュニケーション能力を持つ外国人材の受入れが期待できます。


ただし、技能実習3年を良好に修了した外国人材は日本語試験が免除されるため、技能実習から特定技能への移行では、既に十分な日本語能力を身につけた人材を採用できるでしょう。


就労期間について

技能実習は最長5年間(第3号技能実習開始前または開始後1年以内に1ヶ月以上の帰国が必要)となっていますが、特定技能1号は通算で5年間(在留期間中の一時帰国可)の就労が可能です。さらに、特定技能2号では在留期間の上限がなく、更新を継続することで長期間の雇用が実現できます。


この違いにより、特定技能では外国人材の長期的なキャリア形成と農業経営への定着を促進でき、投資した研修コストの回収や技能の蓄積といった面でメリットが大きくなるでしょう。


  1. 特定技能「農業分野」外国人材の5つの採用ポイント

特定技能「農業分野」外国人材の5つの採用ポイント

特定技能「農業」外国人材の採用を成功させるためには、農業現場の特性を踏まえた戦略的なアプローチが重要です。


採用ミスマッチを防ぐ面接・選考の工夫

面接では農業に対する理解度と意欲を重点的に確認することが重要です。特定技能外国人材は即戦力として期待されるため、農業の基本的な知識や作業に対する適性を事前に見極める必要があります。


具体的には、過去の農業経験や関連する実習内容について詳しく聞き取りを行い、実際の農作業場面を想定した質問を通じて実践的な知識を確認します。また、農業の季節性や天候に左右される労働環境について理解しているか、体力的な負荷に対する覚悟があるかなども重要な選考ポイントとなるでしょう。


面接では母国語での補助も活用しながら、候補者の真意を正確に把握し、農業現場で求められる責任感や協調性についても評価することが、採用後のトラブル防止に繋がります。


日本の農業現場における適応力の見極め

季節による繁忙の違いや高温多湿な環境など、日本独自の労働環境に対する理解度を評価することが必要です。日本の農業は四季の変化に大きく左右されるため、外国人材が季節ごとの作業内容の変化に柔軟に対応できるかが重要な要素となります。


特に、畜産分野では酪農技能実習生の経験がある候補者の場合、既に日本の飼養管理方法や衛生基準について理解していることが多く、適応力の高さが期待できます。一方で、耕種農業では気候条件や栽培方法の違いに対する理解が重要となるため、候補者の出身地域の農業環境と日本の違いを説明し、適応への意欲を確認することが大切です。


農業機械の操作や安全管理に関する日本の基準についても事前に理解を深めてもらうことで、スムーズな現場導入が実現できるでしょう。


外国人材の定着を促す支援体制の整備

住居確保から日常生活サポートまで、包括的な支援体制の構築が外国人材の定着には不可欠です。農業地域は都市部と比較して生活インフラが限られる場合が多いため、きめ細かな生活支援が求められます。


具体的な支援内容として、住居の確保と設備の整備、医療機関や金融機関での手続き支援、日本語学習機会の提供、地域コミュニティとの交流促進などが挙げられます。特に、買い物や通勤手段の確保は日常生活に直結するため、事前の準備が重要です。


また、母国の家族との連絡手段の確保や、宗教的な配慮、食事の嗜好への対応なども、外国人材が安心して働ける環境づくりに貢献します。これらの支援を登録支援機関と連携して提供することで、農業経営者の負担軽減と専門的なサポートの両立が可能です。


技能実習修了者を対象とした採用戦略の活用

特定技能へ移行可能な元技能実習生をターゲットにした採用戦略は、高い効果が期待できるアプローチです。既に日本での生活経験と農業技能を身につけた技能実習修了者は、まさに即戦力として活用できる人材といえるでしょう。


技能実習から特定技能への移行では、試験が免除されるメリットに加え、日本の農業現場や生活環境に慣れているため、新たな研修期間を大幅に短縮できます。また既に構築した人間関係や地域との繋がりを活かすことで、より安定した雇用関係の構築が可能です。


技能実習修了者の採用では、実習先での評価や技能レベルの確認、今後のキャリアプランについて詳しく話し合うことが重要です。特定技能制度のメリットを活かし、長期的な雇用関係を前提とした条件提示を行うことで、優秀な人材の確保につながるでしょう。


採用後の離職を防ぐためのフォロー体制

採用だけでなく、入社後の離職を防ぐためのオリエンテーションや相談体制の構築が重要です。特定技能外国人材は転職が可能なため、継続的な満足度向上への取り組みが求められます。


入社時のオリエンテーションでは、職場のルールや安全管理、緊急時の対応方法などを丁寧に説明し、不安を解消することが大切です。定期的な面談の実施により、仕事上の悩みや生活面での困りごとを早期に把握し、適切な対応を行うことで離職リスクを軽減できます。


また、技能向上のための研修機会の提供や、将来的なキャリアアップの可能性について具体的に示すことで、長期的な勤務への動機付けを図ることができるでしょう。外国人材が農業現場で活躍し続けられるよう、継続的なサポート体制の充実が採用成功の鍵となります。


  1. まとめ

特定技能「農業分野」は農業現場の深刻な人材不足解決に向けた重要な制度ですが、農業特定技能協議会への加入や雇用経験要件など、農業現場の安全性と適正な受入れを重視した要件が設定されています。


技能実習からの移行や派遣雇用の活用により、耕種農業や畜産農業といった専門分野でも柔軟な人材確保が可能となっており、季節性のある農業経営においても効率的な労働力の確保が実現できるでしょう。


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